【全起こし】『沈黙』ジャパンプレミア、窪塚洋介「監督はどこの馬の骨とも分からない俺に敬意を払ってくれた」

MC:ありがとうございます。さあそして、隠れキリシタンのモニカ役を演じました小松菜奈さんです。

小松:モニカ役を演じました小松菜奈です。監督がずっと撮りたかった作品に、私はその時19歳だったんですけど、十代でこのような素敵な作品に関わらせてもらったことが幸せです。現場自体もとても刺激的でした。馴れない英語のセリフで、壁にぶつかったこともありました。どうやって英語でお芝居をしていいのか、その感情をどこへ持っていっていいのか、すごく迷った部分はあったんですけど、英語を教えてくれる先生が発音だったり、お芝居している中でアクセントを教えてもらったりしていただき、本当に丁寧に監督も役者さんも含めて貴重な体験をさせてもらいました。映画を観させていただいて、若い人たちがどういう気持で見てくれるんだろうと思うと、1月21日からの反響がとても楽しみです。ぜひ一人でも多くの方に、とくに若い人たちに見てもらいたい作品です。ありがとうございました。

MC:ありがとうございました。そして、隠れキリシタンのジュアン役を演じました加瀬亮さんです。

加瀬:ジュアン役を演じました加瀬です。今回、小松さん演じるモニカの夫ということで、小さな役ではあったんですけども、この共演者の名前と、監督の名前を聞いた時に、自分の中でひさしぶりにワクワクして、どうしても参加したいなと思いました。自分は特別な宗教は持ってないので、ジュアンを演じながらいつもその信仰になるものを自分の中で探しながら演じていたように思います。映画を観た後も、きっとお客さんもそのことを感じてくれるんじゃないかと。映画のテーマでもあるとおもうので、感じてくれたらうれしいです。よろしくお願いいたします。

MC:どうもありがとうございました。監督、キャストのお話を聞いていてどうでしたか?

スコセッシ:私は1973年からずっと映画監督をやってきているんですけども、今回ほど体力的にも精神的にもチャレンジングな映画はなかったと言っても過言ではないと思います。私は喘息持ちのニューヨーカーなものですから、小さなアパートの部屋でずっと暮らしてきたわけです。ですので自然の中に入るとなにかとアレルギーが起こるんです。ですがこの映画は大自然の中で撮られたわけですが、そういう意味で非常にチャレンジングだったのですが、みなさんと一緒に山の中に脚を踏み入れていった瞬間から、非常に喜びを感じました。そして今まで病弱であったがために、自然と戯れることができなかった日々を後悔するまでになりました。本当に日本人キャストの皆さんは、この作品の礎になってくれました。私もプロデューサーのエマさんも、そして撮影監督のロドリゴ・プリエトさん、そして主演のアンドリュー・ガーフィールドも辛い辛いと思うことが度々あったと思うんですが、そんな時に日本人キャストの皆さんを見渡すと平気な顔をしているんですね。だから本当に彼らが礎になってくれました。そして、この作品を編集してくださっているセルマ・スクーンメーカーさん、40年間共に仕事をしてきているんですけども、彼女は普通現場にやってこないんですね。ラッシュ映像を見て確認していくわけなんですけれども、本当に彼らのパフォーマンスが素晴らしい素晴らしいと言ってくださるんですね。だからこの作品はキャスト、スタッフの皆さんの協力なしには、なし得なかったと思います。

MC:ありがとうございます。役者の方たちは正直、どうだったんですか?辛かったんじゃないですか?

窪塚:さっきも言ったんですけど、そんなことは幸せの一部なんですよ。(会場笑い)ただ、僕は想像していたより集中力だったりとか、忍耐力が必要な現場でした。でもそれも嬉しかったし、そんな簡単に超えられるような壁ではないし、それを感じるからこそ出て来る力だったりとか、マーティン・スコセッシ監督っていうのは僕らを本当にノセてくれて、僕らが一番最高に良い芝居ができる状態にしてくれる監督だと思うんですね。こうやっていてくれるだけで、いい緊張感をもってくれるけど、ニコニコしていらっしゃるから、リラックスして、一番いい状態のテンションにいるだけでも持っていってくれる人なので、それは長年のキャリアがそうさせるのか、生まれた時からそうなのかわからないですけど、類まれな才能だと思うし、偉大な監督だなとあらためて思いました。

スコセッシ:ありがとう。ありがとう。

MC:浅野さんはいかがですか?

浅野:そうですね、僕の役は通訳なので辛いことがないんですよね(笑)。井上様などから「これやってこい」と言われたら、それを伝えるだけなので、僕は全然辛いことがなくて。そういうつもりで現場にもいたので。客観的に見られてとても楽しかったです。