【全起こし】『食べられる男』連日イベント④お笑いコンビ”かもめんたる”は、本多力主演映画をどう観たのか!?

ヨーロッパ企画の本多力主演『食べられる男』の連日トークイベント4日目は本多と交流のあるかもめんたるの2人が登場。コントをやり続け、演劇とも深くつながりがあり“演技”に造詣が深いかもめんたるは、今回の作品をどう観たのか! 全文でどうぞ(ネタバレ注意!!!!)

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近藤:よろしくお願いします! まずは関係性を、なんでかもめんたるさんがトークゲストに来ていただけることになったか、本多さんから。

本多:はい、自分が所属しておりますヨーロッパ企画という劇団があるんですけれども、その劇団に出ていただいたり、『食べられる男』でも脚本協力をさせていただいたヨーロッパ企画の上田君が、かもめんたるさんのライブの構成協力をさせていただいたりとか、かもめんたるさんがアフタートークに出ていただいたり、かもめんたるさんのアフタートークに出していただいたりとか。

岩崎:あとヨーロッパ企画の石田剛太さんが僕らがやっている「劇団かもめんたる」という公演に出てもらったり。

近藤:関係性が深いんですね。

本多:深いんですよ。それで『食べられる男』はこういう映画なんでぜひともお2人に見ていただいて感想を聞きたいなと思って。

岩崎:こういう映画ってどういう映画なの?

本多:ちょっと気持ち悪い。

岩崎:僕らも気持ち悪いコントを普段やっておりまして。

本多:近藤監督もすごいファンなんで。

近藤:はい、もともとコントとかを見させてもらっていて、ちょっと世界感が似てるなーっていうのもありまして、ぜひ感想を聞きたいなと思います。

岩崎:僕はもうタイトル見たときに、すごい面白そうって思って、たぶんヨーロッパ企画の事務所みたいなところに行った時に、ポスターが貼ってあって、町工場みたいなところで、食べられる男で宇宙人に1週間後食べられる。そういう条約みたいなのがあって、これは面白そうだなと思ってポスターとか全部見たときに。絶対に見たいなと思って。

近藤:ありがたいですね。で、いざ見てみてどうでした?

岩崎:もう今日は見る前の感想しか言わないですよ(笑)。

近藤:見終わった後の感想を言ってくださいよ。

岩崎:そうですよね。あのー。

槙尾:なんで、ちょっと言葉に困ってるんだよ。

岩崎:いろんな意見がね、言えると思いますよ。

近藤:もちろんそうですよ。

岩崎:そうそうそう、だからどういうアフタートークをね、した方がいいのかっていうね。聞いたら昨日、なんか監督が蜂の巣にされたっていう。

近藤:そんなことないですよ(笑)。

岩崎:言葉の刃に切り刻まれたって。

近藤:昨日は同世代の監督で集まって、そういう回にしようということでやらせてもらったんですけど。ほめてるばっかりのやつはもうええかなって思って。

岩崎:なるほど。じゃダメ出しモードでいく?

近藤:いや今日は、ほんまに純粋な思いで普通に感想をしっかり聞きたいなって。

槙尾:笑っちゃったけどな僕は、やっぱり最後の食べられるシーンが。ないのかと思ってたんですよ。なんかよくこの後食べられたんだなで終わるのが多いような気がするんだけど、がっつり宇宙人も出てきて、丸焼きにされて。

岩崎:本多ダックみたいになってましたよね。

近藤:中華風の。

槙尾:がっつり食べて、あれはびっくりしましたけどね。あそこはもう笑っちゃいましたね。で、まずいっていう。オチじゃないですけど、ここまでちゃんとやるんだっていうのが僕は。

岩崎:でもお笑いが好きな人がつくってる感じはしましたよね。

槙尾:たしかに。あの不良のシーンとか面白かったですよね。

近藤:あぁあの不良の。

岩崎:あれ本当にヤバい人ですか?

