【全起こし】『イップ・マン 継承』トークショー ドニー・イェン愛が止まらない飯星景子と世界的な音楽プロデューサー川井憲次が「イップ・マン」シリーズの魅力を語り尽くす!!

ブルース・リーの師と知られる詠春拳の達人イップ・マンの人生をドニー・イェン主演で撮ったアクション・シリーズの第1作『イップ・マン 序章』(’08)、第2作『イップ・マン 葉問』(’10)に続く第3弾『イップ・マン 継承』の公開を記念してトークショーが開催された。

映画、アニメ、ドラマ、ゲームなどさまざまな作品の音楽を手掛け、「イップ・マン」シリーズ3作の音楽も手掛けた世界的な音楽プロデューサー川井憲次と、ドニー・イェン好きを公言し、「有吉反省会」では“新作を香港まで見に行く”“ドニー愛が止まらない1万字のブログ”など、その本物のマニアっぷりを披露し出演者にドン引きされていた飯星景子が登壇。もはやファンの域を超えて研究家の知識を誇る飯星が、川井からさまざまな裏話を聞き出し、さらに未定だというサントラについて、さまざまな提案を投げかけるなど、濃密なトークを繰り広げた。以下はその全文。(ネタバレ注意)

IMG_0492

MC:本日は『イップ・マン 継承』の日本公開を記念致しまして、素敵なゲストをお迎えしてスペシャルトークショーを行なわせていただきます。それではさっそくお呼びしたいと思います。「イップ・マン」シリーズ全ての作品の音楽を担当されました音楽プロデューサーの川井憲次さん、そしてドニー・イェン&クンフー映画の達人・飯星景子さんです。拍手でお迎えください。(2人登壇)川井さん、飯星さん本日はありがとうございます。まずはおひと言ずつご挨拶をいただければと思います。川井さんお願い致します。

川井:今日は晴天のなかありがとうございます。楽しんでいただけましたでしょうか。(拍手)実は僕も今年になってから試写を初めて見たという、つまり2年間完成してから見てなかったんですね。だからどうなったのかなって思って、非常に僕も楽しんで見ることができましたので、皆さんと楽しいお話ができたらなと思っております。

MC:ありがとうございます。では飯星さんお願いします。

飯星:皆さんこんにちは、飯星景子です。今日はですねせっかく作曲家の川井さんがこちらのステージに上がられたということで、私はインタビュアーとしてこの場に立たせていただきたいと思います。じゃあもう始めていいですか?

MC:はい、よろしくお願いいたします。

飯星:はい、では川井さんどうぞよろしくお願いいたします。

川井:よろしくお願いします。

飯星:実はですねパンフレットにすでに、くれい響さん取材によります川井さんのインタビューが載っておりまして、そこに素晴らしい内容がたくさん載っているので、ちょっと私もう聞くことがないなって思って困ってるくらいなんですけど、今回川井さんかなりこの「イップ・マン」シリーズのためにいろいろな媒体で取材を受けてらっしゃいますよね。

川井:そうですね。

飯星:「週刊大衆」にも載ってますよね?

川井:ええ、はい。あれ一番最後に載ってるんですけど。

飯星:最後のページでしたか! 私どこにあるのかとコンビニで一生懸命調べていたんですけど、最初のほうちょっとおっぱいばっかり出てきて(笑)。

川井:ええ、おっぱい祭りって書いてありましたね(笑)。僕も最初のページ見てるところをうちのマネージャーに写真撮られましたね。完全にエロ本読んでるオヤジになってますね。
IMG_0465
飯星:それはもうSNSに上がってたりします?

川井:いやー上がってません(笑)。

飯星:さて本題にさっそくいきたいと思うんですけど、この「イップ・マン」シリーズに関しましてどのように音楽が出来上がっていったのか、ネットのインタビューであるとか、パンフレットにたくさん書かれているんですけど、そのあたりもう少し掘り下げて具体的に伺いたいなと思うんですが、完成したフィルムをご覧になって、音楽をつけたということでよろしいですか?

