【全起こし】『食べられる男』連日イベント⑦ラッパーの呂布カルマをゲストに迎えた「ひと:みちゃんナイト」開催

2017年5月4日 K’s cinemaにて、ヨーロッパ企画の本多力主演映画『食べられる男』のトークショー「ひと:みちゃんナイト」が行なわれ、ラッパーの呂布カルマが対談相手として登場! 以下全文掲載でお届け。(ネタバレ注意!!!!!!)

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近藤:ひと:みちゃんと一緒にいるときに、僕が呂布カルマさんを好きだって話をしたらですね、ひと:みちゃんが「あぁ、知ってるよ」って言ってその場で電話してくれて来てくれることになりました。
ひと:みちゃん:なんで知ってるんですかね、俺は。
近藤:わかんないですけど(笑)
呂布:すごい縁ですね。
ひと:みちゃん:最初に会ったのっていつだったっけね?
呂布:地元の先輩の怪人ですよね。
ひと:みちゃん:そうなんだよなぁ。どこ行っても浮いてるんですけど、ある程度優しくしてくれるっていう中でね。ヒップホップのMCバトルをなぜか仰せつかってね、司会みたいなのをね、その時に現れてきたんですよね。それで『クローズ』の世界みたいな人が現れた!と思って、それがラッパーだ!と思って。名前からしてもさ、三国志みたいな…。
近藤:(話を遮って)映画の話をね、ちょっとしていこうかなぁと思っているんですけどね。
(会場笑い)
近藤:これは大阪で撮られた作品なんですけども、僕と脚本の小村くんで二人で企画を考えて。大阪市のほうに“CO2”っていう映画を助成するシステムがありまして、そこに企画を応募して無事通ったということで、大阪市から助成金をいただいてこの映画を撮ることになりました。で、ひと:みちゃんにオーディションに来てもらって、主演の本多さんもオーディションで選ばせてもらって、こうやって映画が完成したわけですけども。カルマさん、今日観てどういった印象でしたか?
呂布:ちょうど、昨日愛知県の地元の牧場に娘と嫁さんと行ってきたんですよ。
ひと:みちゃん:娘とお嫁さんがおるという情報がね、今伝わりました。
(会場笑い)
呂布:そこに牛、豚、馬、鳥といるんですけど。乳がぱんぱんになった牛が乳搾り体験みたいな感じで、とっかえひっかえ乳をギューギューギューって搾られるんですね。その牛はもうおとなしくて、死んだような目をしてるというか…もう無欲な目なんですよ、家畜たちが。本多さんを見てそれを思い出しましたね。「あぁ、この目だ」みたいな。「この目をしてるから、この人が選ばれたんだな」って思いながら観てましたね。
ひと:みちゃん:あの口元もね、おちょぼ口でね。
呂布:そうですねぇ。
近藤:人々に食われるっていう不幸な出来事とか、自分じゃどうしようもないようなことに対して無欲になってただただ生きてる人がどんどん宇宙人からしたらおいしくなっていくっていう、その矛盾をテーマにして作りました。
呂布:でもまずかったんですよね?(笑)
近藤:はい。で、結局娘と出会ったことで生きることの欲求が出てきてマイナスな感情が減っていって、サモグロビンが下がったっていうふうな物語にしたんですけど。どうですか、悲しすぎたりしませんでした?
