MC:そして声がかかった池松壮亮さんは、企画を聞いていかがでしたか?
池松:松居さんとは5年前くらいに1本映画をやっていて、それ以来で。尾崎さんとは7年ぐらいおそらく会ってなくて。僕は今31なんですけど、20代前半はとにかく一緒にいたんですね。色んな時間を共有して、映画を観に行ったり、同じ本を読んだり、同じ職業ではないんですけど、たまに集まって作品を作って、もうほぼ自分の青春と言っても過言ではないような人たちと、また再会して青春に決着をつけながらも、新しいものを生み出そうという気持ちでした。
MC:3人の思いが映画になっていったのかなと思ったんですけど、尾崎さんはご自分が書いた曲が映画になる、しかも出演っていう話も来て、どう思われたんですか?
尾崎:楽しみでしたね。そこまである話じゃないので、本当に映画一本に負けないように、本一冊に負けないような気持ちで、いつも一曲を作っているんですけど、実際にその曲きっかけで映画ができるというのは、それを少し実践できたのかなと思って、すごく興奮しましたね。
MC:俳優という仕事をされてどうでしたか?
尾崎:でも、いつも通り、ただほぼ自分として喋っていただけなので、そんなに実感はないですね。
MC:伊藤沙莉さんは、そんな皆さんの思いで作り上げた脚本を読んで、どう思われましたか?
伊藤:普通に面白いと思いましたけど、内容も面白いですし、その構成というか作りも面白いんですけど、何よりその企画がとても魅力的だったっていうのもありましたし、松居さんが映画を作るにあたって、私にいろいろインタビューというか、恋愛観であったりとか、「どういうときに喧嘩する?」とか、「喧嘩したときどうなる?」とかをいろいろ聞いてくださって、それを反映させてくださったこととか。そういうのも含めて、いろんな方向から愛を感じる作品だなと思ったので、とても楽しみでした。
MC:松居監督、この映画をどうしてラブストーリーにしようと思われたのですか?
松居:曲が男女のラブストーリーのように自分が感じたというのもありますし、この映画のことを考えていた時、家にずっとこもっていたから、昔のことを思い出したりする時間が多くて、今こんなに苦しいのにってことじゃなくて、昔があって今があって、今久しぶりに映画館に来れたら嬉しい、昔より嬉しいとか、久しぶりに人と会えたら、昔よりテンションが上がるとかって、すごく愛しい感情な気がして。そういう何気ない感覚を抱きしめられるような話にしようと思ったらラブストーリーというものが一番自分の中では、最後に曲がかかるのを含めて愛しい物語になる気がすると思って作りました。
MC:池松さんは、久しぶりのど真ん中ラブストーリーへの出演でしたが?
池松:なかなか縁が無いもので。照れくさいですよね。そんな見られたくないですからねぇ。本当はとても恥ずかしかったですけど、そういう自分の衒いも利用しながら色々とやってみました。
MC:伊藤さんとの共演はいかがでしたか?
池松:伊藤さんとは初めてながらに、2人の6年間を体現していかなきゃいけなかったので、なかなか時間がない中で僕もグッと詰められれば良かったんですけど、なかなかうそういうことが苦手なもので(笑)。1日2つぐらい質問しながら、徐々に詰めていったんですけど、最終的には、2人で同じ方向を向けたと思っていますし、シーンの密度を上げていくための即興的な遊びを、確認し合わずともいろいろ選んでいけたかなと思っています。
MC:伊藤沙莉さんはいかがでしたか?
伊藤:私もどうやって距離を縮めるかがすごく難しかったんですけど、最初、結構緊張してて「ラブストーリーって得意ですか?」って聞いちゃったんですよ(笑)。そしたら「はい?」って言ってて、質問を間違えたって思ったんですけど(笑)。ちょっとずつそうやって歩み寄れればいいかなって思いながら、でも待っている時間でそれをやるっていうよりも、お芝居をしていく中で、掛け合いでどんどん歩み寄っていければいいなっていう感覚でやらせてもらってました。