川井:そうですね。いわゆる完尺っていって、長さが決まったフィルムを見て、もちろんまだ(CG処理前で)ワイヤーとかいっぱい映ってるんですけど、大体のアクションは見えるという、もちろんCGも入ってませんけど。

飯星:それは、完尺といってあとから編集を加えるような監督もなかにはいたりはします?

川井:いますね。

飯星:もう完尺と言ってるのに?

川井:言ってるのに大幅にカットされたりとか、延びたりとか。

飯星:そういうケースもある?

川井:はい、誰とは言いませんが(笑)。

飯星:そうですか(笑)。イップ監督はいかがだったんでしょう。

川井:実にやりやすい監督で、完尺だと言ったら本当に完尺なんですよ。

飯星:そこから手を加えるようなことはなさらない。

川井:しないですね。

飯星:なるほど。イップ監督と3作このシリーズでご一緒されてますけれど、テーマに関してはもう随分話し合ってるのでそんなに苦労はなかったというお話をインタビューでされてました。そのなかで気を付けられたことってどんなことがありますか? 時代的ななにか変化みたいな。

川井:そうですね。もちろん使う楽器っていうのはある程度決まっちゃってるんですけど、少しずつ現代に近づくみたいな、そういう作り方にしてほしいっていうふうに言われました。

飯星:それは1作目、2作目、3作目と。

川井:そうですね。

飯星:1作目の場合は、中国に古い楽器を巧みに使ってらっしゃいましたよね。

川井:巧みかどうかわからないですけど(笑)。でも二胡は使ってましたね。

飯星:ねー。で、2作目はちょっと色合いが少し変わってきた。

川井:そうですね。

飯星:3作目はどういう部分で時代を表現しようというふうに。

川井:意外とやってることはそんなに変わってないと思うんですけども、例えば踊りが出てきたりとか。

飯星:ダンスシーンですね! あれ素敵でしたよね~。皆さんね~。

川井:あれ結構苦労したんですよ。

飯星:えっ! そうなんですか? どういう部分で?

川井:やっぱりその時代の雰囲気を出したかったので、甘い感じも、しかもドニーと奥さんの、あ、ドニーじゃないやイップ・マンと奥さんとの、、

飯星:ドニーと奥さんだと別の奥さんになっちゃいますからね(笑)。

川井:ええ(笑)。イップ・マンと奥さんの甘い感じをやっぱり出したいなって思って。

飯星:もともとあれは既製の曲を使う予定だったというふうに伺っていますけど。

川井:そうなんです。それが最初にはってあって。

飯星:なんていう曲だったんですか? もともと使おうと思っていたのは。

川井:「Tea for Two」(二人でお茶を)かな

飯星:「Tea for Two」っていわゆるスタンダードナンバーですよね。

川井:それに合わせて踊って撮影も行なわれたんですよ。で、“これ使えるんですか?”って聞いたら“うん、大丈夫、大丈夫って”って言うんですよ。監督とか皆。でもこれ高いんじゃないかって“でもこれすごい高いですよ”って言ったら、“大丈夫、大丈夫”って。でもそのあと電話が掛かってきてやっぱりダメだったって。だから川井さん作ってくれて(笑)。

飯星:香港の人、権利に関してはものすごく疎いですからねー。

川井:……(笑)。

飯星:笑いのみ。

川井:はい。

飯星:そうですか。途中でゴーゴーダンスみたいなところで、既製曲じゃないですけど、イメージが具体的な曲も出てきますが、あれも川井さんですよね。

川井:はい、そうです。あれはもう本当にロックンロールっていう感じで作ってって言われました。

飯星:あ、そうですか。あれはもう最初からオリジナルで。

川井:はい。

飯星:今回この『イップ・マン 継承』のために大体、何曲ぐらい制作されたか覚えてらっしゃいます?

川井:あー覚えてないです。

飯星:そうですか、マネージャーさんは分かるかな?
(川井のマネージャーが回答)
川井:30ぐらいです。

飯星:私、想像してたんですけど、この「イップ・マン」という作品はもともとはCGIのブルース・リーを出すということで、始まってるんですけど、途中からちょっと権利の関係だとかで、実際にはダニー・チャンという香港の俳優さんがブルース・リーの役を実写で演じたんですけど、その分公開が前倒しになったんじゃないかなって、ちょっと思ってたんですね。これはあくまでも想像なんですけど。川井さんもしそれだったら大変だったんじゃないかと。

川井:いつも大変ですけど、でもちょっと早くなったっていうのはさっき知りました。

飯星:そうなんですね。スケジュール的に早くなったんですか?