近藤:いやいや、もうめちゃめちゃ真面目な人なんですけど。

岩崎:ああいう人が世の中に生きていると思うだけで嫌だな。

近藤:僕あんまり不良とかに出会うことがないんで、勝手な想像の不良なんですけど。

槙尾:あんな人います? 「ゼリー」って言ってたよね。

岩崎:「ゼリー」って言ってたね。

槙尾:顔にグシャってつけて笑うっていうの、なんか分かります。ああいう感じで楽しんでるの。怖いですね。

本多:本当に怖かったですよなんか。普段はほんまにええ人で、ネコザメタボっていう名前でダンスをやったりしてるんですけど、ネコザメタボ感がいっさいなかったんで、急に演技が始まってほんまもんかなってぐらい怖かったですね。

岩崎:じゃお上手だったってことなんですよね。

本多:お上手でした。

近藤:本多さんも最高の演技で。

岩崎:本多さんは良かったですよね。

槙尾:最後、丸坊主になって娘さんとしゃべるシーン、あそこも面白かったですね。ボロクソに言われるじゃないですか。

本多:あれ悲しくなりましたね。

槙尾:あれ悲しいですよね。あと本多さんは顔が変わるんですね髪型変わると全然。このヘアスタイルっていうのがあるんだなと思いました。坊主になると一瞬分からなかった。それは本多さんなんだろうけど、全然印象違うなと思いましたね。

岩崎:ニンジャ・タートルズみたいな感じでしたよね。そうですよね。でも若手の監督の作品ってなかなか見る機会がないから、なんかねいろいろお笑いの若手とかに通ずる、もっとこうしたらもっと良くなるみたいな、そういう部分がね、いっぱい見えたり、葛藤とかがね。予算的に無理なところとかあると思うけど、そういうのがいっぱい見てとれたりしましたね。

近藤:またそれは後ほど。3N0A2742

岩崎:あのサモグロビンでしたっけ? サモグロビンは、どういう人に多いんだっけ。

近藤:悲しいとか、むなしいとかそういうマイナスな感情が多い人にサモグロビンが多いっていう。

岩崎:あーなるほどね。でも俺それだけ1個言うと、サモグロビンは生きることに対して無関心な人ほど出るっていうルールの方がいいかなと思った。あの人がもともとさ、そういう悲しいとか感情を持って生きてない人っぽかったし、そのルールにした方がシンプル。最後まずくなってるっていうのも、直前で生の欲求が出たんだなっていうところでシンプルにいけるかなって思ったな。

近藤:そうですね。そういうイメージはできてたんですけど、言葉にするのがすごい難しくて、美味しくなる理由を漠然としたものにしたいなっていう。例えば太ってる人が美味しいとか、痩せてる人が美味しいとかより、感情とかで美味しさが変わる方が面白いと思ったんで、本多さんをああいうキャラクターにしたいっていうのはあったんですけど、それを言葉にするのがすごい難しくて、確かにそう言われたら、生きるっていう感情にしたらもっと変わったかな感じはしますね、確かに。

本多:そうですね。たしかに最後も執着が出たっていうのは分かりやすいですよね。

岩崎:最後泣いてたらどんどん美味しくなっていくだろうなって思ったから、そこをずっと考えながら、俺だったらどうするかなとか考えて。その辺のルールっていうのはコントのなかでもそうで、やりたいことでも言葉がなかなか見つからないとかあるんだけど。その辺でもいちばん肝な部分だと思ったからあそこは。

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近藤:かもめんたるさんもコントをつくるときに、笑いが起こるっていうことを重視するんじゃなくて、結構感情とかドラマの部分を意識してつくったんですか。

