「芸術家は悲しいものよ」フィンランドの画家ヘレン・シャルフベックの半生を描く『魂のまなざし』予告編

モダニズムを代表する画家のひとりとして、近年世界的に注目を浴びるフィンランドの国民的画家ヘレン・シャルフベック。その生誕160年を記念し、彼女の画業と人生を決定づけた1915年から1923年の時代を描いた『魂のまなざし』が、7月15日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となった。

シャルフベックは、ロシア帝国の支配下にあったフィンランドに生まれ、祖国の独立と内戦を経て封建的な世界が崩壊していく過程と歩調を合わせるように、画家として、女性として、一人の人間として自律的に生き、狂おしい愛に打ちのめされ生涯の友情を得る中で、自身と身の回りの存在を凝視しその本質を描きだす手法をひたすら追求した。抑圧的な母親や男性社会に臆せず、名誉よりも内から湧き出る情熱に従った。どん底にあってもやがて立ち上がって背筋を伸ばし歩んでいく。本作では、その凛としたシャルフベックの姿が、北欧の透明な光に輝く自然や街並みとともに全編美しい映像で描かれる。

予告編では、世界的評価の著しいフィンランドの国民的画家ヘレン・シェルフベック(ラウラ・ビルン)の不器用でいながら真実を求め、情熱に従い生きた半生が映し出される。「なぜ戦争や貧困を描くのか。女流作家にふさわしくない」と問われたヘレンは「画家が描くときは、作品の説明など考えない。着想は内側と外側から同時にわき起こる。芸術家は悲しいものよ。幸せでも」と意味深な微笑みを見せる。祖国独立と歩調を合わせるように、女流作家ではなく、一人の画家そして自立した人間として、苦難の時代を主体的に生き抜いていくヘレンだったが、世に名前が知られていく中でも、兄が一番優遇され母親に認められないことに苦悩していく。そんな中、19歳年下の青年エイナル・ロイターと出会ったことによりヘレンの生活が一変する。特別な感情が芽生えていく自分を受け入れられないヘレンだったが、彼が旅立ったことにより、寂しいという気持ちを受け入れ全てを認めると決意。しかしやっと届いたエイナルからの手紙には衝撃的な事実が書いてあり、ヘレンはあまりの悲しさに絶望し倒れてしまう…。

『魂のまなざし』
2022年7月15日(金)より、Bunkamura ル・シネマほか全国公開
監督:アンティ・ヨキネン
出演:ラウラ・ビルン ヨハンネス・ホロパイネン クリスタ・コソネン エーロ・アホ ピルッコ・サイシオ ヤルッコ・ラフティ
配給:オンリー・ハーツ

【ストーリー】 1915年、ヘレン・シャルフベック(ラウラ・ビルン)は、高齢の母親とともに田舎で暮らす、いわば忘れられた画家だった。それでもヘレンは湧き出してくる情熱のためだけに絵を描き続けていた。すべてが変わったのは、ある画商が訪ねてきて彼女が描き溜めていた159点のすばらしい作品を発見、大きな個展開催に向けて動き出したからだ。しかし、ヘレンの人生で最も重要な転機は、画商が紹介した15歳年下の青年エイナル・ロイターとの出会いによってもたらされる…。

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