呂布:いや、めっちゃ悲しかったっすよ。自分、娘いるんで…。まだ何があるかわからないじゃないですか。まだ2歳とかなんですけど、あんな再会の仕方は絶対つらいなって思いながら観てたんですけどね。

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近藤:そうですよね。どうでした、ひと:みちゃんを見て。
呂布:ひと:みちゃんって、ひと:みちゃんのまま出てたっすよね。
近藤:ほぼそうなんですよ。
呂布:「ひと:みちゃんのままやん!」って思いながら観てたんですけど。
ひと:みちゃん:最初、27歳のイッセイっていう、なんか“ゆず”みたいな役で…。
(会場笑い)
呂布:よく応募したっすね。
ひと:みちゃん:だから俺も最初、元嫁の彼氏とかさ、募集がどうしても本多さんの役だからさ、やっぱりそっちだなぁなんて思って。で、オーディション行ったらまさかのさ…。そうそう、この中でひと:みちゃんを3回以上見たことがあるっていう方いらっしゃいます?(手を挙げて会場に問いかける)正直に。ほら、こうぱらぱらーってこれぐらいの中では知ってる歌とか気に入ってくれて。
近藤:ひと:みちゃんのプロフィールにも「歌を歌える」って書いてたんで、一回曲聴かせてもらったときに、不思議な魅力を感じて、僕の中でチャレンジというか。もともと脚本の段階では“ゆず”をイメージしてたんですけど。
(会場爆笑)
近藤:ひと:みちゃんにお願いしますと。一回僕が歌詞書いてきて、ひと:みちゃんに「歌ってください」って言って。
ひと:みちゃん:その歌詞がさ…歌詞っていってもレシートの裏にシャシャッ!っと書いたやつで、それで「どんどんぶらぶら」って書いてあって、「明日を見つめて泣いてる人は幸せに――」みたいなやつで。その「どんどんぶらぶら」じゃなくて「どんぶらどんぶら」だったけど、汚すぎて、字が。だから「どんどんぶらぶら」になって。
呂布:“ゆず”の相方のほうも結構がっつりおじいさんでしたよね。
(会場笑い)
呂布:ボーカルに合わせて選び直したってことですか?
近藤:いや、あれはひと:みちゃんの知り合いの方で。
呂布:完全にひと:みちゃんだったんですね。
ひと:みちゃん:あたくしは鼻歌で作るからさ、曲を作るときに。だから、絶対音感ある人とかギターコード弾ける人じゃないとだめで。で、鼻歌だったらできますよって。今まで作詞作曲は同時に降りてくる感じなの。だから、もらって曲だけ作るってことは僕も人生初めての挑戦だったんですよね。でも、「できます?」って言われたら「お、おお…うん」って言っちゃって。最初、関西のおしゃれなギターポップの人たちを紹介してくれる、みたいな流れで。で、期限も決まってるから、“こぼちゃん”っていう、俺が京都で泊めてもらう大金持ちの家に…。
近藤:(話を遮って)もうちょっとこの話は長いんで。
(会場笑い)
ひと:みちゃん:居候している人のね、その居候の人なんですけど。
呂布:そのお家の持ち主じゃなくて、そこに居候している人ですか?
ひと:みちゃん:そうそう。こぼちゃん。
呂布:誰なんすか(笑)
ひと:みちゃん:あの人はね、世界中を股にかけて大道芸をしているピエロ。そういう感じで絵を描くのも上手だったりとか…。
近藤:もう同じ曲は二度と弾けないんで。毎回違うんですよ、ギターが。音楽的にどう思います?音楽的目線で。
呂布:「嫌われてんのよー」みたいな感じとかシャッター閉まった商店の前でやってる雰囲気では、若い“ゆず”みたいな子よりしっくりはまってたんじゃないかとは思いました。
近藤: ひと:みちゃんって決まった段階で僕の中のイメージがミュージシャンっていうよりは一種の妖精みたいな感じで。村田の中に、こう…溶けてくるような。
ひと:みちゃん:村田さんとか、みんな冬にクリスマスとか厚着じゃんねぇ。なんならこぼちゃんもそうだけど、僕だけシャツ一枚にされて。あれ、映ってないですけど雨ざんざんぶりなんですよ。ぶるっぶる震えながら。でも、ひと:みちゃんは妖精なんで。「妖精なんでシャツです」って。ぶるっぶる震えながらやってさ。
呂布:その設定にまで気づいた人はいないだろうから結構無駄ながんばりだったかもしれないですね。
(会場笑い)
ひと:みちゃん:そこ!そこだよ、ほんとにねぇ。
近藤:宇宙人に食べられるみたいな、呂布さんがそれをテーマに考えていくとしたらこんな悲しくなると思います?