岩崎:それがあった方がやっぱりいろいろ厚みが出るというか、コントなんて限られた時間だからさ、やれることいっぱいやっておいた方が得だろうと思うし、つくってる方もあんまり単純なものつくっていても楽しくないからさ。短い時間になるべく放り込むみたいなのはあるんだけど。でもそういうので言うと、思いついたこと全部やるっていうのもよくないから、物語をつくるときに、今回ので言うと、それが良かったか悪かったかというのは置いておいて、例えば、本多さんが結婚していた方が良かったのかどうかっていうね。家族がいた方が良かったのかどうか。っていうのは結構キーの部分であって、あの人が結婚してるのとしてないのとでまた全然変わってくるし、どうしても結婚してなきゃいけない理由があってそうしてるんだったら納得いくけど、なんとなく結婚してなさそうな人っていうイメージがあるなかで、結婚させている設定にするには、よっぽどな何かが必要なのかって。

近藤:本多さんが、最終的にまずくなるためには、本多さんを食い物にする悪い人たちがいっぱいいて、そのなかで、娘も罵倒してくるんですけど、唯一血のつながってる存在っていうのをつくりたくて、そのためには結婚させて娘をつくっておくっていうポイントをつくったっていう感じですね。僕のなかでは結婚しておかないとっていう意味はあったんですけど。

岩崎:うんうん。あの娘さんの「自分は粗末にしてるじゃん」っていうセリフはすごい良かったですよね。

近藤:そうですね。最後、きついことを言いながらも意味的には村田の心にくるようなセリフを、食べるということに絡めてね。

岩崎:あと個人的には村田さんが、ボクサー志望だって言ってた男の人に対して、嫌味みたいなのを言ってるところがすごい好きだった。あのセリフは良かったですね。

本多:僕も言ったことあります。中学のときに後輩に殴られて「あんまイタなかった」っていうのがそういえばありました。

岩崎:それとは別物ですよ(笑)。

槙尾:あとテーマとして食べられるっていうこと、美味しいかどうかっていうところ、それは普段からいろいろ考えたりするんですか?

近藤:宇宙人に食べられることを普段から考えてはないんですけど、不幸が起こることについて辛いことが起こったときとかに、どうしようもない出来事っていうか、神様がやってるとしか思われへんみたいな感情があって、これ生まれてから一生起こり続けてる人がどっかにおるんやろうなって思って。自分じゃ絶対防がれへんような不幸なできごとが、起こり続けている人を想像して、最後一番の不幸って宇宙人に食べられることやなと思って、不幸を食べる人に置き換えて、物語をつくったっていう。

槙尾:僕は、物には命があって、全然気にせずばくばく食べてるけど、そう考えたら確かにね、食べられる方からしたらたまったもんじゃないなって。それこそ、まずいなんって言ってたら食べられる方からしたらね、動物に心とかあるか分からないけど、確かにすごく辛いよなとかいろいろ改めてね。ちっちゃい頃から言われてましたけどね。命をいただくんだからいただきますって言うとかじゃないですけど、改めてそれを、今度から食べるときはしっかり感謝して食べたいなって。

岩崎:そんなこと考えながら見る映画じゃないと思うよ。

近藤:最終的には小学校の道徳の授業とかに。

槙尾:命をいただくっていう。あとは生け贄っていうテーマがいいですよね。僕はインティ・ライミって太陽の祭っていうのがあって、人間の心臓を毎回生け贄にしていて、インカ帝国で。それだけじゃなくてありますよね、人間の生け贄制度みたいなのが。ああいうのはなんか不思議ですよね。

岩崎:最後、不思議かよー。生け贄、不思議ってなんだよ。何にもまとまってねぇじゃねぇかよ。

槙尾:人間の命を捧げることによってさ、皆が救われるとかってさ、どういう発想なんだろうって。

近藤:日本でも戦争に行く人が言ったら、死にに行くのに周りの人々はおめでとうございますみたいな、バンザイっていうスタンスでいたっていう。だから手紙を赤色にしてみたり。

