MC:2人はどんな会話をしていたんですか?
池松:あの話、していい?
伊藤:私の本性?
池松:本当の姿。伊藤さんって、妖精らしいんですよ。知ってます? 本当に妖精らしいんですよ。それを車の中で聞いて、なんて返せばいいのか分からなくて。でも信じたほうが話が盛り上がると思って、「確かに伊藤さんと喋ってて、そういうところありますね」と。僕は2週間、妖精とお芝居してたんだなぁと思いながら、そういう話で盛り上がった記憶がありますね。
伊藤:信じてくれてるのかと思ってた…(笑)。
池松:いや、信じてますよ(笑)。
伊藤:言われたんですよ。占い師さんに。「あなたは人間ではない」と。番組に出た時に、「あなたは妖精です」みたいな感じで言われて、ちょっと響きとして可愛かったから嬉しいし、結構周りの友達とかも「言われてみれば、あまり人間ではないのかもしれない」という感じでみんな言うから、不思議ちゃんでいたいつもりは全くないんですけど、「妖精らしいんですよね」みたいなことを言ったら、「ごめんね、気づかなくて」みたいな感じだから、受け入れてもらえたと思ってたんですけど、すいませんでした(笑)。
池松:いやいや、妖精に会えてとても嬉しく思いましたね(笑)。
伊藤:こんなに棒読みってできるんだ…(笑)。
尾崎:それに嫉妬してるこっちも、どうなんだって(笑)。
池松:こっちだって頑張ってんですから。突然、共演者に「妖精」と言われて、びっくりしました。でも本当らしいですよ。
MC:伊藤さん、妖精なんですか? 尾崎さん、松居監督。
尾崎:ど、どうする?
松居:そ、そうだと思います。
MC:どんなところが?
松居:掴めそうで掴めなかったりとか?
伊藤:もういい(笑)。大丈夫、大丈夫。もうやめます、そんな宣言するの。
MC:明日のwebニュースは「妖精」になっちゃいますね。
池松:いや、いいんじゃないです?
伊藤:知ってもらうっていうのは、いいことですよね?
池松:妖精なんだから。
伊藤:妖精…です。(笑)。すいません(笑)。
MC:ありがとうございます(笑)。それでは、皆さんに質問です。2人が6年間の過去をちょっと思い出す作品です。そこで、皆さんが今までにちょっと思い出してしまうというエピソードがあったら教えてください。池松さんいきますか?
池松:絶対この質問来ると思いましたよね。半年間考えたんですけど、思いつかないんですよねー。
MC:半年前はまだこの台本できてないと思いますけど(笑)?
池松:そうか(笑)。
尾崎:先にいいですか? 今こうやって喋ってる池松壮亮の、このしゃべり方ですね。もうこの人しかいないんです。この間を使ってしゃべる人というのは。6年以上空いて久しぶりに喋った時に、すごい思い出しましたね。声と間とで。これだって思い出して、すぐに自分の体に入ってきて、その期間が一気に埋まりましたね。
池松:ちょっと思い出しただけなんですけど、タクシーにまつわる話なんですけど、タクシーに友達と乗ってたんですね。当時、悩み事があって、それを聞いてもらってたんですよ。そしたら運転手さんが突然振り向いて、「ちょっと聞いちゃったんですけど、大丈夫だよ。君は大丈夫だ」って言ってくれて、それをちょっと思い出しました…(笑)。
伊藤:それ私の話です! 私のとっておきの話です!しかもこれ、前の取材でその話をこの流れでしようとしたら、途中で遮ってまで「その話、前もしてたよ」って言ってきて、もう二度とこの話をしちゃいけないんだくらいに思ってて、だからこの時もしないようにしてたのに、あたかも自分ごとのように!?こわ…(笑)。人間ではない?
池松:俺の話は終わったから(笑)。
松居:僕いきます。結構前ですけど、尾崎くんと池松くんと、渋谷の映画館行ってご飯食べたりしてたから、それを思い出しましたね。
尾崎:キム・コッピさんが、僕はすごく好きで。舞台挨拶がある会に3人で行って、CDと手紙を持ってきたんですけど、恥ずかしくて受付にすら渡せなくて、池松に渡してもらったことがありました。
MC:お手紙も書かれたんですか?