川井:スケジュールが前倒しになって詰まっちゃったっていう。

IMG_0466

飯星:イップ監督っていうのは、どういう監督ですか? 川井さんにとって。

川井:これもどこかで言ったかもしれないですけど、音楽に対してセンスの良い人なんですよ。音楽のセンスが良いので、このメロディーをここからあてられないかとか。あ、なるほどなって。言われて初めて気が付くというか。

飯星:ほかのために作ったメロディーをこちらに流用できないかというような。

川井:ええ、例えばですね。あと、1作目で作った曲で普通に戦ってるときの曲なんですけど、この曲をテーマ曲にできないかとか。

飯星:あー、1作目の「マエストロのテーマ」、まぁ3作まで全部使われてますけど、「マエストロのテーマ」を本当は違うところで使う予定だったのに。

川井:全然違うところで使ってんですよ。ただ監督が気に入って、これをテーマ曲にできないかって言ってくださって。こちらとしても全然もう、なるほどなって。逆に自分が気付かされた部分が多いんですね。

飯星:じゃああの「マエストロのテーマ」という名曲が生まれたのはそういう裏話があったわけですね。

川井:そうですね。あとはいつも監督がうちの事務所に来てくれてそれで僕のデモを聞いてもらうんですよ。聞いてもらったときに、2作目だったかな。最後に戦ってイップ・マンが勝つんですよね。勝ったあとの音楽をもっと盛り上げたいと。

飯星:要するにあれですよね。(2作目の『イップ・マン 葉問』)でツイスターと戦って勝ったあとにイップ・マンが弟子たちに肩車されますよね。あのシーンってことですね。

川井:あのシーンですね。あのシーンでもうちょっと僕は静かな曲を流していたら、もっとお祭りみたいな曲にしたいんだって。分かったじゃあ作るからって。作るまでに時間が掛かるからちょっと待っててくださいって言って、うちの事務所の3階でイップ監督がずっと待っていて。その間に曲を作って。

飯星:えー! どれくらいの時間掛かったんですか? それを作ったときは。

川井:1時間半ぐらいだったかな。

飯星:え、1時間半であれをお作りになったんですか。

川井:いやそんな。

飯星:あ、元からあるものをある程度流用されて。

川井:そうですね。

飯星:でもあのシーンはあの曲があってこそっていうと変ですけど、かなり血が沸騰するんですよね、ファン的には。もうなんかこう、泡立つっていうんですか? 気持ちもそうですけど肌がね。
IMG_0467
川井:でもそうだとしたらイップ監督がすごいなって思いますね。

飯星:あぁそのリクエスト的に。

川井:ええ。今回もあったんですよ。

飯星:例えばどういう部分ですか。

川井:今回は最後戦って終わって、イップ・マンが大事なのは家族だみたいなことを言って、そのあとモンタージュっていうか回想シーンで。

飯星:奥さんの。

川井:ええ、それが流れるんですよね。で、そこのところの曲を僕はもう少しおとなしい曲にしてたら、なんかもっとうんと明るい曲にしたいって。もう天にも昇るような曲にしたいって監督がおっしゃって。じゃあやってみるって。その日は監督は3階で待たないで帰ったんですけど。翌日またいらっしゃって、聞いたら、これ!これ!って喜んでくださって。

飯星:少しアンニュイな曲にしようと思っていたところを明るくしてくれっていうリクエストをいただいて、川井さんのなかではどういうふうに解釈なさったんですか?

川井:あ、そっかって思って。逆に自分が気づかされたというか。もう奥さんが亡くなっちゃうのは分かってるわけじゃないですか。気分的には寂しんですよね。写真も撮ったし。だけど実はもうそこはがーって盛り上げたいっていう。これは監督のセンスだと思いますね。

飯星:なるほどね。そういう意味で言うと川井さんは本当にたくさんの映像作品に音楽を付けてらっしゃって、もちろんそのなかではアクションシーンにたくさん音楽を付けてらっしゃいますよね。そういう川井さんが見て、私たちファンとは違う視点でアクションシーンをご覧になる機会が多いと思うんですよ。どういうふうにこの「イップ・マン」シリーズのアクションを受け止めてらっしゃいますか?