槙尾:なるほどね。

岩崎:俺がコントにするんだったら、っていうかコメディで見たかったのは、本多さんがそれを自慢し始めるみたいな。それは見たかったねちょっと。

槙尾:あー確かに。

岩崎:誰に口きいてんだみたいな。俺は被食者だぞバカ野郎みたいな感じでで。

近藤:面白いですね。

槙尾:6日間残されてたら死ぬわけだし、お金も自由に使っていいわけだし、もっとゴージャスな生活をやろうと思えば出来たりもしますよね。

本多:金のネックレスとかつけ出して。

槙尾:もっと国からも守られたりしてね。

本多:犯罪とかしても守られそうですよね。

近藤:こういうコントつくってください『食べられる男』みたいな。

岩崎:そうだね。でも面白かったですよなんか。今後が楽しみっていうと偉そうですけど、こういうテーマで映画をつくれるっていうことがまずすごいじゃないですか。だから今度ぜひ俺も脚本に参加させてほしい。

近藤:ぜひぜひ。よろしくお願いします。

岩崎:あともっとああいうのが欲しかった。例えば被食者が読む「しおり」みたいな、こういう気持ちになりがちなときとかのあるあるみたいな。その辺の遊びとかがもっと見たかったな。

近藤:被食されるクリームとかそういうのをもっと広げてよかったっていうことですよね。

岩崎:そうそうそう。だからあの辺がさ、ちょっとさ、後半単調になってきちゃうじゃん。そういう遊びとか、先人たちの知恵じゃないけど、そういうのがあったりするとなんかバカバカしいかなっていう。

本多:先人はいるわけですからね確かに。

岩崎:ケアチームみたいなのも多分いるんでしょ。

近藤:ちょっと時間がそろそろらしいので、告知があれば。

槙尾:さっきも出ましたけど「劇団かもめんたる」にプラス役者さん何人かお呼びして、今回だとヨーロッパ企画の石田剛太さんとか、ナイロン100℃の長田奈麻さんとか、何人かの役者さんを読んで、かもめんたるの普段やっているすごい短いコントを2時間ぐらいに長くして長編コントみたいな、ま、演劇に近いですね。

岩崎:そうですね。1本のストーリーでやるっていうのがあります。

槙尾:その「劇団かもめんたる」が7月の第2週目なんですけど、1週間、下北沢の駅前劇場でやりますんで。

本多:どんな話かもう決まってるんですか?

岩崎:いやまだ全然決まってないんですけど。決まってないっていうと心配されちゃうかなって思うんですけど、いろいろ決まってはいるんですけど。もうすぐいろんな情報が解禁というか、出演者とか僕らのTwitterとかをフォローしていただければ。

槙尾:ホームページ、ブログで告知します。

本多:また舞台とコントと違いますもんね。

岩崎:そうなんですよ。前回本多さんに見に来ていただいてね。どうもありがとうございました。

近藤:ありがとうございます。

(ひと:みちゃんが登場)

ひと:みちゃん:お耳の方だけ拝借いたします。『食べられる男』のパンフレットですが、先ほど鋭いなと思ったんですが、ちゃんと被食者に選ばれたときの1週間の過ごし方の「しおり」とかもですね、ちゃんと書いてあるんですよね、監督。

近藤:はい。一応載ってます。

ひと:みちゃん:下ごしらえをちゃんとしてるかとかのチェックシートとか、あとよく質問に出るP星人の設定。

近藤:50m何秒で走るかとか、首が何度回るかとか。

ひと:みちゃん:元嫁とどのようにして何年に出会ってどうなったかっていうことも細かく書いてありますし、まるで宝塚のパンフレットみたいに台本も載っておりまして、それでたったの700円で、もっと言うとひと:みちゃんの「どんどんぶらぶら」の歌詞も付いてますのでぜひご購入していただけたらなと思うわけんなんです。

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2017年5月2日 K’s cinema

『食べられる男』
2017年4月29日~5月5日 新宿 K’s cinemaにて 連日21時 1週間限定レイトショー
監督:近藤啓介 出演:本多力 時光陸 吉本想一朗 ひと:みちゃん 中野陽日 石川ともみ 川口新五 杉山まひろ 申芳夫

※今後、東京ほか各地で上映予定! 決まり次第『食べられる男』サイトでご報告いたします
公式HP:http://www.europe-kikaku.com/taberareruotoko/
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