MC:三池監督、今回はたくさんのキャスト陣の方々が特殊メイクをされていますが、特に撮影で大変だったことはありますか?
三池:皆さん、妖怪にどこかしっくりきて、自分の一部をそこに投影して嬉々として演じてもらっているので、すごいパワーアップしていくっていう。妖怪って友達というか仲間っていうか、本当に心の中に存在するんだなっていう、一人一人の中に住んでいるっていう。ただ赤楚さんに関しては、「どこに出てたっけ?」って言うと思います。赤楚さん目当てで来た人には申し訳ないなぁと思うようなぐらい、びっくりします。それぐらい妖怪になりきってるんで、すげー役者だなっていう。皆さんもそう思うと思います。
MC:では寺田心さんに聞きたいと思います。今回たくさんの妖怪が出てきますけれども、注目ポイントをまず教えてもらってもいいですか?
寺田:ひと言で言うと技術の集まりです。やっぱり特殊メイクや衣装や小道具などもすごく細部にこだわられていて、それに演技が相まって本当に妖怪そのもので、僕はみなさんのお芝居にずっと驚かされてましたね。
MC:杉咲さんの狐面の女ですが、どれぐらい特殊メイクに時間がかかったんですか?
杉咲:3〜4時間くらいかかっていたと思います。コーンロウっていう細かい編みこみのヘアスタイルに時間がかかるんですけど、一回編み込んでもらうと1週間ぐらい外せなくて。そのままお家に帰ったりとかしていたんですけど、うっかり帽子を被るのを忘れてコンビニとか行ったときに何か妙な興奮みたいなのがあったりして楽しかったです(笑)。
MC:アクションも大変だったですよね、このファッションですと。
杉咲:パンツの裾が長くて、走らなきゃいけない時にちょっと転んじゃったりとかもするぐらい難しかったです。
MC:大沢さんの特殊メイクは、どこが特にポイントでございましょうか?
大沢:え、メイクの? それはメイクさんじゃないと分かんないんですけど(笑)。ただメイクに3時間ぐらいかかって、落とすのにも2時間ぐらいかかるんです。それも含めてだんだんと妖怪に変身していくきっかけになれたんで、すごく今は愛おしく思います。
MC::完成した作品でご自分の姿をご覧になられてどうでしたか?
大沢:僕は大人なんだけど、作品は思ったより怖くて(笑)。結構怖いんだなと思いながら(笑)。これ子供だけじゃなくて、一緒に行かれる親御さんも覚悟して行ったほうがいいんじゃないかっていうくらい怖いなと(笑)。肝試しみたいに、皆さん劇場に来てくれたらいいかなと思いましたよね。
MC:三浦さんの天狗さんも、実は私も最初分からなかったんです。天狗が白というのも珍しいですよね。
三浦:そうですね。僕もよくある天狗の赤いお面のお鼻が長いやつかと思ったんですけど、生物として鼻が長い生き物でしたね(笑)。鼻が長いのが意外と大変で、10センチないくらいはあるんですけど、鼻が長すぎるとペットボトルの飲み物が飲めないんですよ。傾かないから。そういう苦労があるんだなぁと思ったんですけど、この先何の役にも立たないんですけどね(笑)。
MC:メイクの時間も結構かかるわけですよね?
三浦:僕も3時間くらいですかね。あと僕だけかな? 羽が生えてるんですよ。羽が生えているので、横幅がすごく広いんですね。なので狭い扉とかスタジオの扉とか入れなくて、横になって入るのが結構大変で、あとすごく重いので腰が痛かったですね。
MC:大島さんの雪女は、登場する度に雪が降っていたような…? あれはどうやってたんですか?