川井:そうですね。やっぱり戦う理由があるんですよね、イップ・マンには。それが常になんか怒りだったり悲しみだったり、まぁ当たり前なんですけど、怒りがなきゃ喧嘩なんかしないですけど、背負っているものがある。それがなんか見えるような曲にしたい。しかも本人は淡々と戦うって言ったら変なんですけど、ウォー!っていういわゆるヒロイックなものはないじゃないですか。

飯星:そうですね、非常に淡々としてますよね。

川井:だからやっぱり高らかな戦いではない。大げさな戦いではないというか、うまく言えないですけども。やっぱり風格っていうのかな。イップ・マンの風格を第一に考えた戦いの曲にしたつもりなんですけど、ちょっと自分ではうまくできたか自信ないです。

飯星:いえいえ、とんでもない。この映画に関して言えば本当に大きな部分、川井サウンドは担ってますよね?皆さん。
(観客から大きな拍手)
川井:ありがとうございます。

飯星:本当にそう思いますよ。だって変な話ですけど、川井さんご自身はご存知ないと思うんですけれど、YouTubeで例えば“弾いてみた”とか“演奏してみた”とか“リミックスしてみた”みたいなものでこの「イップ・マン」の「マエストロのテーマ」ってものすごい数の動画がアップされてるのご存知です?

川井:知りませんでした。

飯星:すごいですよね?(観客うなずく) でももちろん素人の方が多いので演奏が拙かったり、上手かったり、プロ裸足だったり、いろんなパターンがあるんですけど、とにかくたくさんの人が、アジアの人だけに留まらず、世界中の人たちが演奏して動画をアップしてるんですよ。それぐらいやっぱり心に残ってるんだと思うんですね、映画をご覧になった方の。

川井:じゃあ帰ったら見てみます。

飯星:ぜひぜひ! だってあの中華圏でクンフーシーンだとかクンフーの何か動画みたいなもので付けるBGMで、昔だったら『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』のテーマ曲が圧倒的に多かったんですけど、この「イップ・マン」以降は「イップ・マン」の曲がすごく多くなってるんですよ。

川井:そうなんですか。

飯星:だから香港映画のテーマってあんまりハリウッドの作品ほどファンの方が覚えている曲ってそれほど多くはないと思うんですけど、この「イップ・マン」のテーマだけは本当に世界中の人が皆、愛してる。テーマだけではなくて、そういう(愛されている)音楽だと私は思いますし、お客様もどうですか? そう思いませんか?
(拍手)
川井:ありがとうございます。ま、そんなほめていただかなくても(笑)。

IMG_0469
飯星:いえいえ、もういくら言っても言い足りないぐらいの気分ですけれども。ここできっとファンの皆さんもぜひ聞いてみたい質問の1つだと思いますし、私もぜひ聞いてみたいことをここで伺いたいんですが、この『イップ・マン 継承』に関するオリジナルサウンドトラックは出ないんでしょうか?

川井:今のところ出る予定はありません。
(観客からえー…と声が漏れる)

飯星:えー…。1作目、2作目は出してますよね。こういうオリジナルサウンドトラックを出す経緯っていうのはどうやって決まるんでしょう。

川井:基本的には映画会社、製作会社が出すか出さないかを決めてるみたいです。

飯星:そうですか。権利自体はもちろん川井さんにもおありだと思うんですけど。

川井:ただ自分が出したいって言えば、、どうなんだろう。。よくわかんないんですよね。

飯星:まぁ香港の人ね、そのあたりうやむやな人が多いですからね。いまだにね。

川井:一応スペインとかフランスで出したいっていう話は今きてるんですけどね。

飯星:あ、スペインとかフランスのレーベルで『イップ・マン 継承』のオリジナルサウンドトラック出させてくれとは言われてるんですね。

川井:そうですね。その話っていうのは僕は関係なくて、映画会社とつまり製作会社とレコード会社が話すべきことであって。

飯星:そうなんですか。川井さんの方から出そうよって天馬電影のレイモンド・ウォンにメールのひとつも送ってみるみたいなのはどうなんですかね(笑)?

