第13回本屋大賞にて第5位に選出され、17万部を超えるベストセラーとなった辻村深月による長編小説を、『あん』、『光』の河瀨直美監督が映画化する『朝が来る』が、2020年初夏に公開される。このほど、永作博美、井浦新、蒔田彩珠、浅田美代子らが出演することが発表された。
本作では、長く辛い不妊治療の末、自分たちの子を産めずに特別養子縁組という手段を選んだ夫婦と、中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母のそれぞれの人生を丹念に描く。
心から望みながらも、実の子を授かることができなかった栗原夫妻。ヒロインである妻の佐都子には、『八日目の蟬』で日本アカデミー賞をはじめ様々な賞を受賞した永作博美。「監督の撮影手法に驚き、いつ撮影は始まったのか…何が本当なのか…現場で1つになった心臓の音がいつもドックンドックン響いていた」と河瀨組の撮影を振り返る。
夫の清和役は『止められるか、俺たちを』、『嵐電』、「ニッポンノワール-刑事Yの反乱-」と話題作への出演が続く井浦新。「深い愛に溢れた現場で生きることで、生命を育む地球の記憶についてまで再発見する事ができ、とても感動しました」と熱い思いを述べる。
まだ生理も来る前に同級生に本気の恋をし、望まぬ妊娠をしてしまった少女・片倉ひかり役には、17歳にして“是枝裕和作品の常連”と称される女優・蒔田彩珠。「撮影が進む中で、自分がひかりになったと感じた瞬間があり、とても強い心を持つことができました」と力強いコメントを寄せる。そして栗原夫婦と片倉ひかりを引き合わせた人物・浅見静恵役に浅田美代子。河瀨監督作としては『あん』以来の出演となる浅田は「河瀨組…正直怖かった。何故なら河瀨監督には嘘(お芝居)は通用しないから。撮影期間中はずっと『浅見(静恵)』で過ごした」と顧みる。
そのほか、ひかりの家族として母親を中島ひろ子、父に平原テツ、姉に駒井蓮らが出演。さらに、ひかりの恋人役に田中偉登、佐藤令旺がひかりの実子にして永作演じる佐都子の養子・朝斗として参加している。
■永作博美(栗原佐都子役) コメント
自らの人生の中でも岐路というのは本当に究極の選択の様なものばかりでいつも「試されてるな…」と感じる。それをフィクションの中でフルに実践している河瀬監督の撮影手法に驚き、いつ撮影は始まったのか…何が本当なのか…現場で1つになった心臓の音がいつもドックンドックン響いていた。皆がその静寂にどう在るのか考えただけでまた心臓が鳴ります。
■井浦新(栗原清和役) コメント
12年程前に、奈良から京都への電車の中で河瀨直美監督と初めて出逢いました。柔らかくも鋭く自分の内側に語りかけ、眼差しは心の中を見つめられてるようで、電車に揺られ話した時間は今も鮮烈に記憶に残っています。今回、河瀨組への初参加の機会をいただき、あの日から積みあげられた想いを全開で挑みました。河瀨監督の現場は、どう芝居をするかではなく、どう“生きるか”が求められます。それができる環境を監督を始めスタッフの方々皆が徹底して作り上げてくれました。その中で俳優部は魂を擦り減らしながら生をぶつけ合う。このように作品への、人間への、深い愛に溢れた現場で生きることで、生命を育む地球の記憶についてまで再発見する事ができ、とても感動しました。12年前に河瀨監督から聞かれた「あなたはどんな人間ですか?」この問いに少しでも答えられるよう全身全霊の日々でした。今もその言葉は自分を突き動かす原動力となっています。
■蒔田彩珠(片倉ひかり役) コメント
原作を読んだ時、ひかりに起こった事は、誰に起こってもおかしくない事だと、感情移入しすぎてしまい、辛かったです。私がひかりの気持ちを背負うことで、ひかりを傷つけてしまうんじゃないかと不安にもなりましたが、撮影が進む中で、自分がひかりになったと感じた瞬間があり、とても強い心を持つことができました。この映画を通して、私と同世代の方々をはじめ多くの人に、人間の強さや弱さ、優しさ、命について深く考えるきっかけになれば、嬉しいです。
■浅田美代子(浅見静恵役) コメント
久しぶりに河瀨組…正直怖かった。何故なら河瀨監督には嘘(お芝居)は通用しないから。『その役に生きる!!』撮影期間中はずっと「浅見」で過ごした…そしてクランクアップ、「浅見」が私の中から出て行った時、新しい私が生まれた瞬間だった。縁というものにより河瀨監督と出会えたこと幸せだと心から思う。
『朝が来る』
2020年初夏 ロードショー
監督・脚本:河瀨直美
原作:辻村深月「朝が来る」
共同脚本:髙橋泉
出演:永作博美 井浦新 蒔田彩珠 浅田美代子 中島ひろ子 平原テツ 駒井蓮 田中偉登 佐藤令旺
配給:キノフィルムズ/木下グループ
【ストーリー】 実の子を授かることが叶わず、特別養子縁組により、男の子を家族に迎えた夫婦。中学生で妊娠し、断腸の思いで子供を手放すことになった幼い母。両者が再び交差したとき、物語は大きなうねりを見せる…。
©2020『朝が来る』Film Partners