ペドロ・アルモドバル監督「この作品は3部作の第3章にあたる」『ペイン・アンド・グローリー』ポスタービジュアル

昨年の第72回カンヌ国際映画祭で主演男優賞(アントニオ・バンデラス)を初受賞し、第92回アカデミー賞では主演男優賞と国際長編映画賞にノミネートされ、そしてゴールデン・グローブほか数々の映画賞や映画祭で高評価を受けている、スペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督最新作『ペイン・アンド・グローリー』が、初夏に公開される。このほど、本作の日本版ポスタービジュアルがお披露目となり、併せて、アルモドバル監督よりコメントが寄せられた。

脊椎の痛みから生きがいを見出せなくなった世界的映画監督サルバドールは、心身ともに疲れ、引退同然の生活を余儀なくされていた。そんななか、昔の自分をよく回想するようになる。子供時代と母親、その頃移り住んだバレンシアの村での出来事、マドリッドでの恋と破局。その痛みは今も消えることなく残っていた。そんなとき32年前に撮った作品の上映依頼が届く。思わぬ再会が心を閉ざしていた彼を過去へとよみがえらせる。そして記憶のたどり着いた先には…。

日本版ポスタービジュアルで目に飛び込んでくるのは、溶け出し、水紋のように広がり渦を巻くアルファベットの文字。孤独の中で生きる主人公は、幾度も過去の記憶を辿っていく。その過去での悲しみや様々な想い、溢れ出る心象風景がこの背景のゆらぎに表現されている。アルモドバル監督は、自国で作ったデザイン、作品タイトルを世界的に使用することを好み、基本的に変更は認めない、というスタンスを持つ。作品にも十分その美的なこだわりが見えるが、公開された日本版ポスタービジュアルについては、「全体のデザインが気に入っている。特にこの背景の水を連想させる渦のイメージが作品と合っていてよい」と太鼓判を押す。

そして、アルモドバル監督は「意図したことではなかったが、この作品は3部作の第3章にあたります。『欲望の法則』(1987)、『バッド・エデュケーション』(2004)、そして『ペイン・アンド・グローリー』です。自然と出来上がったこの3部作は完成するまでに32年を要しました。すべて主人公は男性で映画監督。そして、どれも“欲望と映画”を題材としたフィクションが物語の柱となっていて、そのフィクションにはそれぞれの作品によって異なる現実が垣間見えてきます。フィクションと人生は表裏一体。人生には常に痛みと欲望が伴うのです」とコメントを寄せる。

▲ペドロ・アルモドバル監督(右)

『ペイン・アンド・グローリー』
初夏 TOHOシネマズ シャンテ、Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
出演:アントニオ・バンデラス アシエル・エチェアンディア レオナルド・スバラーニャ ノラ・ナバス フリエタ・セラーノ ペネロペ・クロス
配給:キノフィルムズ 木下グループ

【ストーリー】 脊椎の痛みから生きがいを見出せなくなった世界的映画監督サルバドール(アントニオ・バンデラス)は、心身ともに疲れ、引退同然の生活を余儀なくされていた。そんななか、昔の自分をよく回想するようになる。子供時代と母親、その頃移り住んだバレンシアの村での出来事、マドリッドでの恋と破局。その痛みは今も消えることなく残っていた。そんなとき32年前に撮った作品の上映依頼が届く。思わぬ再会が心を閉ざしていた彼を過去へとよみがえらせる。そして記憶のたどり着いた先には…。

©El Deseo.