【全文掲載】大泉洋「できるわけねえだろ、馬鹿野郎!」「何も学んでないんだよ!」タップダンスを巡り、劇団ひとり監督にボヤき炸裂!

MC:ではここから、お題に沿ってお話を伺います。まずは「絆」ということで、本作を通して絆を感じられたエピソードをお伺いしたいと思います。こちらは大泉さんですかね、お願いします。

大泉:私は劇団ひとりさんと今回2作目でございまして、もう7年ぐらい経つでしょうか、『青天の霹靂』という作品でご一緒させていただいて、そしてまた今回重要な役に選んでいただきまして、私自身も大変監督との絆というものを深く感じております。こう見えましても大変人見知りな方ですから、客前に出た時にはおどけてくれますけど、友達も多くいるわけでもないし、撮影現場にも友達がいないんですね。だから僕がいるきだけは、楽しそうなんですよ。で、そういうことを言う人じゃないんだけども、僕のクランクアップがこの作品の中で早めだったんですね。そのあと一ヶ月位撮影が残ってる感じだったんですけど、監督が「寂しいですよ」とおっしゃって。珍しいなと思って。確かにそうなんですよ、僕がいなかったら本当にしゃべる人がいないんで。だから寂しそうなんですよ。で、僕はすごく監督との絆を感じてたんですけど、今回いろんなキャンペーンをしていくにあたって、「(大泉演じる)深見千三郎という方は、どんな方だったんですか?」と聞かれると、監督が「たけしさんから聞いてるのは、全部逆を言う人で、喜んでたら怒るし、悲しい時に面白そうなことを言う。そういうところがかかっこいいですよね」って言っていて、あまりにも深見さんがかっこいいなと思うが故に、全部逆をやるようになって。それがちょっと、めんどくさい人になってて。さっきも「大泉さんとは話すこともないんで」というのも全部逆で、深見さんに憧れてやるんですよ。それをやり過ぎてて、この間も札幌で飯食ったんですよ。そしたら突然「もう帰ってくれよ!」って言ってきまして(笑)。「いつまで居るんだよ、あんた!」って。もう訳がわからないんですよ。で、しまいには「全部ね、逆に言うんですよ」って、ぞれも全部明かすから、カッコよくもないし。なんか変な人にしかなってないんですよ!

劇団:逆の逆で、俺今の感情どうなってんだって自分でわかんなくなるんですよね。

大泉:でもそれを全部やったあとに、種明かしもするからカッコよくなんですよ。

劇団:「嘘つき村はどっちですか?」みたいな状態で(笑)。ややこしいんです(笑)。

MC:本心は大好きなんですね?

劇団:大好きだよ! いや…、嫌いだね!こんな男! でも、札幌に行くから、「せっかくだから上手いもん食べさせてくださいよ」ってメール送ったら、「分かりました。こんな店を抑えました」って来て、札幌のバーミヤンだったんですよ。札幌ならではの店に行きたいでしょう!?

MC:(笑)。それでは続きましてのお題は「馬鹿野郎」です。深見師匠の口癖であります、この「馬鹿野郎」は、照れ隠しとか挨拶代わりとか、激励などなど様々な意味が込められた言葉ですけど、本作を通した馬鹿野郎なエピソードを伺っていきたいと思います。柳楽さん、いかがでしょうか?

柳楽:今回、特殊メイクがあるんですけど、撮影に入る一週間ぐらい前まで、若い時も特殊メイクで全編いく予定だったんですよ。特殊メイクって4~5時間準備にかかるんですよね…。馬鹿野郎!

MC:…どういうことですか(笑)?

大泉:全部、特殊メイクでいこうとしていた監督に、「馬鹿野郎」と言いたんじゃなですか? だって現代のたけしさんで特殊メイクで出てるわけだから、若い頃も特殊メイクだったら、いよいよ柳楽じゃなくてもいいんじゃないのかってなるでしょ? 誰がやったっていいんだから。それをギリギリまで悩んでたんだから。絶対ダメですよ!?