尾崎:汚い字で書きました。
池松:でもその後、松居さんの映画で共演して。そのことは伝えなかったですけどね(笑)。
MC:でも届けられて良かったですね。
尾崎:音楽も聴いていただいて、その後も連絡をとらせていただきました。
MC:では最後に伊藤さんですが、池松さんが隣で笑ってますが(笑)。
伊藤:さぞ楽しいでしょうよ(笑)。どうしよ…。でも、小学生の時に共演した俳優さんが、最近作品を観てくださって、いろいろとお言葉をメールでいただいて、その時に今の悩みじゃないですけど、「こんな感じでやってるんですよ」みたいなことを話したら、当時と本当に変わらないアドバイスをしてくれたんですよ。多分、当時のアドバイスは忘れてるんだけど、してくれたんですよ。要するに「変わらないで欲しい」ということを、「マイペースに、あなたのままで行ってください」っていうことを言ってもらって、その当時に打ち上げ会場で小学生の私にちゃんと目を合わせて言ってくれた瞬間を思い出して、グッときましたね。
MC:いい話ですね…。
伊藤:ありました(笑)。なんとか(笑)。
MC:ありがとうございました(笑)。さあ、それではいよいよ2月11日に公開になります。最後に映画のメッセージをお願いできればと思います。尾崎世界観さんからお願いいたします。
尾崎:自分が作った曲発信ということも関係なく、単純にすごくいい作品で、観られてよかったと思ったので、自分が聴きたい曲を普段作っているつもりなので、松居くんも自分が観たい映画を撮ったと信じているし、そういう作品を作ってもらえたことがすごくうれしいです。皆さん、宜しくお願いします。
伊藤:私は個人的に本当にシンプルにこの映画が大好きなので、こうやって皆さんに届くことは本当に嬉しいんですけど、この作品を観て皆さんがそれこそ何をちょっと思い出すんだろうっていうのは、すごく興味がありますし、何を感じてあの頃みたいなことを、決してネガティブではなく、ちょっと思い出すことでまた前を向けるきっかけになったりとか、そういう寄り添った作品になれるといいなあと思っています。こんなご時世ですけど、よりたくさんの方に届くといいなぁと心から思っていますし、いろいろ口コミで広がったりすると嬉しいので、皆さんいろんなところに書き込んでください。見てます(笑)。何よりもシンプルに楽しんでいってください。ありがとうございました。
池松:改めて今日は本当にありがとうございます。こういうご時世で、オミクロンも心配ですけど、この2時間だけ日々のこと忘れて、映画に浸ってていただければとても嬉しいですし、時代の変わり目にみんながコロナという圧倒的なものを経験して、圧倒的に戻れないあの頃があって、そういうことにまつわる映画になってます。過去を再解釈することで、映画の魔法だと思っているんですけれども、この映画を観てもらって、自分がどこにいたのか、自分がどこに属するのか、改めて振り返ってもらって、いつか来る夜明けにこの映画とともに皆さんと迎えられたらなと思ってます。どうか安全にお帰りになってください。ありがとうございました。
松居:この同じ時代のこの国で生きているっていうことが、映画館だと共有できるというのは、昔は当たり前のことだと思ったんですけど、すごい僕は貴重だと思っていて、だからみんなマスクをして、距離を取って、でもなんとかして映画館に行きたいから映画館に来て、それを共有するという感覚ってすごく愛しいなと思っていて。なので、ぜひこの映画は今の時代から始まるんですけども、だんだん昔になっていって、また明日もがんばろうという、今日、映画館を出るぐらいから「頑張ろう」と思えるような映画になっていたらいいなと信じて作りました。もし映画を観ながらちょっと思い出したら、もうそっち側に入っちゃっても全然いいですし、観た人の数だけ『ちょっと思い出しただけ』があるといいなと思います。これから生まれていきますけど、良かったらこの映画を一緒に育ててくれたらうれしいです。本日ありがとうございます。
『ちょっと思い出しただけ』
2022年2月11日 全国公開
監督・脚本:松居大悟
主題歌:クリープハイプ「ナイトオンザプラネット」
出演:池松壮亮 伊藤沙莉 河合優実 尾崎世界観(クリープハイプ) 成田凌 菅田俊 神野三鈴 篠原篤 國村隼 永瀬正敏
配給:東京テアトル
【ストーリー】 照明スタッフの照生(池松壮亮)と、タクシードライバーの葉(伊藤沙莉)。物語は二人が別れてしまった後から始まり、時が巻き戻されていく。愛し合った日、喧嘩した日、冗談を言い合った日、出会った日…コロナ禍より前の世界に戻れないように、誰もが戻れない過去を抱えて生きている。そんな日々を“ちょっと思い出しただけ”。
©2022『ちょっと思い出しただけ』製作委員会