伊藤沙莉「絵が可愛い」、柄本佑「色彩が楽しい」『シチリアを征服したクマ王国の物語』インタビュー映像

イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティが1945年に発表した児童文学を映画化した、フランス・イタリア合作アニメーション『シチリアを征服したクマ王国の物語』が、2022年1月14日より公開される。このほど、日本語吹替版に声優として参加した柄本佑、伊藤沙莉、リリー・フランキーが作品の魅力を語るインタビュー映像がお披露目となった。

高くそびえる山で静かに暮らしていたクマたち。ある日クマの王レオンスの息子・トニオがハンターに誘拐される。厳しい冬の飢えと寒さにたまりかねていた彼らは山を降りることにした。残忍な大公や化け猫、人食い⻤、幽霊、魔法使い…行く手を阻む難敵を乗り越え、人間の住む平地を目指すが…本作は、面白く、やがて悲しいクマ王国の物語。多様な文化の中で他者を受け入れることの大切さをテーマにした映画であり、アニメーションならではの魅力を存分に発揮し、原作の持つユーモアに溢れたファンタジックな世界観を完全再現することに成功した。

本作が初共演となる日本語吹替版キャストの柄本佑と伊藤沙莉は、抜群の演技力と掛け合いで個性豊かなキャラクターに新たな命を吹き込んだ。本国版のアルメリーナもハスキーな声のため、伊藤はインタビュー中に「私にお声がけいただいた理由がすごくわかる声だった」と語る。明るく活発なアルメリーナと、川で遊ぶ子トニオ、勇敢で聡明な少女のアルメリーナの声を使い分け、伊藤にしか出せない生き生きとした、実際にキャラクターが存在するかのような魅力溢れる声で演じた。

柄本は体格の良い語り部と華奢な魔術師という見た目が大きく違うキャラクターを演じた。魔術師のカタカナで⻑文の“魔法の言葉”に苦戦していたが、キャラクターの話し方や癖を自分なりに表現し、役になりきった。語り部と助手が踊りながら物語の呪文を唱えるシーンでは柄本と伊藤の明るい雰囲気で息もピッタリ。後日アフレコを行った本職声優陣すら“どうやって録ったのか!?”と驚くほどだった。

洞窟の老クマを演じたリリー・フランキーは、動画内でも「何度やってもアフレコは難しいというか嫌な汗が出ますよね」と海外アニメーションのアフレコの難しさを語る。しかし、アフレコ時は流石の演技力で味わい深い声を発し、気持ちを乗せ、物語に説得力と奥深さを加えた。また自身がイラストレーターでもあるリリーは「ヨーロッパのアニメーションすごい好きなのは、やっぱり僕らが生まれ育った環境にない色使いというか風合いっていうんですかね…」と自身の視点から本作の魅力をコメント。さらにリリーは、予定になかったシーンで歌を吹き込んでいるので、そのシーンにも注目だ。

インタビュー映像では、アフレコ時の柄本と伊藤が本作を観た感想を語り合っている。本作で3役も演じた伊藤沙莉は「すごいほんとに面白かったですし、絵が可愛いですよね」と“クマ王国“の魅力を話す。柄本も「絵が可愛いのと、あと色彩がね、すごい楽しい。迫力もあって美しいですよね。色合いとかそういうのを含めて」と本作の絵の美しさや鮮やかな色彩について語った。二人はわきあいあいとお互いに共感し、笑いながらインタビューに回答。リリーは演じた洞窟の老クマと同じ穏やかでリラックスした様子で「(一般的なお芝居みたいなものよりも先に)一番最初にやったのが、海外ものの吹替のアフレコだったので。そうですねえ…。そうやって考えると僕は声優出身だったんだなということも思い出しながら成⻑していない自分にも毎回気づきますよね」と驚きの経歴と声優の難しさを口にした。

『シチリアを征服したクマ王国の物語』
2022年1月14日(金)より、新宿武蔵野館・アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・脚本・グラフィックデザイン:ロレンツォ・マトッティ
原作:ディーノ・ブッツァーティ「シチリアを征服したクマ王国の物語」
脚本:トマ・ビデガン ジャン=リュック・フロマンタル
日本語吹替キャスト:柄本佑 伊藤沙莉 リリー・フランキー 加藤⻁ノ介 寺島惇太 堀内賢雄
配給:ミラクルヴォイス

【ストーリー】 とおいむかしのこと、いただきが氷でとざされた高い山に住むクマたちの王レオンスの息子トニオがハンター達によって捕らえられてしまう。王は我が子を救出するべく、厳しい冬の飢えと寒さからクマ達を引き連れ、人間が住む平地を目指し山を降りていく。行く手に待ち受けるのは残忍な大公や、化け猫、人食い⻤。ゆうれいもいれば魔法使いもいる。突き進むレオンス王は戦いの末、その国の王として、クマと人間が共存する太平の世を迎えた。クマと人間の共存はやがて…。

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