呂布:まず、あの宇宙人、弱そうやったっすからねぇ。「何とかしてくれよー」って思ったんですけど。
ひと:みちゃん:すぐに食べるのやめそうだよね。
呂布:僕、サモグロビンがあまり出てないタイプだと思うんで。
近藤:出てないと思います。
ひと:みちゃん:一切出てなそうだよね。
呂布:こうやって映画を観に…こういう単館に来てるお客さんって結構余裕がある人だと思うんですけど、ほんとにそんな余裕もなく、職場と家の往復のみみたいな人は結構意外といると思うんですよね。あの主人公の人はめずらしい、みたいな感じだったけど、めっちゃいるんじゃないかなって。山ほどいるんじゃないかなと思って。そのへんはリアルだなって思って観てましたね。
ひと:みちゃん:みんな翼の折れたエンジェル的な、食べられるとこだよ、みたいなね。
(ぽつぽつと起こる笑い)
ひと:みちゃん:あれ、間違えました?僕、なんか。
(会場笑い)
近藤:趣味とかなんにもなくて、ほんとにただ今を生きてる人がいっぱいおるんやろなぁって。僕の身近にもいて、そういう人ってこういう仕草するよなぁって、リアルを求めていったんですけど。それが響いてるかどうかっていう。
呂布:リアルだったっすね。実際僕も知ってますし、ああいう人たち。たくさんいるんだろうなぁと思って。それとちょうど昨日行った牧場の家畜たちが結構リンクしましたね。
ひと:みちゃん:(途中で席を外した目の前のお客さんの席を指さし、)あぁ!携帯わすれとっとるなぁ、お客さん。そういうとこは気づくんだよねぇ。人生は気づかんけども。
近藤:(呂布に対し)こういうトークショーは初めてですか?
呂布:もちろんっすね。
近藤:映画に出演したこととか…。
呂布:映画もないですね。
近藤:これからやっていこうとかは?
呂布:いや、わかんないです。役次第ですね。
近藤:演技とかできるんですか?
ひと:みちゃん:今からオーディション始まっとるの?!
近藤:いやいや!呂布さんのお芝居も一回見てみたいですね。
呂布:これから勉強していく感じですね。
近藤:もう一回歌いますか?ひと:みちゃん。
ひと:みちゃん:(歌い出すひと:みちゃん)どんどんぶらぶら~歩く~だけ~♪
呂布:3人帰りましたよ。
(会場爆笑)
ひと:みちゃん:どんどんぶらぶら~歩く~だけ~♪で、8人帰った?(笑)大丈夫だよ、そんなのもう。
近藤:何が聞きたいですかね、お客さんは。Q&Aみたいなの軽くやります?質問とかある人がいたら軽く答えたりもしますけど。
お客さん:最後はおいしく食べてほしかったんですけど、なんでおいしくならなかったんですか? さっき聞いてなんとなくわかるんですけど、最後はおいしく食べてほしかったなって。
近藤:そもそも、主人公が最後の最後まで辛いっていう物語をあんまり見たことないんで、そういうのをやりたいなっていう思いで。最後はおいしくないっていうふうにもっていく物語を作っていったっていう感じですね。その理由づけとして、結婚して離婚していって子どもがいて…で、血の繋がりっていうのが…どんな不幸が起こって、神様とか自分じゃどうしようもできない出来事でも血の繋がりっていうのは絶対あるんで、そこに対して村田が何かを感じたかっていうのを描きたかったっていうことですよね。
お客さん:ありがとうございます。
ひと:みちゃん:どうですか、質問。彼は。生声で聞かせてください、感想を。
お客さん:おもしろかったです。僕は逆に最後の最後まで絶望的だから、細かい…こんなこと話していいのかあれですけど、喜びみたいなものがすごい伝わってきて…おもしろかったですよ。
ひと:みちゃん:今日はカルマくんがDVDで観るのと…ていうか、「DVDっていうよりも直接でかい画面で観たいです!」って言ってね。それで本当に観に来てくれたのがね。「ついでに出ちゃってよ」って言ってね?これから着信拒否されんようにね。
呂布:そうっすね。大丈夫です。
ひと:みちゃん:ありがとね。ほんとに。
(ひとみちゃんと呂布が握手)
ひと:みちゃん:今日ここでさ、主演の本多さんも呼べたんですよね?
近藤:一回主演の本多力さんを…ご挨拶をさせていただきます。
(本多力が登場。会場拍手)

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本多:村田よしお役を演じました本多力です。今日はどうもありがとうございました。素敵な感想を袖で聞かせていただいたんですけど、ありがとうございました。ひと:みちゃんナイトなんですよね? 近藤監督、ひと:みちゃんのこと、結構無視してましたよね?袖で聞いてたら。
(会場爆笑)
ひと:みちゃん:そういうプレイなのかなって思って。今、監督であり大家さんみたいなね。
近藤:今、僕の家に住んでるんですよ、ひと:みちゃん。
呂布:住んでるレベルですか?
