【全文掲載】阿部寛「一番苦手としていたから、芝居どころじゃなかった」監督絶賛の表情は演技ではなかった!?

MC:ありがとうございます(笑)。実は、みなさんに書いていただいたものがございまして、成瀬は30年間刑事一筋だったところ、ある日突然、音楽隊に異動という青天霹靂から物語が始まります。そんな成瀬の心情にかけまして、皆さんに、なんで私が?なんで俺が?と言うことを事前にフリップに書いていただきました。では阿部さんからお願いします。

阿部:「なんで俺にドラム?」。楽器は本当に苦手で、しかもドラムが一番苦手意識が強かったですね。映画で昔の人がやってるドラムを観てても、自分にそういう役が絶対来てほしくないというような思いだったんで、なんでドラムを俺がやるんだろうっていう。最初、本当にありました。

MC:監督に聞いたんですか?

阿部:聞いたかな?聞かなかったかもしれないです。でも、内田さん自体が、音楽映画が初めてということで、監督と一緒に挑んで行けたら楽しいなと思ったんで、お受けしました。

MC:監督、なぜ阿部さんにドラムだったんでしょうか?

内田:元々主人公はサックスかドラムかトランペットかなと思ったんですよね。阿部さんにやっていただこうとなっった時に、阿部さんだったらドラムだろうみたいな。個人的にはドラムがすごい好きで、見てるだけですけど。好きなバンドとかもドラムばっか見ちゃって。やっぱり自分の好きなパートをやってもらおうと言う感じです。

MC:そんな監督が阿部さんのドラムを叩いている姿をご覧になっていかがでした?

内田:がたい的にも迫力あるし、阿部さんは叩いてる感情が顔に出てくるのがすごい好きでした。演奏とリンクしてるっていうかね。

阿部:結果的には、自分が本当に一番苦手としていたから、芝居どころじゃなかったっていう(笑)。すごく映像的に良かったなと思って感謝してます。

MC:清野さんは、「なぜトランペット」。

清野:そうですね。私は高校生のときからギターを自分で独学でやっていて、ドラムも習ったりもしていたので、吹く楽器っていうのを一度も経験したことがなくて、なんでトランペットなんだろうっていう。なんで私はトランペットなんだろうっていう風に、最初お話をいただいたときに思いました。でも、どんどんいろんな音が出て行くと、すごく楽しくなってきて、もっとやりたいなあっていう気持ちにもなって。トランペットの先生に自分が好きな曲とかも課題曲にしてもらったりとか、吹く楽器もすごい面白いなって思いました。

MC:一曲まるまる吹けるものもできました?

清野:一曲丸々は…ちょっとサビぐらいですね(笑)。

MC:監督、なぜ清野さんがトランペットなんですか?

内田:清野さんは昔から面識があって、十代の頃から。ラップとかのイメージを勝手に持ってたんですけど(笑)。今回、出てもらうことになって、主人公はトランペットかドラムかで考えてたんで、だったらトランペットで。ジャズのイメージがすごい強いですし、とても似合うなと思ってお願いして。清野さんは結構完璧主義者というか、本当にちゃんとやりたいみたいな。結構、突き詰めて練習されたんで、見ていて本当に痛くなるぐらい大変そうにやっていて。でもやっぱり最終的にはほぼほぼ完璧にやって、最後のソロとかは、音楽やってる人でも「いや、絶対不可能ですよ」っていうぐらい難しいらしいんですよ。渋川清彦さんとかは経験者ですけど、「絶対無理でしょう」みたいな。ドラムもトランペットも。でも、おふたりとも完璧にやってたんで、ちょっと脱帽です。

MC:ありがとうございます。磯村さんはいかがですか?

磯村:「背の高い選手」です。学生時代、バスケットボールをやっていて、強い学校と当たると、みんな背が高くなったりするんですね。相手側の一番背の高い人が、阿部さんぐらいの身長の方で、ガタイがよくて。自分のチームのセンターが結構ゴツくて、タッパがある子だったんで、その人がつくと思ったら、自分がつくことになって。試合中、ジャンプしても全くボールに届かなくて、すごく悲しい気持ちになって終わったっていう。なんで俺が一番背の高い選手につかなきゃいけないんだっていう、「なんで俺が」でした(笑)。

MC:それは先生に聞いたんですか?

磯村:いや、聞くのはやめました。怖かったんで。多分、「強くなれよ」っていうことだったんじゃないかなと、自分の中では解釈しましたけど。忘れられないですね(笑)。

MC:モトーラさんはいかがですか?

