90歳を超えたパオロ・タヴィアーニ監督が描く波乱万丈の“遺灰”の旅『遺灰は語る』6月公開

カンヌ映画祭パルムドールやベルリン映画祭金熊賞に輝くイタリアの名匠タヴィアーニ兄弟の弟パオロ・タヴィアーニが、兄ヴィットリオの死後初めて一人で監督し、昨年のベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した『Leonora Addio(原題)』が、邦題を『遺灰は語る』として6月23日より公開されることが決定した。併せて場面写真がお披露目となった。

映画が描くのは、あるノーベル文学賞作家の“遺灰”の旅。1934年にノーベル文学賞を受賞した文豪ルイジ・ピランデッロ、彼は死に際し、「自身の灰は故郷シチリアに」と遺言を残す。しかし、時の独裁者ムッソリーニは作家の遺灰を、その名誉を利用するためにローマに留めおいた。戦後、ようやく彼の遺灰が入った壺が、ローマからシチリアへと帰還することに。シチリア島の特使がその重要な務めを命じられるのだが、アメリカ軍の飛行機に搭乗拒否されたり、壷がどこかへ消えたり、次から次へとトラブルに見舞われる…。果たして、遺灰は無事にシチリアに届けられるのだろうか?タヴィアーニらしい熱情とユーモア、美しいモノクロ映像と鮮烈なカラー映像を織り交ぜて描かれた波乱万丈の“遺灰”の旅は、イタリアの近現代史をも語る。そして、映画の最後にはエピローグとして、ピランデッロの遺作『釘』を映像化した短編が登場、90歳を超えたタヴィアーニが運命を見つめて深い感動を残す。昨年のベルリン国際映画祭で国際映画批評家連盟賞を受賞した名匠久しぶりの新作となっている。

日本でも大ヒットした名作『グッドモーニング・バビロン!』(1987)などで世界の映画ファンに愛されるイタリアのタヴィアーニ兄弟。カンヌ映画祭パルムドールに輝いた『父/パードレ・パドローネ』(1977)、『カオス・シチリア物語』(1984)、ベルリン映画祭金熊賞の『塀の中のジュリアス・シーザー』(2012)数々の傑作を発表してきた。2018年に兄ヴィットリオが88歳で死後、現在91歳の弟パオロが初めて一人で監督したのが本作となる。


▲パオロ・タヴィアーニ監督 (エピローグの出演者とともに撮影現場にて)

『遺灰は語る』
2023年6月23日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
監督・脚本:パオロ・タヴィアーニ
出演:ファブリツィオ・フェラカ ーネ マッテオ・ピッティルーティ ロベルト・ヘルリツカ(声)
配給:ムヴィオラ

【ストーリー】 “遺灰”は、無事に故郷へ辿り着けるのか?ノーベル文学賞作家の遺灰をローマからシチリアへ運ぶ、トラブルだらけの⻑い旅。イタリアの巨匠タヴィアーニ兄弟の弟、パオロ・タヴィアーニが、兄亡き後初めて発表。ユーモアと悲劇、時代と人生、愛と別れを90分に凝縮した傑作。

© Umberto Montiroli