【全文掲載】大泉洋「できるわけねえだろ、馬鹿野郎!」「何も学んでないんだよ!」タップダンスを巡り、劇団ひとり監督にボヤき炸裂!

MC:ありがとうございます。では続いてのお題は「芸事」です。これは、土屋さんにお聞きしたいんですけれど。

土屋:この作品の中で芸事に関して一番多いのは大泉さんだと思うんですよ。深見さんが芸の話をされるシーンがあって。僕らが接してきてる師匠の世代の人たちが言う芸の話に通じているんですよね。内海桂子師匠がよく言ったんですよ。漫才は芸じゃないとは言いませんけど、僕らみたいに突っ立って喋ってるだけのしゃべくり漫才は、「芸がないじゃないか。何が面白いんだ。芸人は芸をやるんだよ」って言って、師匠は三味線とか踊りをやってたんですよ。だから、大泉さんの演技で内海桂子師匠を思い出しました。でも、その師匠がうちらに「なんでもいいから一個覚えろ」って言って、南京玉すだれを覚えたんですけど、全然役に立ってないです(笑)。タップは羨ましいなと思いました(笑)。

MC:さて、続いてのお題はこちらです。「夢」ということで、本作を通して改めて思う夢の存在、そしてこれからの夢について聞かせいただければ。これは深見師匠や弟子の夢を応援し続けた麻里役の鈴木保奈美さんがいいんじゃないかと思いますんでお願いします。

鈴木:深見さんのアパートのシーンを撮影した場所が、実は私が小さい頃に住んでいたところにわりと近くて。一駅ぐらいのところで、近くのお大師様に初詣に行っていたので懐かしいなあと思って。休憩時間に商店街を歩いてたら、私が通っていた幼稚園バスが通ったんですよ。まだあるんだ!と思って、私があのバスに乗っていた頃は、まさか自分が大人になって、ここでに映画を撮影に来るとは夢にも思ってなかったなぁと思いまして、とっても不思議な気持ちになりましたし、いろんな運命が引き合って、呼ばれてきたような気がしました。だから、今この幼稚園バスに乗ってる子供たちも、将来何が起こるか分からないから、いくらでも夢は持ってほしいなって思いましたね。

MC:漫才協会の師匠とかもね、本当に奥様が支えてる人が多いんですよね。

鈴木:そうなんですね。深見さんは、外ではカッコつけてますけど、麻里さんと2人の時はふにゃーって(笑)。

大泉:そうですね。麻里さんだけには甘えるという。

鈴木:とっても好きなシーンです。

MC:ありがとうございます。続いては「ビートたけし」ということで、監督にお願いします。

劇団:ちょうど近くの捕鯨船という、鯨屋があるんですけど、もう十数年前に、太田プロの芸人同士で浅草で飲んでて、「そうだ、鯨屋行こうよ」なんて言って酔っ払って行ったら、もう店が閉まってたんですけど、シャッターがちょっとだけ空いてたんで、僕が頭だけ入れて「すいません。もう閉まっちゃいましたかね?」って言ったら、女将さんがいらして「閉まってるけど、あんたどっかで見た顔だね。芸人だろ? じゃあ入んな」って、シャッター開けてくれて。で、みんなで飲んでて、「たけしさんって、どこに座って飲んでたんですか?」とか聞きながら皆んなでワイワイやって、「じゃあそろそろ失礼します。無理やり開けちゃって、すいませんでした」って、お金を払おうとしたら、「お代はいらない」って言うから、「いやいや。そんな無理して開けてもらったんだから、お代ぐらい払わせてください」って言ったら、「お代は、たけちゃんからもらってるよ」って。え?って思ったら、実はたけしさんが鯨屋に行く度に、「若いやつが来たら、これで飲ませてよ」って言ってお金を置いていくんですよね。間接的にご馳走様です、みたいになって。捕鯨船って、芸人のサインがすごい貼ってあるんですけど、「僕らもサイン書きたいんですけど」って言ったら、女将さんが「ごめん、今日は旦那がいないから、勝手に書かせちゃダメなんだ。ごめんね」ってなって。「じゃあ今度、旦那さんいる時に来ますね」なんて言った一か月後ぐらいに知り合いから連絡が来て、「お前、早く捕鯨船に行ったほうがいいよ」って言われて。大将が僕がサインを書きたかったっていうのを女将さんから聞いて、壁に白い紙を貼って「劇団ひとり様、予約済み」って。そこに後日行って書かせてもらって。そういうね、深見師匠とか、たけしさんとかの美学というかね。今回撮影で捕鯨船のシーンで実際の煮込みを使わせていただいて。スタッフに買いに行ってもらったら、「劇団ひとりから金とれねえ」ってタダでいただいて。カッコいいね、いちいちね。