大島:あれはずっと、雪の付き人みたいな方が、私が動くたびにずっと一緒に動いてくれて(笑)。ちょっと青白い照明も、青い光を出してくれている付き人妖怪みたいな人が、ずっと一緒に(笑)。だから、特別なシチュエーションを常に感じながら、でもすごく雪女という気持ちになりましたね。顔の半分は凍ってるんですけど、メイクは3時間くらいですかね。でも私の場合は顔に凍っているものをつける時に、普通に座っている状態だと付きにくくて、氷が落ちてしまうので、リクライニングチェアを用意していただいて、寝っ転がりながらつけていただく作業をしていただきました。顔の表情を動かすと全部氷が落ちてしまうので、私が歩いた跡が全部分かるんですよ(笑)。
MC:ありがとうございます(笑)。天邪鬼さんは、本当に赤楚さんには見えなかったというか。どんなところが特にポイントでございましょうか?
赤楚:すごくこだわっているポイントとしては、ここ(脇の辺り)に顔があるんですけど、天邪鬼は人の顔を干して、頭皮を食べて生きてるっていう設定で、意外とこだわってたりしていて。地味に怖いんですよ(笑)。特殊メイクで鼻をつけたんですけど、その鼻の穴がめちゃくちゃ小さくて、撮影当時、僕は花粉症で苦しんでいたので、メイクさんに綿棒で鼻に突っ込んでもらって、鼻水を出してたりして(笑)。一箱分くらいは消費しちゃって、メイクさんには申し訳なく思ってます。
MC:メイクのお時間はかかりましたか?
赤楚:僕も3時間ぐらいですかね。一番困ったのは爪が真っ黒で、ずっとつけてないといけないので、コンビニの店員さんとかに見られると、恥ずかしかったなっていう(笑)。
MC:監督、それぞれの妖怪のこだわりは、話し合いながら色々と決めていたのですか?
三池:というか、昔から語られている妖怪を、みなさんに演じてもらう。そこでアレンジがされて。そこに正解がないんですよね。それを作っていくっていうのは非常に楽しかったですね。その後、皆さん楽しんだ分、大変な思いをされてたんだなぁと思って見てたんですけど。(姑獲鳥役の)安藤サクラさんは、ほぼまんまだなあって(笑)。ふと、そんなことを考えていました。すいません(笑)。
MC:ありがとうございました(笑)。さて、ここで皆さんに共通質問をいたします。先日、監督からこんな話が出ました。「妖怪は人間が心の中に、本当は持っているピュアなもの」。そこで質問、出演者の中で誰が一番妖怪っぽいか? 寺田さんから。
寺田:三池監督だと思います。
三池:やかましいわい(笑)。
寺田:いや(笑)、三池監督は世の中の出来事をいろんなことを知っているからこそ、逆にピュアなのかなって。
三池:それ全然分かんない(笑)。やんわりけなしてるってこと!?
寺田:そんなことないですよ(笑)。
MC:大島さんと大沢さんも手を挙げてましたよね?
大沢:さっき質問を聞いた瞬間、三池監督しか浮かばなかったので(笑)。見た目からすべて妖怪ですよね。監督は本当にピュアなんです。いつも役の芝居の説明をされているときに、まずご自身でやってくれるので、それがめちゃめちゃ上手いんですよね。それを真似するだけでいいっていうので、本当に芝居心もあるし、少年のように演技をしてくれるんですよね。その度にすごいピュアな人だなって、いつも感じてますね。
大島:私もさっき監督と一緒にインタビューを受けてる時に、確かに見た目も妖怪っぽいなと思ったんですけれども、でも瞳がすごくピュアなんですよ。まっすぐに見る、ちょっと黒いんだけどキラッと光っている部分があったりとかして。撮影中に思ったのがモニターを観ながら皆さんの芝居をすごくケラケラ笑って観ていらっしゃるんですよね。それって本当に心から楽しんで妖怪たちを演出して、一緒にこの作品を作っているんだなぁと思って。私たちは妖怪を演じましたけど、三池さんは妖怪演出家として座ってたんじゃないかなと思います(笑)。
MC:どうですか三池監督?
三池:え、どうって(笑)。う、嬉しいですとか?(笑)。まあ…、嬉しいです(笑)。