【ひるね姫】神山健治監督「映画は本来、一方通行のメディアだったのに、インタラクティブ性が生まれてきた」

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日本テレビが制作する番組「SENSORS」のイベント「SENSORSIGNITION 2017」が、3月23日、虎ノ門ヒルズにて開催され、映画『ひるね姫~知らないワタシの物語~』の神山健治監督と、“現代の魔法使い”こと筑波大学助教の落合陽一が登壇。映画や未来についてトークを繰り広げた。

↓左から神山健治、落合陽一
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ニューヨーク国際子ども映画祭から帰ってきたばかりだという神山は「子供向けのアニメーションの映画祭で『ひるね姫~知らないワタシの物語~』を上映させて頂きました。席いっぱい観に来ていただいたのですが、6歳ぐらいの子供が『なんでこのテーマ(自動運転)を選んだの?』って鋭い質問をしてきて(笑)。映画リテラシーの高さに驚きました。お子さんでも前のめりに観てくれていたのが本当に嬉しかったです」とコメント。神山監督の大ファンで『ひるね姫』は既に2回観たという落合は、「自動運転を車メーカーと共同研究してきたから分かるんですけど、あまりにもリアル。取締会や、社員、工場の様子が出てくるんですけど、「このセリフ実際に言った」とか、「プレゼンした時に同じこと言われた」というシーンがあって。監督は日本の現状を切り取るのがすごく巧い」と、神山を絶賛した。これに対して神山は「いま社会で起きているいちばん大きな問題を作品に取り入れるのが僕のスタイル。今回は、おじいちゃんの世代と、それを追体験しつつ行き詰まりを感じている世代、それとは一切関わりの無いさらに若い世代を描いて、何が見えてくるだろう?という自分的にも実験的な作品」と『ひるね姫』を解説した。

↓「映画は本来、一方通行のメディアだったのに、インタラクティブ性が生まれてきた。SNSが発達したおかげで見た人の発言が作品に影響を与えるようになってきている。映画を觀て、その解釈をSNSで世に問うと、これに対しての反応がある。作り手は、これ込みで作品を作らなければいけない」と神山

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AIやロボットが今後どのように生活に浸透していくかついて聞かれた落合は「神山監督の「攻殻機動隊S.A.C.」を中学生の時に観た時に、タチコマが羨ましいと思った。なぜなら、隣の人がやったことを共有できるから。AIはそこがポイントで、隣の人が覚えたことを一瞬で共有できるということ」とコメント。対して神山は「不変っていうのは「攻殻機動隊S.A.C.」を作っていた時は大事なものだと思っていた。それから10年以上経って『ひるね姫』を作った時に思ったのが、不変が日本の進化を妨げているのではないかと。これは『ひるね姫』のテーマのひとつです。受け入れる人と、受け入れない人が出て来た時が、AIが伸びるかどうかの瀬戸際だと思う」と持論を展開した。

↓「現代は問題が大きすぎて、今から全容を把握してからスタートしたのでは間に合わない。であれば今の人たちは目の前で起きた問題だけにアプローチしていけばいいのでは?」というメッセージが『ひるね姫』には込められているという
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最後に神山は「『ひるね姫』も観ていただきたいですが、創作意欲というものはなかなか枯渇しないもので(笑)、また新しい作品も作っていきたいなと思います」と挨拶しイベントを締めくくった。

『ひるね姫 ~知らないワタシの物語~』

2017年3月18日(土)公開

監督:神山健治 声の出演:高畑充希 満島真之介 古田新太 釘宮理恵 高木渉 前野朋哉 清水理沙 高橋英樹 江口洋介
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2017 ひるね姫製作委員会