【全文掲載】天海祐希「2人で会う時は、ドルっとどすっぴん」私生活では“裸の付き合い”の友人とは?

MC:映画の中の二人の姿が印象的すぎて、今が逆に普通すぎてびっくりしちゃいますね(笑)。そして、石井さん。篤子の義理の妹の夫でインテリ思想をもって篤子をヤキモキさせる桜井秀典を演じられました。今回は天海さん松重さん、そして石井さんと若村さんが演じる夫婦がどちらも印象的で素敵だったんですが、今回いかがでしたか?

石井:4人のシーンが多かったんですよ。やっぱり女性陣が激しいんで(笑)。激しく意見をぶつけられるという感じだったんで、秀典としては(若村演じる)志津子をしっかりサポートしたいっていう気持ちでいたんですけど、役者石井としてはそのシーンが怖くて、緊張感がすごすぎて(笑)。

天海:何が怖かったんですか!?

石井:いや…、あのー、今みたいな感じのが(笑)。本当に背が縮む思いでやってて。あ、ごめんなさい、身が縮むか(笑)。背はもともと縮んでるですけど、でもその4人のシーンが多くて、このお二方がすごく意見を戦わせているシーンで、大好きな先輩である松重さんが、こんなに小さく見えたことないんですよ。すごい背が高いじゃないですか? でも本当に小さくなってる感じが。

松重:桟敷席いる観客のような気分でいましたので(笑)。やっぱり2人芝居を見ていて楽しいし、泣いていっしゃるんだったらティッシュを差し出しますよって(笑)。このぐらいの気持ちですよ(笑)。

天海:テーブルを囲んで母をどうするかというシーンですね。お金のかかる母をどうするかという話のシーンで。

松重:お母様にどれだけお金をうちの家族は使って来たかってノートを出したりして。

若村:あれは絶対、夫が作ってるんですよ。

石井:だから、あれを出すタイミングが志津子さんが一番気持ちいいと思うタイミングで出さなくちゃならないっていうプレッシャーとかもあるんですよね。

若村:あそこは、夫婦の阿吽の呼吸ということで、あんまりお互い目を見ないようにしてました。敵の兄夫婦に対して、私たちは一心同体で臨むという風にしてたので、呼吸だけで合わせて。

石井:たまに秀典は支えたいっていうのがあるから、横を向くんですけど(笑)。

若村:支えてくれていることは十分、分かっているので良い夫婦だと思います。

MC:天海さんからも「2人は息ピッタリ」だと言われたと。

天海:そうでしたね。できたご夫婦でしたよ。敵対していましたけど。

石井:作品の中の短い時間でありましたけれども、若村さんみたいな素敵な方の旦那でいられたっていうのは、実生活で2回失敗してるんで(笑)。映画の中ではハッピーでした(笑)。

MC:そして妻役の若村さんは、章の妹で両親にかかる費用負担について正論を振りかざし、篤子と対立する桜井志津子を演じられましたが、天海さんとは私生活でもお付き合いがある中で、対立という役柄はいかがでしたか?

若村:そうですね、私生活も長いお付き合いでございます。でも、映画の撮影現場は初めてなんですね。なので、ちょっと緊張しました。友達なんだけど、仕事仲間みたいなのが、あんまり慣れてないというか。先に友達だったので、ちょっとドキドキ緊張して。お互いにメイクした顔を見るのが本当に久しぶりで。最初ちょっと見慣れなかったよね。

天海:そうだね。2人で会う時は、ドルっとどすっぴんですからね。

若村:そうですね(笑)。裸の付き合いなので。

MC:天海さんも、そんな若村さんと共演されて緊張はありましたか?

天海:はい、もちろん緊張しました。私から見て、若村麻由美さんという女優さんは素晴らしい女優さんで、尊敬しているところももちろんあるので、「天海祐希、こんなこともできないの?」と思われたら嫌だなーなんて思いながら、ちょっとドキドキして現場に行きましたよ。

若村:さすがでございましたよ。家族4人のシーンですけれども、撮影が始まるときに「ここのシーンはどういうシーンだ」ということ松重さんが先頭切って言ってくださったのが、私は大変助けになったんですね。

松重:覚えてない(笑)。

若村:ちょっと!お願いしますよ(笑)。松重さんが口火を切ってくださって始まった時に、ティッシュで涙を拭くみたいなのは現場で生まれたことで、まさか天海さんがああいう返しをされるとは、想像もつかないので、とても楽しいシーンだったなぁと思っています。

松重:巻き戻して観てくださいね。もう一回、劇場でどうぞ~(笑)。

MC:そして、毒蝮さん。柴田理恵さん演じるサツキの父で、曲がったことが許せない頑固者・大泉建三を演じられました。年金詐欺のシーンは皆さんも大笑いしたんじゃないかなと思いますが、今回草笛さんと共演されていかがでしたか?

毒蝮:はっきり言って、こうやってゆっくりお会いしたのも初めてだし、他の皆さんとも天海さんとも初めてなんでね。俺ずっと毒蝮の仕事をやってから「落語家ですか?」っていう人が10人のうち8人ぐらいいるんですよね。だから今回は役者として扱っていただいたんで、監督に感謝なんですけれどもね。なにしろ、現場へ行きましたら、俺の顔に似た草笛さんのきったねえババアしか見てないんですよ。で、今日はマリー・アントワネットみたいな格好してんだよね。本当はどっちだか分かんない。本当はしわくちゃでババアなのかもしれませんけども、人前に出るとこんなにもきれいになる。女の業を今日は見せていると思います。素晴らしい大先輩でございます。草笛大先輩にですね、「ババア!」と言わしていただけましたんで、こんなに気持ちの良いことはなかったと思います。でも度胸のいい草笛さんのお芝居なんでね、観てる人も驚いたと思うんですよ。あんな芝居見たことないし。それから天海さんの軽妙な演技が、元々宝塚の人はああいうことが好きだったんでしょうけどね。あんなに軽妙だとは。それをまとめた、この重いテーマをまとめた監督が本当に素晴らしいと思います。今回、出させていただいて本当に良い経験をさせていただきました。ありがとうございました。

MC:ありがとうございます。草笛さん、篤子の姑で浪費癖が抜けず篤子を振り回す後藤芳乃を演じられました。年金詐欺のシーンで三谷幸喜さんとのやりとりがありました。役者としての三谷さんはいかがでしたか?

草笛:出ていらっしゃることを私は知らなかったんですよ。だって書いてありませんからね。ただ、前に私が舞台に出ていたときに、あの方が客席で観ていらして、立ち上がって手を叩いてくださったの。その隣に確かこの組のプロデューサーがいたの。それで出たそうなんですけど、あの時は本当にびっくりしましたね。言いたいこと、どんどんしゃべるでしょ。あれご自分作ったんでしょうね。あのセリフ。ベラベラ喋って、鼻がぶつかって(笑)。後でメールが来まして、「どうしても草笛さんを笑わせたくて出てきた」って言うんですけど、私は歯を食いしばって絶対笑わないようにしてました(笑)。