オリバー・ストーン監督が語る、米シャーロッツビルの暴動とトランプ大統領について

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The Hollywood Reporter

『プラトーン』(1986)や『7月4日に生まれて』(1989)などの監督オリバー・ストーンは、サラエヴォ映画祭に出席し、米バージニア州シャーロッツビルで発生した暴動について言及し、アメリカの問題はドナルド・トランプ大統領ではなく、システムそのものであると指摘した。The Hollywood Reporterが伝えている。

ストーンとロシアのウラジーミル・プーチン大統領とのインタビューを記録したTVドキュメンタリー(全4エピソード)は6月にアメリカで放送されたばかり。ストーンは、白人至上主義者の車が反対するデモ隊に突進し、女性一名が死亡し、数名が負傷したシャーロッツビルで起きた暴動について問われると、トランプ大統領についてははっきりと非難しなかった。

映画『スノーデン』(2016)の公開に伴い、サラエヴォ映画祭に出席したストーンは、イベントへの参加を除いて、最近はアメリカを訪れていないことを明かした。シャーロッツビルでの暴動直後、白人至上主義者を明確に非難しなかったトランプ大統領について自身の考えを尋ねられたストーンは、「トランプ大統領を日々非難しているが、さらに大きな問題がある」と指摘した。

ストーンは、「問題は(アメリカの)システムだ。トランプよりもそのシステムに問題がある。プーチンは第4代アメリカ大統領(ジェームズ・マディソン)の頃と(システムは)何も変わっていないと言っていた。アメリカは闇の国家、軍事産業で成り立っている国だ…。疑問視されてきたのはそのシステムで、トランプはその一部に過ぎない」と語った。

『スノーデン』は、NSA(アメリカ国家安全保障局)の内部告発者エドワード・スノーデンを描いた映画であるが、ストーンにとってこの映画についての質問は、現在のアメリカについての質問よりも気楽なものだったようだ。ストーンは、アメリカの現状について、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』の世界と恐ろしいほど似通っていると語った。

「『1984年』は現実となり、私たちは今その世界にいる。政府がまだやっていないことは、歴史を抹消することぐらいだ…。歴史を記憶している人々はまだ存在しているけどね。『1984年』に登場する“憎悪週間(ヘイトウィーク)”では、国名や国のトップの顔ぶれが集会の開催によって部分的に変化する。ある週はテロについて、次の週はプーチンについて、その次の週は朝鮮…というふうに。彼らはそうやって(事実から)逃げているんだ」とストーンは語った。

ストーンは、ドキュメンタリーの放送後、プーチン大統領を特集するために“多額の資金を提示した”と述べたが、その理由は自分がロシア人ではなかったからということを否定し、お互いに親しくなる方法がわからなかったからだと述べた。しかし、ストーンは、プーチンとの対談によって、“地政学的バランス”がどのように世界に影響しているかを知ることができたと付け加えた。

現在、ストーンは、グアンタナモ湾にある米軍事刑務所について描くTVシリーズの製作に取り組んでいる。ストーンは10エピソードあるうち、2エピソードの監督を務める予定で、脚本チームも監修している。