川井:確かにそうですね(笑)。ちょっとじゃあ。

飯星:ぜひお願いしたい。あと例えば香港映画の作曲家で『処刑剣 14 BLADES』とかのヘンリー・ライは、自分の楽曲をネットで販売してるケースもあるんですよ。そういうのは川井さんご自身は何かやってみようかなって思われることは。

川井:基本的にそういうことはやってないんですよね。

飯星:ええ、やっていらっしゃらないですよね。今後は、なんかやってみてもいいなーっていうのは。

川井:協力者がいればですね(笑)。

飯星:例えばどういう協力者がいればよろしいんでしょうか。うちホリプロなんで何か協力できることがあるかもしれない!

川井:あとで話しましょうか(笑)。

飯星:分かりました。じゃちょっとこの経緯は詰めてみたいと思いますので、とりあえず今のところもし可能性があるとしたらヨーロッパのレーベルが出したいという。あとはプロデューサーのレイモンド・ウォンがOK出せばいけるかも?

川井:そうですね。

飯星:じゃ皆さんぜひ「天馬電影」と言います。天馬電影のレイモンド・ウォン宛にメールを出して、ヨーロッパからきてるという話までは聞いているから早く出しなさい!というメールをですね、皆さん。

川井:それ可笑しいですね(笑)。

飯星:はい、こないだ聞いたぞ!ということで、ぜひたぶん会社のサイトを見ればメールアドレス載ってるんじゃないかと。あ!ダメだったらWeiboをあの人持ってますからWeiboに直接出すように働きかけていただければ。だって出したいっていうレーベルあるんですから、あとは彼がうんと言えばいいわけですから。ぜひそれはファンの皆さんでプッシュしていただけたらなと思っております。

川井:ちなみにですね、天馬電影のロゴ(の音楽)あるじゃないですか。

飯星:ありますね。

川井:あれ僕が作ったんですよ。

飯星:えええぇぇ!!!
(場内ざわつく)
川井:曲は。

飯星:曲を、そうだんたんですか。なんか思いっきり使い倒してますね。そうなんですか。じゃあそれぐらい協力してもらってもね、皆さん、ねーいいですよね。じゃあ、あのメールにぜひ君のところのあのロゴに音楽をつけたのは川井さんだってことも上がってるんだよって書いてですね、送っていただきたいな。

川井:あー心強いですね。

飯星:もちろんですよー。だって、ほしくないですか?
(欲しい~)
飯星:私ね、『イップ・マン 継承』のエレベーターのシーンで階段のところのファイティングシーンのテーマがあるじゃないですか。途中イップ・マンの「マエストロのテーマ」も挿入されますよね。降りていく、あーもう格好(を再現)したい! こう、、ね? もうあそこの曲とか死ぬほどいいですよね!

川井:ありがとうございます。

飯星:すごく素敵でした。要所要所でいわゆるイップ・マンらしいそのテーマみたいなのがはまっていくじゃないですか。あれっていうのはもう阿吽の呼吸で監督が言わずともそれがスッと入るって感じですか?

川井:そうですね。どこで入れるかっていうのは自分で決めてます。

飯星:あのシーンであの曲を入れようと思ったのは、川井さんなんですね。

川井:そうですね。あんまり細かい指示はしないんですよ、イップ監督は。

飯星:あ、そうなんですか。じゃあほとんどもうタイミングであるとか、ここで曲を転調しようとかっていうのはもう川井さんが決めてらっしゃるんですね。

川井:そうですね。

飯星:同じ格好いいテーマが、マイク・タイソンのところのシットスピンみたいな低いポーズがありますよね。あそこでもかかりますよね。

川井:そうですね。だから要所要所でどこに入れたらいんだろうって自分で決めて。

飯星:そういう意味でいうとこの「イップ・マン」っていう映画は要所要所でここはキマりだっていうのは見つけやすいですか、アクションシーンとして。

川井:そうですね、止まりますからね。

飯星:分かりやすい! 止まるところで。例えば振り返ったりとか、何かパンチをキメる手がアップになるとか、それもやっぱりひとついい区切りになりますか?