近藤:いますね、ずっと。なんでか知らんけど。
ひと:みちゃん:「その日、泊まるとこないんだけど」ってカルマに言ったら、監督の家に泊まればいいよって。
呂布:簡単に言ってましたねぇ。
ひと:みちゃん:勝手に人んちなんだけど。
近藤:どこにでも転がりこむんで。気をつけたほうがいいですよ。
呂布:結構やばいやつと出会ってしまったかもしれないですね。
近藤:そうなんですよ。これからずっとついてくるような気がして怖いんですよ。
本多:でも、ひと:みちゃんいないところで家帰って「ひと:みちゃんがいない」って寂しく感じてる自分もいるんじゃないですか?
(会場笑い)
ひと:みちゃん:ありがとう。
(本多とひと:みちゃんが握手)
本多:ひと:みちゃん、こんな汗だくだったんですか?(笑)
近藤:そろそろお時間が来たみたいなので。あんまり映画の話できてないですけど(笑)この3人が来ていただけたということがすごいありがたかったです。
呂布:お邪魔しました。
近藤:そろそろひと:みちゃん、締めていただいてよろしいでしょうか。
ひと:みちゃん:本当に今日のご来場、誠にありがとうございます。締める前にですね、『食べられる男』っていうのをカルマくんも観てくれたんですけど、P星人に対する質問がすごく出るんですね。(パンフレットを持つひと:みちゃん)だからP星人のことをいろいろ書いてあるとこがあったり、捕食者に選ばれちゃった一週間をどう過ごすかっていうしおりとかですね、あとひと:みちゃんの「どんどんぶらぶら」の歌詞とかも書いてあったり。この非常にナイスな脚本なんですけど、宝塚のパンフレットみたいに、ひと:みちゃんのがっつりカットされた台詞なんかもね、がんがん載ってまして。監督は二人で一つみたいな感じで撮ってるんですけど、脚本家の小村くんにも大きな拍手をお願いします。
(会場拍手)
ひと:みちゃん:ほんとに『バクマン。』みたいな感じで二人で作ってんだ?
近藤:はい。高校からの同級生で、高校、大学と一緒なんですけど、高校卒業して大阪芸術大学っていう映画の学校で映画を勉強して、卒業した次の年にこの映画を撮らせてもらって。そこからずっと一緒にやってます。脚本、よかったらパンフレットに載ってますんで、パンフレット買っていただいて、脚本も一から読んでもらえたらなと思います。いろんなところ変わってるんですよ、ほんとに。台詞とかもひと:みちゃんなんかほとんどなくなってるし。
(会場爆笑)
近藤:ひと:みちゃんの台詞、僕自分で書いてたんですけど、ないほうが余計に魅力的に見えたなぁっていう…編集してるときに。
呂布:いいように言われてますね。
ひと:みちゃん:甘んじて受け入れるよ、っていうところでね。
近藤:やっぱしゃべらんほうが、ひと:みちゃん不思議に見えると思うんで。
ひと:みちゃん:ほんとはおしゃべりなんですけどね。こんな汗かくのは初めてですよ。
近藤:僕もひと:みちゃんの汗、初めてですよ。
ひと:みちゃん:今まで生きてきて足が痺れてるのか、どこかすべってるのかわからないですけども。
近藤:いやぁ、ありがとうございます。
ひと:みちゃん:この後、出演者、なんならパンフレット買っていただけましたらですね、サインをいたしますので。本多さんのサインもありますしね。
近藤:ロビーのほうにいますので、ぜひ意見とか質問とかありましたら僕に来てください。サインとかもいたしますので、ぜひパンフレットをご購入ください。本日はどうも観に来ていただいてありがとうございました!
ひと:みちゃん:ありがとうございました!
(会場拍手)

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『食べられる男』
2017年4月29日~5月5日 新宿 K’s cinemaにて 連日21時 1週間限定レイトショー
監督:近藤啓介 出演:本多力 時光陸 吉本想一朗 ひと:みちゃん 中野陽日 石川ともみ 川口新五 杉山まひろ 申芳夫
公式HP:http://www.europe-kikaku.com/taberareruotoko/
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※今後、東京ほか各地で上映予定! 決まり次第『食べられる男』サイトでご報告いたします
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