【全文掲載】阿部寛「一番苦手としていたから、芝居どころじゃなかった」監督絶賛の表情は演技ではなかった!?

MC:高杉さんはどこですか?

高杉:僕は阿部さん演じる成瀬さんが、初めて音楽隊に来るシーンですかね。なんかあの雑多な感じというかで、これから音楽に出会っていくんだっていう感じだったりとかっていうのはすごく好きで、卵のパックがバーって並んでいるのに、ちょっと感動したので、それも含めて好きなシーンです。

MC:阿部さんと撮影をご一緒していて、どんな印象がありましたか?

高杉:背が高い(笑)。僕は斜に構えた役だったので、阿部さんに対して突っかかることが多かったので、阿部さんが近づいてくると、「はっ、きた!」って、ちょっと緊張が走る感じが、僕にも(自身が演じた)北村君も含めあったと思います(笑)。

阿部:僕もあのシーンは好きですね(笑)。全部好きなんだけど(笑)。こういうキャラの人が反抗してるんじゃないですか?それがすごい好きなんですよ。なんか「よく来てくれた!若いのに!」みたいな(笑)。すごい好きです(笑)。

MC:モトーラさんはどこですか?

モトーラ:バスで「いけるぞ!」ってなったとこで、「わー」って。「わー」って(笑)。「ヨッシャー」ってなった時のシーンは、演じててもすごい盛り上がって楽しかったです。

MC:監督、そういう皆さんを束ねるっていうのはどうだったんですか?

内田:束ねると言いますかね、ちょっと後ろめたかったです、ずっと。めちゃめちゃ大変なんですよ。僕が想定していた演奏をあそこまでもっていくのはめちゃめちゃ大変で。清野さんも阿部さんも、磯村くんはなかったから、なんとなく僕の気持ちもわかるかもしれないですけど、すごい大変そうで。やっぱり毎日練習して長く長く努力されてたんで、何もやってない自分がちょっと後ろめたいなって(笑)。だから、脚本を書いておいて、本当に最後のラストシーンを撮った時は、一応この作品の演出家ですけど、普通に感動していました。本当にミッション・イン・ポッシブルで(笑)。不可能なんじゃないかと言われてたんで、楽器をやったことない人たちにあわせるっていう。それができてたんで、やっぱり感動しましたね。

MC:じゃあ、阿部さんはトム・クルーズなわけでございますね。

内田:そうですね。うまく締めてもらってありがとうございます(笑)。

MC:では、一番苦労したシーンっていうのも、お伺いしたいんですけど、阿部さん。

阿部:楽器が本当に苦労したんですけども。考えてないな…。あ、でも最後の磯村君とのシーン。そこで監督が磯村くんに芝居を何回も何回も。俺はOKなんじゃないかと思ったけど、監督がすごく粘ったんですよ。10テイクを超えるぐらいやってたんだけど、僕の方が緊張してきて、「頑張れ!」みたいな感じで。そこを自分の中で抑えなきゃみたいな、自分の芝居をしなきゃっていうのは、意外と苦労しました。

磯村:そうですね。一回目をやった後に監督から「毛穴から感情を出してくれ」って言われたんですね。毛穴から感情出すと初めて言われたと思って、どうやって出していくんだろうっていうところで一回混乱したんですけど。何回もトライしたんですけど、なかなか上手く入っていかなかったんですよ。でもそれをずっと阿部さんが目の前で全部受けてくださって、まっすぐ自分の目を見てくださったんで、それも感じていく中で、最終的にはOKが出たんですけど、何回もトライさせて頂きましたね。そういった意味ですごく感謝してます。なかなか何回もやらせてもらう現場も少ないので、内田組は本当に素敵だなとその時感じましたね。

MC:それでもですよ。前に先輩がいて、先輩待たせてるの緊張しますよね。

磯村:最初は、阿部さんに本当に申し訳ない、ごめんなさいって思ったんですけど、後半はもうなんかそれどころじゃなくなってましたね(笑)。何も周りが見えなくなりました(笑)。やばい、やばいっていう焦りがすごかったですね。

MC:モトーラさんは苦労したところはありますか?

モトーラ:やっぱりカラーガードですかね、本当に最初は、絶対できないと思って。投げてキャッチするのが本当に何回も何回も落として。で、ある時、突然キャッチできるようになって、「あ、できた」と思って。あれを一回落とすと、みんなに迷惑をかけてしまうので、百発百中できるようにっていう。はい…。外は風とかに影響してしまうので、潮風を浴びながら、はい。

阿部:僕なんかは、ちょっとミスしてもバレないじゃないですか(笑)。大変だなと思ってました。

MC:監督、落としちゃうと、もう一回撮り直しとかだったんですか?

内田:実はラストシーンでモトーラさんがキャッチして、ちょっと笑顔になる瞬間があるんですよ。あれは、最初引いた画で、全員が入ってたんですよ。でも編集していて、スタッフたちが「キャッチした時の彼女の『やった!』っていう笑顔がいいんだよ」っていうので無理やり(笑)。スタッフたちも、そういうのを一緒に見ていたんで、みんなが苦労していたのを。だから彼女がキャッチした笑顔の表情がすごい好きだって、みんな言ってましたね。

MC:高杉さんはどこですか?

高杉:僕は成瀬さんのお母さん役の倍賞さんを、パトカーに乗せて運転するシーンです。緊張するんですよ(笑)。緊張しました。普段、あまり運転をしないので、倍賞さんを乗せて運転するとか、やっぱり緊張します。

MC:倍賞さんとおしゃべりされました?

高杉:はい(笑)。「事故ったときは、事故ったときよ!」って言ってました(笑)。かっこいい〜、倍賞さんって思って(笑)。

内田:でも、5メーターぐらいでしたけどね(笑)。

高杉:緊張しますよー(笑)。やっぱり緊張しましたもん。かっこよかったです、倍賞さん。

MC:清野さんはどこですか?

清野:みんなで、マーチング練習するシーンで、楽器を持たずにひたすらマーチングの動きの練習のシーンが…。

阿部:あれ、最悪でしたね(笑)。

清野:めちゃくちゃ暑くて(笑)。みんなヒーヒーながら(笑)。上からドローンで撮っていたので、上から撮るとちょっとずれたりすると目立つので。みんなでちゃんと揃えてマーチングしたり、それが何度も何度も続いたりして大変でしたね。クランクインする前もみんなで集まって、マーチングの練習もやってました。

MC:阿部さんもまさかね、年齢を重ねて、そこでマーチング練習をするなんてですよね?

阿部:動きがなんかセコい…。セコいって言っちゃった(笑)。小股で歩くじゃないですか。ちょっと嫌なんですよ。俺と渋川(清彦)さんだけ、ちょっと抵抗感があって。で、もめるシーンが確かあったと思うんだけど、実際ちょっと本当にもめ出すような雰囲気になっちゃって(笑)。結構大変だったです(笑)。