鈴木:私は食べられなかったです。「麻里さんは食べないで」っていう指示があって。食べておけば良かったと思って(笑)。

劇団:本当に美味しかったですよ(笑)。でも、麻里さんは、たしかにそういう設定でしたね。

MC:ありがとうございました。ここからは、本作の関係者の方から皆さんへの質問をお預かりしております。カメオ出演していたCreepy Nutsさんから、「劇団ひとり監督は、どうしてCreepy Nutsをキャスティングして頂けたのでしょうか?」と。

劇団:町工場の二人組だったんで、最初は芸人がいいかなーと思って考えてたんだけどイマイチしっくり来ない時に、DJ松永さんとレギュラーをやってて、いろんな一般の人と絡むんですけど、DJ松永さんって結構デリカシーないじゃないですか。あの感じが、この工場の雰囲気に合いそうだなと。で、よくよく聞いたらR-指定さんはドラマとかも出てるっていうので、お願いしますってことで。松永さんは初めてだったらしいけど自然にやってくれて。「やめろ」って言ってんのに、時代に合わない言葉を「いやマジで」「超」とか、すごい言うから(笑)。この時代にまだないんでその言葉(笑)。

MC:Creepy Nutsさんと大泉さんは、共演は初めてですか?

大泉:初めてでした。おっしゃるとおりで、緊張なさってましたね。現代の言葉を使っちゃって、苦労なさってましたね。結構アドリブっぽかったですもんね。

劇団:台本上には一言二言しか書いてなかったんで、あとは雰囲気で現場でやってもらったんで。すごくいい感じになって。

大泉:緊張して頑張ってらっしゃるんだなと思いましたけど、その緊張をほぐすでもなく嫌な感じの監督でしたよ、その時も。

劇団:今日、プロモーションですから!? お願いしますよ。

大泉:もうちょっとほぐしてあげればいいのに、「現代語使われると困るんだけど」って。これは緊張するだろうなあと思って。

劇団:なあ、お前よお!

大泉:俺のことお前って言うな(笑)!

劇団:プロモーションなんだから、もっとのせろや! こういう時ってお互いのせるでしょ!? 映画のプロモーションとか。全然のせない、誰も俺を!(笑)。

MC:漫才はやめてください(笑)。ありがとうございました(笑)。続いて。タップダンス指導のHideboHさんから、大泉さんと柳楽さんへ。「大変なタップダンスの稽古であったかと思いますが、お疲れさまでございました。素朴な質問ですが、タップダンスをこれからも続けようという気持ちはございますか? 大変すぎて嫌いになっちゃったなんてことはないですよね?」ということでございますね。柳楽さんからお願いします。

柳楽:だけど今の現場とか違う現場でも結構やっちゃいます。あれやると温かくなるんですよ。

大泉:『浅草キッド』の現場でもずっと踏んでましたね。後半寒かったからね。

MC:タップダンスは難しかったですか?

柳楽:難しかったですね。

大泉:柳楽くんは、2分ぐらいのすごい長いダンスだったからね。僕は師匠のこなれた感じで、“上手な人がやってます”っていうのを出さなきゃいけなかったから。

MC:足だけに集中すればいいんですか?

大泉:ずいぶん簡単な言い方しますね!? 足だけやってればいいんでしょ?みたいな。んなわけないじゃないですか!? あれ上半身が難しいよね。手とかが固まっちゃうんですよ。

MC:監督もスクールに通われたとか?

劇団:脚本を書く上で、ある程度自分もやっておこうと思って、スクールに通ってましたよ。やらないと、YouTubeのすごいやつを見て「これやってください」って平気で言っちゃうでしょ。どれぐらい難しいか分からないから、そのラインを知っておくために何回か通いましたね。でも全然できない、難しい。だから一生懸命練習してもらって、ここぐらいかなっていうところをHideboHさんと話し合って。

大泉:でも、俺たちが「できない」って平気で言ってたよな?

柳楽:急にダンスが変わったりしてました(笑)。

劇団:……、もっと頑張れよ!

MC:めちゃくちゃ頑張ってましたよね(笑)!?