モトーラ:「学級委員に選ばれた」です。小学校の頃なんですけど、クラスの投票で学級委員に選ばれてしまって、全然クラスをまとめるようなキャラじゃないのに、なんで私が学級委員に?って思いました。でもやってみたら意外と学級委員しか集まれない集まりとかが楽しかったです。ちょっと楽しかったです(笑)。

MC:この中で学級委員経験のある方はいらっしゃいます?(高杉、清野、内田監督が挙手)そうなんですね。どうでした?学級委員をやられて、高杉さん。

高杉:いや、なんか楽しかった記憶がありますね。うちの学校は校内放送でみんなが見る学級員の集まりがあったので。当時、「学校のテレビに映るなら、学級になりたい!」みたいな感じでやってました。

高杉:でも学級委員は投票ですよね?

高杉:みんなやりたがらないから、立候補すれば意外となれた気がする(笑)。

MC:清野さんはどうだったんですか?

清野:私は立候補で(笑)。やりたくて(笑)。目立つのがすごい好きだったので、すっごい楽しかったです(笑)。

MC:監督はどちらなんですか?

内田:僕は学級委員を選ぶ日に学校をズル休みしたら、次の日学級委員になってました(笑)。

MC:そっちの方だったんですね(笑)。ありがとうございます。さあ、じゃあ最後は高杉さんですね。

高杉:はい、「坊主になれない」。そんなに深い理由はなんですけど、16歳ぐらいからずっと「坊主になりたいです」って、取材の時に必ず言ってるんですよ。「どんな髪型したいですか?」「坊主になりたいです」。「どんな役がしたいですか?」「坊主の役をやってみたいです」って、10年間ずっと言い続けてるんですけど、なんでか僕に坊主の役が来ないっていうわけで、「なんで俺が坊主になれない」でした。なりたいんですよ。

阿部:似合いそうですよね。

高杉:本当ですか?

内田:じゃあ、次の映画で坊主で(笑)。でも、こう言ってますけど、実際オファーしたら「坊主はちょっと無理ですね」って言われるんですよ(笑)。

高杉:いやいや(笑)。

内田:よくあるパターン(笑)。

高杉:僕は喜びますよ(笑)。

MC:ありがとうございます(笑)。それでは最後に監督と阿部さんからご挨拶をいただきたいと思います。

内田:皆さん、今日はありがとうございました。こういった音楽映画です。なかなか日本には音楽映画が少ないんで、こういうのが増えていくといいかなと思います。音楽ってコロナ渦の暗いときとか、勇気をもらえたり、気持ちが楽しくなったりするんで、ぜひ多くの人に観てもらいたいなと思ってるんで、今日本当に初めて観てくれた皆さん、ぜひ一緒になって応援してください。よろしくお願いします。

阿部:僕はこの映画をやって、本当にいろんな挑戦がありましたけども、まあ、最初は何で内田さんが音楽映画を撮るんだろうなって思ったんですよ。だけど、内田さんの挑戦もあり、そして音楽のエンターテイメントで笑って泣ける映画なんだけど、そのなかに内田さんらしい人間ドラマというか、繊細な部分が含まれていて、非常に好きな塩梅になった映画だと思ってます。僕は試写会で、自分が知らないうちに涙が出たというのが、この映画が初めてで、なんで俺は感動してるんだろうと。彼が変わった瞬間に、凄く感動したんですね。人生何度でも挑戦できるっていうか、ステージを変えても生きていける。それは僕なんかの年齢の人がいるだけじゃなくて、若い人もみんなそうだと思うんで、今生きづらく生きてる人も、この映画にすごくヒントがあると思うんで。それを観ていただきたいなと思います。また、皆さん、応援してください。今日はありがとうございました。

『異動辞令は音楽隊!』
2022年8月26日 全国公開
監督・脚本:内田英治
出演:阿部寛 清野菜名 磯村勇斗 高杉真宙 板橋駿谷 モトーラ世理奈 見上愛 渋川清彦 酒向芳 倍賞美津子
主題歌:Official 髭男 dism「Choral A」
配給:ギャガ

【ストーリー】 犯罪捜査一筋30年の鬼刑事・成瀬司(阿部寛)は部下に厳しく、昭和さながら犯人逮捕の為なら法律すれすれの捜査も辞さない男。家族もろくに構わず一人娘・法子(見上愛)からはとうに愛想をつかされている。そんな成瀬は高齢者を狙った「アポ電強盗事件」が相次ぐ中、勘だけで疑わしい者に令状も取らず過激な突撃捜査をしていたが、そのコンプライアンスを無視した行動が仇となり、突然上司から異動を命ぜられる。刑事部内での異動だろうと高をくくっていた成瀬だったが、異動先はまさかの“警察音楽隊”だった…。

©2022 『異動辞令は音楽隊!』製作委員会