柳楽:ありがとうございます(笑)。

劇団:実は、若い頃のたけしんさんの特殊メイクは、あんまり似てくれなかったんですよ。年老いてからは、シワがあるので作りやすんですよね。若い頃は、ツルッとしてるから似てなくて。あと、清さんもテストでやったんですよ。そしたら、土屋くんがただ太って出てきたみたいになって(笑)。特殊メイクチームに言わせると、一番遠い顔らしくて(笑)。

土屋:下膨れの土屋になっちゃって(笑)。

MC:でも最後の特殊メイクは、本当にそっくりですからね。

柳楽:本当にすごいクリエイターの方なんですよね。

MC:ありがとうございます。では次のお題です。「ショー」ということで、見事な歌とダンスを披露した門脇麦さんにお話を伺いたいなと思います。

門脇:私は『浅草キッド』の時代の歌だったり、音楽、映画とか、文化がすごく好きで、私はこの時代に生きてないんですけど、歌わせて頂いた歌もすごく子供の頃から馴染みがあるものだったので、嬉しかったですね。まさに撮影の時に、柳楽くんが漫才をする姿を私はこの辺で見てるシーンがあったんですけど、私たちは普段パフォーマンスする側ですけど、その時の撮影もやっぱ熱気がすごくて、演者の熱気と客席の熱気が同じ空間、同じ時間でマッチして、さらに高揚していて、それがショーなんじゃないかなと思います。

MC:監督、いかがですか?

劇団:あのシーンは、そこの角に立ってもらって、ツービートの漫才を観ながらほろっと泣くっていうシーンだったけど、びっくりするぐらいいい表情で、一発OKで。ちょっと時間かかるかなと思ってたんですけど、すぐやってくださって。僕が迷ったのは、実際に柳楽さんと土屋くんに、ここでツービートの漫才をやってもらうかどうかだったんですよ。感動するシーンなんだけど、実際に漫才やられちゃうと内容が内容だから。そんなのを見ながら泣けるのかなと。だからご相談したら、「実際にやってもらった方がやりやすいです」っていうことで、実際に二人が漫才してるところでやってもらって。だから、女優さんてすごいんだなーって思って。

MC:歌も大変でしたか?

門脇:そうですね。何度か練習して、監督も練習を見に来てくださったりして、本当に監督は表情が出ない方で…(笑)、大丈夫かなってずっと不安でした。

MC:逆いっちゃったんですか?

劇団:逆だったかなあ…。でも、門脇さんって努力家で、ずっとレッスンして。僕は見に行って、これは本番でいいと思ったんですけど、「もう一日、別でやらせてもらっていいですか?」って、ずっとやってくれて。

門脇:そんな風に思ってくださってるって、本当に思わないぐらい、ずっと下を向いて…。

大泉:そうだよね。みんな不安になるんですよ。

門脇:だから、大泉さんのシーンで、すごく監督が楽しそうにしていて、初めて監督の笑顔を見たかもと思って(笑)。

劇団:俺、大泉さんの前だけ、素直になれる(笑)。

大泉:(笑)。

劇団:陰では褒めてるんですよ?

MC:柳楽さんは、監督に褒めてもらえなかったと聞きましたが?

柳楽:今だに褒めてもらってないです(笑)。撮影中、大泉さんといる時は楽しそうだったから、余計に俺といる時はつまらないのかなって(笑)。

大泉:あれだけすごい柳楽のお芝居があるのに、なにも言われなくて、柳楽くんは初号試写を観るまでものすごい不安だったらしいよ?

劇団:だってね、いろんな取材記事を読むと、「作品を初めて試写で観て、監督のことを好きになりました」って言うから、作品を観る前は嫌いだったんだって(笑)。すいません、僕が口下手だったから。