川井:そうですね。ただやっぱりそのずーっと動きっぱなしじゃないので、のべつ幕無しというよりは、ちゃんとポーズを付ける時間が。それが作りやすいですね。

飯星:それはほかの映画に比べると割とメリハリがはっきりしている方でしょうか、この「イップ・マン」は。

川井:と思います。

飯星:じゃ本当に素敵な音楽で私たちを熱狂させてくださって本当にありがたく思ってます。

川井:いやもうそんな(笑)。

飯星:今日、ここでお話しできたのが本当に光栄に思います。どうもありがとうございました。

川井:ありがとうございました。

MC:ありがとうございました。本日は実は、次回作の撮影の都合で今回は来日プロモーションができなかったドニー・イェンさんより、川井さんへメッセージをお預かりしておりますので僭越ながら代読させていただきます。

「こんにちは、ドニー・イェンです。川井憲次さんと私は、長いお付き合いをさせていただいております。以前私がアクション監督を務めた『修羅雪姫』(’01)という映画で川井さんと知り合い、本当に才能がある方だと感じました。当時この『修羅雪姫』で私が撮影したアクションシーンに仮の音楽を付けていたんですが、川井さんはその音楽を参考にしながら、独自のフィーリングを取り入れてくれました。最終的に完成した音楽は、とても映画にフィットするものになっていて、素晴らしいなと思いました。だから川井さんのことはとても信頼しています。その後『セブンソード』(’05)という作品でもご一緒させていただき、そのながれでウィルソン・イップ監督に紹介させていただきました。その当時、私はイップ監督と『イップ・マン 序章』を準備していたのですが、この作品には川井さんが持つ経験、情感が必要だと感じたからです。『イップ・マン』は歴史的背景を伴う映画ですから、音楽担当は川井さんがピッタリだと考えたのです。以来シリーズ3作でずっとご一緒させていただきました。次回作『イップ・マン4』でもぜひ川井さんに音楽を付けてほしいと願っています。最後に本日4月23日は川井さんの記念すべき60歳の誕生日だと伺いました。本当におめでとうございます。飯星さん川井さん今日はありがとうございました。ドニー・イェンでした!」

MC:なんと今日は川井憲次さんのお誕生日ということで、飯星さんからお祝いの花束をお渡しいただきます。皆さまどうぞ拍手を。
(全員でお誕生日おめでとうございます!)
IMG_0484

MC:川井さん本当におめでとうございます。ドニー・イェンからのメッセージで次回作のオファーもありましたが、いかがでしょうか。

川井:えっと、知りませんでした(笑)。

飯星:なんか撮るそうですよ。来年の頭にクランクインだそうです。

川井:へー。

飯星:『イップマン4』。

川井:あ、楽しみですね。

MC:皆さん楽しみにしていると思いますんで。

川井:はい、また頑張ります。

MC:よろしくお願いします。そして最後にドニーから本日こちらにお越しいただきましたお客様へもメッセージを預かっております。

「『イップ・マン 継承』を見にきてくださったお客様、ありがとうございます。ドニー・イェンです。日本のファンの皆さまが長年とても誠実に私のことを応援してくれているのを実感していて、とても感謝しています。ここ数年は時間が合わずになかなか日本を訪れることができませんが、皆さまにとても会いたいです。近い将来日本でファンミーティングなどできたらいいなと思っています。そしてこの『イップ・マン 継承』を気に入ってもらえたらとても嬉しく思っています。今日は本当にありがとうございました」

MC:という素晴らしいメッセージをいただいております。またドニーが実際に来日して皆さまの前にお越しいただけることかと思っております。本日はトークショーありがとうございました。川井憲次さん、飯星景子さんでした!

2017年4月23日 新宿武蔵野館

『イップ・マン 継承』
2017年4月22日公開
監督:ウィルソン・イップ 出演:ドニー・イェン マックス・チャン リン・ホン パトリック・タム マイク・タイソン