2005年に関連文書が公表されたことからその存在が明らかとなった、ナチス占領下のノルウェーで、スパイとしてナチスに潜入していた女優ソニア・ヴィーゲットの実話を描いた映画『ソニア ナチスの女スパイ』が、9月11日より公開される。このほど、8月20日に東京・アキバシアターにて公開記念トークショーが行われ、映画コメンテーターのLiLiCoと、国際ジャーナリストの山田敏弘が登壇した。
今月上旬に雨で滑って転倒し、左膝を負傷したLiLiCoは松葉杖姿で登場。怪我の加減を聞かれると「ダメです、痛いです!」と訴えつつも「でも仕事が好きでこの映画の魅力もお話したかったので、病院の先生に『早く出して!』とお願いしました。退院したらめっちゃ外が暑い!」と重症とは思えぬはつらつとしたオーラで挨拶した。さらに声帯手術後の大怪我ということもあり、“二重スパイ”ならぬ“二重の困難”を体現。それを指摘されると「しばらくお酒は飲めないけれど、ソニアと乾杯!」と笑い飛ばし「たしかにソニアみたいに二重か…。日本人は紐づけが上手いな!」と妙に感心していた。
本作を鑑賞したLiLiCoは、「難しいテーマだと思って構えてしまいがちだけれど、芸術の秋だし、映画の秋なので頭をフルに動かして物語に浸ってほしい。それに根本にあるのは親子や家族の普遍的な絆。ソニアの人生の一部を共にできて凄く勉強になりました」と魅力を熱弁。スパイを広く知る山田も「スパイの生態と生き様が生々しくてリアル。これぞ本当のスパイ映画。様々な人間模様を見ることができます」と太鼓判を押した。
父親をナチスの強制収容所から解放するためにスウェーデンとドイツの二重スパイになった人気女優ソニアの姿に、LiLiCoは「これが泣けるのよ!」と感涙報告で「会えない葛藤もそうだし、超オシャレだったお父さんがボロボロになった姿を見ただけで泣けてくる」と心揺さぶられた様子。山田曰く、第二次世界大戦当時のノルウェー・オスロでは多数のスパイが活動していたそうで「この時代には世界中から大量のスパイが投入され、水面下で熾烈な情報戦を繰り広げていました。探り合いとだまし合い。ドロドロしていたイメージがあります」と本作のストーリーの説得力に唸っていた。
自身のスパイとしての素質について「この派手な顔がスパイに向いているかどうか」と首をかしげるLiLiCoだが、山田から「スパイに成り切り、素性を隠して嘘を突き通せる人がスパイ向き」と聞くと、「ならできます!だって私はずっと日本でLiLiCoを演じているわけだから」と前のめり。さらに、「私はアイドルを目指して日本に来たの。今もアイドルを目指している途中ですから。…笑わないで!」と野望を明かした。
また、ナチスの高官と心優しい青年外交官との間で揺れ動くソニアの女心について聞かれたLiLiCoは、「いやだ~!全然わからない!だって私スパイじゃないもん!」と悩むも、「普通の社会に置き換えれば、恋をしてはいけない相手に恋をする経験って誰にもあるはず。そっちの方が凄く燃える。しかもスパイだと毎日が駆け引きなのよね?本当のことを言ってはいけない感はワクワクするわぁ」と回答した。
『ソニア ナチスの女スパイ』
9月11日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
監督:イェンス・ヨンソン
脚本:ハラール・ローセンローヴ=エーグ ヤン・トリグヴェ・レイネランド
出演:イングリッド・ボルゾ・ベルダル ロルフ・ラスゴード アレクサンダー・シェーア ダミアン・シャペル
配給:東北新社 STAR CHANNEL MOVIES
【ストーリー】 第二次世界大戦中のナチス占領下のノルウェーで、ソニア・ヴィーゲット(イングリッド・ボルゾ・ベルダル)は女優として活躍していた。その人気に目を付けたナチスの国家弁務官ヨーゼフ・テアボーフェンは、彼女をプロパガンダに利用しようと画策する。その一方でソニアはノルウェーの隣国スウェーデンの諜報部から、スパイとしてナチスに潜入することを要請される。戦線を拡大させて諸国に侵攻していくナチ・ドイツをスウェーデンは警戒し、情報収集に躍起になっていた。一度はその要請を拒否するソニアであったが、逮捕された父親を解放させるため、テアボーフェンに接近して彼の邸宅に潜入することに成功。次第にテアボーフェンの寵愛を受け、信頼も得るようになったソニアは、ある日、彼からあることを依頼される。それは、ナチスのスパイとして北欧諸国の情報を収集することであった…。
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