【全文掲載】木村拓哉「保護動物みたいに言わないで」『レジェンド&バタフライ』1ヶ月後にお忍びで劇場へ!?

MC:まずは木村さん。2021年から始まった本作の撮影、そしてその後、春の制作発表会、さらにはぎふ信長まつり、ジャパンプレミア全国キャンペーン。まさに今日を迎えるまで長い長い旅路を多くの皆さんと一緒に歩いてこられました。織田信長という役とともに重ねたこれらの時間、今改めて振り返っていかがですか?

木村:信長という役をやらしていただいた上で、作品を通じて皆さんとのコミュニケーションをさせて頂いて思うのが、自分個人に対する皆さんの気持ちも非常に嬉しかったんですけども、織田信長という方が今日に至るまで、実際に今生きている人たちまで非常に愛されているんだなっていうことをつくづく感じましたし、その都度、この作品を通じて日本各地の皆さん、限られた場所しか伺うことはできなかったんですけど、その都度皆さんの温かい気持ちを自分は受けることができたので非常に感謝していますし、本当にぎふ信長まつりで、横にいるヒデからパスをいただいて、参加させていただいたお祭りだったんですけど、100万人近い方の応募をいただけたという事実が、この作品でひとつ胸を張れる要素をいただけたのかなという気持ちで、ずっと今日まで来れたので、ぜひ応募をいただいた方たちには、この作品で「ありがとうございます」と伝えたいなと思います。

MC:皆さんもご覧になった直後ということで、ネタバレを気にせず、一番印象に残ってるシーンを選んでいただけますか。まずは木村さんから。

木村:冷静に考えて、今日皆さんに観ていただいた2時間28分っていうのは、今まで歴史の授業だったり、参考書だったりで今まで伝わってきているもの、史実じゃないですか。でもこれが真実かどうかは分からない。だからどんな思いで、どんな人を愛して、どれだけ苦しい思いをして人を殺めていったかっていうのは、現場で大友監督の元、スタッフと共にその史実で伝わっているものの間を、僕らは埋めていたような気がしているんです。脚本の中にもト書きにも書かれてない、実は思っていたメンタリティだったりとか、そのときの心情、それこそ信長のところに濃姫が半分人質、半分嫁入りということで、婚礼の儀があったと思うんですけど、濃姫になってくれた綾瀬はるかという俳優はさすがだなと思ったのは、自分の杯に注がれたおとそ、お祝いの席で飲むお酒を何の躊躇いも無く、口に運んだんですね。その時に、そこに毒を盛られていたら命はないはずなんですけれども、濃姫として一歩も下がることなく、何の躊躇もなく口に運んだ濃姫を目の当たりにした瞬間に、信長役の自分もスイッチが入りましたし、そういう台本にも描かれて無いコミュニケーションが、実は作品の中でもめちゃくちゃ散りばめられていますので、ぜひぜひその作品の中に散りばめられた、僕らが現場で作り上げた散りばめたお宝を皆さんに何度か観て探し当てていただきたいなと思います。

MC:綾瀬さんはどのシーンですか?

綾瀬:信長様を戦に鼓舞していく、「尾張は終わりじゃ」のダジャレからの、「殿を鼓舞するのじゃ」という長いくだりだったんですけど、監督は割と長めに撮るので(笑)。すごい緊張感で、一日がとても長く緊張感が詰まったシーンだったので、そのシーンですね。

MC:伊藤さんはいかがですか?

伊藤:僕は歴史が好きですけど、福富平太郎貞家という名前を聞いたことがなくて。だけど濃姫様に仕える武将で。僕の役作りは、皆さんと心を通わせるところから入るんですけど。まさに婚礼の儀は、岐阜の背負って尾張に入る信長様と濃姫様は、木村さんと綾瀬さんのキャリアや人生観が見える形で、僕も貞家としてこれまやってこれた…、後世に残る舞台挨拶ができたってことは、僕のキャリアの中でも忘れられないものになりました。

MC:伊藤さんの人生観の話になりましたけど(笑)。

伊藤:ちょっと話が長くなって(笑)。いつも話が長いって怒られて、途中でなにがなんだか分からなくなるんですけど(笑)。

木村:OK!

伊藤:ありがとうございました!(笑)。

MC:中谷さんはどうでしょうか?

中谷:古沢さんが本を書かれて、大友監督が撮られるということは、お行儀よく紋切り型の作品にするわけがない。皆さん、婚礼の儀の話をおっしゃってましたけれども、私はその後がとても好きで、新婚初夜でロマンスの欠片もなく乱闘騒ぎになったあのシーンが私はとても好きで、若き信長と若き濃姫の掛け合いが素晴らしかったなと思いますし、その数年後、初めてお買い物を一緒にするデートのシーンがありますよね。とても女性として胸がドキドキするようなシーンだったと思うんですが、ようやく反目しあっていた二人が、埃まみれ血まみれになって交わすキス。素晴らしかったですよね!?あれは監督のこだわりで、ずっとあのシーンのことを撮影に入ってからずっとおっしゃってましたけれども、あのシーンをようやく先日拝見することができて、本当に木村さんと綾瀬さんのお芝居がとても感動的で美しかったので、一人の女性としてドキドキしたシーンでした。

MC:宮沢さんはどうでしょうか?

宮沢:一つ挙げるとするならば、明智が髑髏を盃として納めるシーンがあるんですけど、それまでお祭り騒ぎの会場だったんですけども、髑髏が登場した瞬間にいっきに恐怖というか、皆が恐れてしまう瞬間があって。明智の狂気というか、歪んだ愛情があの一瞬で顕になったと思うので、僕はあのシーンがとても好きです。

MC:市川さんはどうでしょうか?

市川:自分は蘭丸を演じさせて頂いて、良い意味で空気のような存在になろうと意識して演じていて。殿に意識されない、意識しなくても、言葉がなくても伝わる。必要な時に言葉がなくてもスッと出てきて、必要じゃない時はスッと空気のような存在になるということを常に意識していたんですけど、言葉がなくても、通じ合う二人の間でしかわからない信頼関係というのが実際にあったと思うので、そこを一番大切に演じていました。代表的なシーンで言うと、やっぱり最後の本能寺のシーンが、殿と蘭丸の間の信頼関係というのが最終地点になるので、最後の関係がそグッと近くなって一層近くなって終わってしまうっていうの切なくて、一番印象に残っています。