齊藤工監督「塩加減が…。涙が出てきちゃって」被災地の“塩むすび”が作品のきっかけに

「ゲーム・オブ・スローンズ」のHBO®のアジア部門HBOアジアのオリジナル・シリーズ第2弾として、アジア各国の気鋭監督が集結し“食”をテーマに1話完結で描かれたアンソロジーシリーズ「フードロア」が、2020年にBS10 スターチャンネルにて独占日本初放送される。このほど、11月21日に高崎シティプロモーション「タカサキギンザ物語」ラジオ高崎公開収録 in GINZASIXにてトークイベントが開催され、「フードロア:Life in a Box」の齊藤工監督が登壇した。

全編高崎ロケで撮影したという「フードロア:Life in a Box」。本作が11本目の作品だという齊藤監督は「最も良い作品だと周りに言われます。最新にして集大成だと言われました」と自信に満ちた表情。「本当に素晴らしい役者さんと、高崎の素晴らしいシチュエーションが作品を後押ししてくれていて」素晴らしい作品に仕上がったと胸を張った。

「今回は弁当がテーマ。世界的には世界共通語ということから、お弁当にまつわる物語がいい」と、企画がスタートしたという。ちょうどその頃、「個人的に広島にボランティアへ行った」という齊藤は、「被災した幼稚園の子どもたちに集まってもらって、作った人形で映像作品を作るワークショップをやりました。その間、幼稚園の食堂のおばちゃんたちが、非番なのに来てくれて、子どもたちの食事と、僕たちに塩むすびを用意してくれた。それを食べたときに、塩加減が労働者に向けたものだった。なんか涙が出てきちゃって…。合間に土砂をかき分けたりもしていたので、すごいメッセージを感じた」と広島の被災地での思い出を語った。その話を脚本家に話したところ、「それを基にしよう」ということで、本作の話が急速に動き出したという。

高崎での撮影時に、初めに託児所の有無を聞いたという齊藤監督。現場に出産から復帰した女性スタッフがいたそうで「市内に場所をお借りして、ベビーシッターさんに来ていただいた」とのこと。父親が映画制作者だったという齊藤は「父親の現場を見に行って、影響を受けて今に至るんですけど、日本の映像の現場は、特に女性が妊娠出産すると現場から離れてしまう。託児所が現場にあれば解決するのではないか」と、かねてから思っていたそうで、今回それが実現に至ったという。「どこかの映画を制作する方たちに伝わって、『ウチもやろう』となったら嬉しい。今後も齊藤組の撮影がある限り、最優先条件で託児所とともに映像制作をやっていきたい」と熱く語っていた。

「フードロア」
2020年2月15日(土)12:00~/16日(日)12:00~、BS10 スターチャンネル(STAR2 字幕版)にて各日4話ずつ独占日本初放送(全8話)
2020年2月16日(日)よりスターチャンネルEX -DRAMA & CLASSICS-にて配信開始

【シリーズ概要】 アジア料理をテーマに、魂を味と香りで表現する8か国・8つのエピソードからなるアンソロジーシリーズ。齊藤工監督「Life in a Box」、エリック・マッティ監督「Island of Dreams」、ファン・ダン・ジー監督「彼は魚をさばき、彼女は花を食べる」、ビリー・クリスチャン監督「マリアの秘密のレシピ」、ドン・アラビンド監督「A Plate of Moon」、ペンエーグ・ラッタナルアーン監督「ケータリング」、エリック・クー監督「タマリンド」、ホー・ユーハン監督「Stray Dogs」の全8話。

「フードロア:Life in a Box」
2月15日(土)12:00~13:00ほか放送
監督:齊藤工
出演:安田顕 安藤裕子 ザ・グレート・カブキ 川床明日香 松原智恵子 板谷由夏

【ストーリー】 せわしない東京から離れた電車の中、偶然居合わせた3組4人の乗客。スランプに陥った絵本作家(安藤裕子)、妻を亡くしたばかりの男(安田顕)と彼の娘(川床明日香)、引退した年老いたプロレスラー(ザ・グレート・カブキ)。電車の中で彼らの孤独な人生が交錯したとき、長い間忘れていたある食にまつわる記憶が呼び起こされる。懐かしさと思い出、愛に包まれた旅の中で、彼らが見出していく希望の光とは…。

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