岨手由貴子「若き浪曲師の姿に、何度も胸が熱くなった」コメント到着!『絶唱浪曲ストーリー』7月公開

浪曲師・港家小柳の魅力にとりつかれた川上アチカ監督が8年の歳月をかけて完成させたドキュメンタリー『絶唱浪曲ストーリー』が、7月1日より公開されることが決定した。併せて、メインビジュアルがお披露目となり、著名人より推薦コメントが寄せられた。

本作の主人公は、小柳師匠に弟子入りした港家小そめ。浪曲という伝統芸能の魅力とともに港家小柳、曲師・玉川祐子、沢村豊子といったレジェンドたちの芸が若い世代に継承されていくさまを記録した、魂を震わせる1本となっている。

メインビジュアルには写真家・五十嵐一晴さんによるスチールを使用。浅草・木馬亭の前で、本作の主人公・港家小そめと1922年生まれで今なお現役の曲師・玉川祐子がとびきりの笑顔を見せている。

▼著名人 推薦コメント

■大石始(文筆家)
なんて美しくて誠実な映画だろうか。過剰な演出は一切なく、カメラは語るものをひたすら見つめ、耳を澄ませ続ける。そこで映し出されるのは港家小柳や玉川祐子らの名人芸だけではない。彼らを支える弟子や関係者の思い。何気ない日常と、その終わり。芸能が暮らしの延長にあり、人生と共にあることを実感させられる。なかでも港家小そめの名披露目興行の場面は、芸能をテーマとする近年のドキュメンタリー作品でも屈指の名シーンではないだろうか。大切な人に無性に会いたくなり、酒を酌み交わしたくなる、そんな愛すべき映画である。途方に暮れるような時間と労力をかけてこんな傑作を作り上げた川上監督に乾杯!

■折坂悠太(シンガーソングライター)
何度も何度もこすれてできた、一節のたこ。街に、生活に、芸に、それがある。たこに人は集う。行き交う足跡が、またたこになる。一代で終わらない、憧れの痕。この空は明るくも、暗くもない。ただただ、うまくなりたい。

■九龍ジョー(ライター、編集者)
浪曲師たちのパワフルな愛情!いっしょくたになった人と芸と生活が、いまを生きる浪曲の魅力を伝えてくれる。

■小森はるか(映像作家)
ともに過ごした時間より、とても近くに居るという距離をカメラは掬い取っていた。師匠と小そめさんが並んで歩く後ろ姿、背中に添える手が、稽古だけではない継承の営みを、その尊さを描いていた。受け継いだ人の中に生き続ける記憶もまた、同じ近さで、その人を支えていくのだと教えてくれる。青空に揺れる桜は、別れのときを報せながらもあたたかかった。彼方から見守る人たちを、見上げる視線から想像した。

■釈徹宗(相愛大学学長・宗教学者・僧侶)
人間の情念をストレートに語ってみせる浪曲。さらにその浪曲を生み出す“浪曲師・曲師のパトスを描く映画”である。港家小柳が途中で舞台を降りる場面から、小そめの名披露目までの展開は、まさに映画自身が浪曲をうなっているようである。

■岨手由貴子(映画監督)
師と仰ぐ人に出会い、学び、叱られ、可愛がられ、時として誰かの役に立ち、新たな門出に立ったときに祝福される。これはなんと幸せなことだろう。人の営みの中で継承されてきた芸をまるごと受け止める若き浪曲師の姿に、何度も胸が熱くなった。

■平松洋子(作家、エッセイスト)
ほとばしる人情、熱いLOVE。スクリーンのなかの人々が、時代の荒波をくぐり抜けながら浪曲がしぶとく生き続ける理由を描き尽くす。耳から耳へ、声から声へ、魂から魂へ。日本の芸能の宝、浪曲の核心に迫るドキュメンタリーだ。

■川上アチカ(本作監督)メッセージ
映画が完成したとき、この映画そのものが浪曲で語られる人情物語の一席のようだと気づいた。昭和初期の最盛期に比べれば、いま浪曲は下火だという。けれど、寄席の中ばかりでなく、街や生活に浪曲はあって、人知れず絶唱し、赤々と燃えている。容赦なく流れていく時間の中で、いつ途切れるともわからないその声に耳を傾けたら、愛の投げ合いの物語が聞こえた。人間を少し好きになれた。(猫はもっと好きになった。)


©Kazuharu Igarashi

『絶唱浪曲ストーリー』
2023年7月1日(土)より、ユーロスペースほか全国順次公開
出演:港家小そめ 港家小柳 玉川祐子 沢村豊子 港家小ゆき 猫のあんちゃん 玉川 奈々福 玉川太福
監督・撮影・編集:川上アチカ
配給:東風

【作品概要】 近年、たしかな盛り上がりを見せる寄席演芸の世界。落語、講談だけではない。いま浪曲が、熱い。浪曲師の独特の唸り声、エモーショナルな節回し、キレのよい啖呵。曲師の三味線とのスリリングなインタープレイが、初めて見る者の心をたちまち鷲づかみにする。平成生まれの浪曲師や曲師が育ち、女性の演者が増えた。浅草木馬亭の客席は昔ながらの愛好者と新たなファンが入り混じり、新時代の到来を予感させる。主人公は、そんな浪曲の世界に飛び込んだ港家小そめ。伝説の芸豪・港家小柳に惚れ込み弟子入りした小そめが、晴れて名披露目興行の日を迎えるまでの物語だ。映画のもう一つの主役というべきは関東唯一の浪曲の常打ち小屋である木馬亭。舞台裏では、さまざまな人生が交錯し、ベテランから若手へと芸が継承されていく。製作・撮影・監督は、川上アチカ。小そめと同じく小柳の虜になった川上は8年の歳月をかけて本作を完成させた。親密なキャメラは、小柳と曲師の玉川祐子、そして小そめが大切な何かを育んでいく様子を克明に写す。もちろん、迫力満点の口演場面も大きな見どころだ。玉川奈々福、玉川太福など、当代きってのスターたちも顔を覗かせ、たっぷりと楽しめるドキュメンタリー。

©Passo Passo + Atiqa Kawakami