MC：?田監督、それぞれの役者さんの迫真の演技っていうのがスクリーンから迫ってきてたんですけれども、ご自身で演出しながらこの役者さんのここが忘れられないって思うところを教えていただいてもいいですか。

?田：古田さんが、台本に書かれている重要なセリフに限って、さらっと言うんですよね。どうやって折り合いつけるんだろうなーみたいな。タクシーでのセリフもあったと思うんですけど、あれって多分他の役者なら「今すごい重要なことを言ってるぞ、見て！」っていう言い方をすると思うんだけど、さらっと言って、俺もなんか「OK…？」って気持ちになったんだけど、古田さんを信じたいなと思って編集してみたら、これは多分お客さんに届くと思って。逆に俺が考えたものっていうのはちょっとオーバーというか、あざといなと思ったので、そこらへんのさじ加減が鋭いなぁというか。勉強になっちゃいましたね。

古田：僕は芝居をする役者さんが嫌いで、なんでそんなことするんだろうと思うんだよね。なるべくあっさり。よく僕、クドいって思われているんですけど、よく見てください。あっさりしてますから（笑）。

MC：松坂さんはどうでしたか？

?田：自分で今、万引きした時のリアクションが本物に似てたって言ってるけど、古田さんが急に現れたりとか、シーン的にサプライズが多いじゃないですか。桃李くんの驚いたり、「うわぁ…」っていうのがテストで何回やっても、もちろんテストも何回もやってるんですよ。だいたいテストをやると、だんだん温度が下がってくるんだけど、桃李くんはずーっと新鮮なまま居られるから、そういう技術なのか忘れているのかよく分かんないけど（笑）。毎回新鮮な芝居をしているのが、すごいなあと。その鮮度がすごいなって思いますね。

松坂：忘れてるんだと思います（笑）。

MC：松坂さん、改めて古田さんと共演されてみてどんな印象が残りましたか。

松坂：ここまでガッツリと、ちゃんとお芝居を一緒にするのは今回が初めてで、前回はクマとお父さんの関係で声のお仕事でやっていたので、ここまで全く関係性が違う中でガッツリやるのは本当に僕自身すごく嬉しくて、実際にお芝居してみると、本当に辛い気持ちになってくるんですよ（笑）。今回の関係性的に言うと。時間を共有するのが僕はすごく楽しかったですね。

MC：じゃあまた是非。

松坂：違う関係性で、もっと仲の良い関係性で次はやりたいなと思います（笑）。

MC：ありがとうございます。?田監督、寺島さんとのお仕事はいかがでしたか？

?田：すごい大女優というイメージがあったので、会う前からだいぶ萎縮してたんですけど、会ってみたら、もちろん気さくに話しかけていただけるんですけど、勝手に圧を感じていまして（笑）。その圧で、“俺の麻子は完成する”っていうか自信につながったので、もしかしたら役作りで圧を出してくれたのかなぁとか今考えると思いますね。

MC：と、言われておりますけれども（笑）。

寺島：風評被害なんですよ（笑）。だいたい人がやらないような役をやりたいと思っちゃうタイプなので、そういうイメージがついちゃって。でもやって良さそうな人がウワっ！っていうのより、逆のパターンのほうがいいなってある時から思って、だから圧がかかっててもいいなと思うようになりました。違うんだっていうことを監督が広めてください（笑）。

?田：はい、頑張りますー（笑）！

MC：ありがとうございます（笑）。古田さんに代表してお伺いしたいんですけど、この作品は全国的に初回で満席状態で、しかも口コミが素晴らしいんですね。それについてはどんなお気持ちですか？

古田：ありがたいですね。何度も桃李とか、監督とかしのぶちゃんとかと宣伝で一緒に行ったりとかしてるんですけど、でもどうやって宣伝したら良いのか分からないなぁと思って。こんなにモヤモヤした気持ちになる映画を、ぜひ観に来てくださいっていうのもな…みたいな（笑）。でも先程、お客様に拍手していただいたんで、今こういうご時世ですけど、観終わった後に「あんな人いるよね」とか、「しのぶちゃんの役、嫌だったね」みたいな話をみんなで喋れるような映画だと思うので、死んじゃう人もいますけど、本当に気持ちが揺れる映画だと思うので、是非とも観終わった後にみんなでマスクしておしゃべりしてほしいなと思います。

MC：ありがとうございます。お時間も近づいて参りましたので最後に、改めて監督、松坂さん、古田さんにご挨拶をいただければと思います。

?田：お客さんがいっぱい入っているのは、監督としての今後の僕の寿命にも関わってくるので、ぜひ口コミでも広げてもらえるとありがたいです。ちなみに前作は、友達と観に行ったら貸切で、すごい悲しい思いをしたので（笑）、そうならないことを祈って皆さんのお力でよろしくお願いします。

松坂：古田さんもおっしゃっていたんですけど、「いるよね、こういう人たち」という方々ばっかりだと思うんですよね。なので世代だったり性別によって共感するポイントも全く違うし、すごく共感するところが僕自身は奥の方まで刺さって観終わった後に重くなったんですけど、皆さんにも引っかかりや、モヤみたいなものがあったら、まだ観てない方や一緒に観た方と話して、それを消化してほしいなと思っております。一人でも多くの方に観て欲しい作品なんで、ここからは皆さんのお力をお借りしたいです。よろしくお願います！

古田：今日は観に来てくださった方の感想も聞きたいです。SNSとかで感想を書いていただけると幸いです。本当に今日はありがとうございました。

『空白』
9月23日（木） 全国公開
監督・脚本：?田恵輔
音楽：世武裕子
出演：古田新太　松坂桃李　田畑智子　藤原季節　趣里　伊東蒼　片岡礼子　寺島しのぶ
配給：スターサンズ　KADOKAWA

【ストーリー】　全てのはじまりは、よくあるティーンの万引き未遂事件。スーパーの化粧品売り場で万引き現場を店主（松坂桃李）に見られ逃走した女子中学生、彼女は国道に出た途端、乗用車とトラックに轢かれ死亡してしまった。女子中学生の父親（古田新太）は「娘が万引きをするわけがない」と信じ、疑念をエスカレートさせ、事故に関わった人々を追い詰める。一方、事故のきっかけを作ったスーパーの店主、車ではねた女性ドライバーは、父親の圧力にも増して、加熱するワイドショー報道によって、混乱と自己否定に追い込まれていく。真相はどこにあるのか…？少女の母親、学校の担任や父親の職場も巻き込んで、この事件に関わる人々の疑念を増幅させ、事態は思いもよらない結末へと展開することに…。

©2021『空白』製作委員会