都内の終末期医療専門病院に勤務し、命の終わりを真摯に見つめる現役医師でありながら、作家として「サイレント・ブレス」や、NHKにてテレビドラマ化され話題を呼んだ「ディア・ペイシェント」を世に送り出した南杏子による原作を、吉永小百合主演、松坂桃李、広瀬すず、西田敏行共演で映画化する『いのちの停車場』が、5月21日より公開される。このほど、4月14日に東京国際フォーラムにて完成披露試写会が行われ、キャストの吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、南野陽子、小池栄子、みなみらんぼう、泉谷しげる、中山忍、石田ゆり子、田中泯、西田敏行、成島出監督が登壇した。ここでは、本イベントの模様を全文掲載でお届けする。
MC:まずは4名の方に登場いただきました。それではさっそくご挨拶を頂戴したいと思います。泉谷しげるさん、お願いいたします。
泉谷:どうもありがとうございます。しかしこの『いのちの停車場』、私そんなに出てないので登壇の意味があるのかちょっとよくわからないんだけど、来てしまいました。映画をこれから観ていただきますけど、自分の中では本当に岡田裕介会長(東映会長で本作の総指揮を担当。20年11月18日に他界 享年71歳)がお亡くなりになってしまったっていう、信じたくはないんだけど、それで俺は応援するつもりで。シーンの数は少ないけどキャンペーンの数は増やしたいなと(笑)。そう思って頑張ります。
MC:ありがとうございました。では続きまして小池栄子さん、お願いします。
小池:小池栄子です。今日はお集まりいただきましてありがとうございます。寺田智恵子という末期の肺がんを患う芸者を演じさせていただきました。素晴らしい先輩方のお芝居を、完成した作品を観て、涙を流しながら観たのが正直なところであります。このような素晴らしい作品に参加できた事を、とても光栄に思いながら今日来させていただきました。最後までよろしくお願いします。
MC:ありがとうございました。続きまして、みなみらんぼうさん、お願いします。
みなみ:こんばんは、みなみらんぼうです。40数年前に映画を一度体験して、40数年ぶりに映画に帰って参りました。世界中を放浪する男が金沢に帰ってきて、先生方や、看護師さん達のたまり場にもなっているバーのマスター役の柳瀬という役です。よろしくお願いいたします。
MC:ありがとうございました。続きまして中山忍さん、お願いいたします。
中山:中山忍です。よろしくお願い致します。今日は劇場まで足を運んで頂きまして本当にありがとうございます。私は吉永小百合さんのお母さん役を演じさせて頂きました。吉永さん演じる咲和子の幼少時代の記憶の中のお母さんです。この作品を通じて、皆様より少し先に観させていただいたんですけれども、生きたいと願う命と生きてほしいと願う命と、もう十分に生きたよと思う命が、本当に一つの同じ命なんだということに少し正直戸惑いも覚えました。でもまほろば診療所の皆さんが、終わりゆく命に寄り添っていく姿に、とても明るい希望を感じました。亡き岡田会長が今この姿を、客席をご覧になったときに、とても喜んでくださると思います。なんか胸がいっぱいになってしまうんですけれども、岡田会長のことを思うと涙が出てしまうんですけれども…、本当に寂しいだけじゃない悲しいだけじゃない、今限りある命を大事にしようと思う、そう思える素晴らしい映画になったと思います。皆様どうぞよろしくお願い致します。
MC:ありがとうございました。成島出監督にもお話に加わっていただきたいと思います。成島監督、ご挨拶をお願いします。
成島:監督の成島です。今日は皆さん、ありがとうございました。本当にいろいろなことがあって、ようやく完成して今日の日をついに迎えることができて感無量です。今日は楽しんでいってください。ありがとうございます。
MC:ありがとうございます。それでは質問させていただきたいと思います。先ほどそれぞれ役柄をお話しして頂きましたが演じる前に監督とどのようなことをお話しし、また相談されたのですか? 泉谷さんからお願いします。
泉谷:演技について話したことありましたっけ? ないですよね? 世間話しかしてないけどね。監督は、あれやれ、これやれとあまり言わないなんですよ。だから、任せておいて「ダメだ」って言うタイプ(笑)。「もう一回やれ」みたいな(笑)。そういう感じで自由にやらせてくれて、「少し違うなぁ」って(笑)。一番いい形じゃないですかね。
成島:泉谷さんは、皆さんご存知のとおりこれから映画も観ていただければ分かりますけれども、ものすごく面白くて、カメラの横にいてすごく楽しい思いをたくさんさせてもらいました。
泉谷:シーンが少なくてちょっと文句があります。もっと増やせよ、このやろうという(笑)。
MC:では続いて、小池栄子さん、お願いします。この芸者さんは病をどう受け入れてどう向き合っていくのかというのは、監督からご指示があったと思いますけれども、決して後ろ向きになるのではなく病と共に生きていく。そして最後まで芸者で生きていくという覚悟みたいなものが、私も泉谷さんが少ないって言ったら私はもっと少なくなっちゃうんですけど(笑)、でも監督、量じゃないですもんね(笑)? 観ていただくと分かると思いますけれども、いろんな患者さんが出てきますけど、病との向き合い方っていうのはそれぞれケースが違うと思うんですけども、私が演じた芸者さんというのは覚悟を持って病気とともに私は私らしく生きていくんだという姿になればいいなと。
MC:ありがとうございます。みなみらんぼうさん、お願いします。
みなみ:監督は僕を出させるために、わざわざうちの近所に駆けつけていただきました。ありがとうございます。それで、「監督、僕はどんなことをどんなふうに演じたらいいんですか?」って聞いたら、「普段のままにやってくれ」って、いきなり演技の極意みたいなこと言って、それが一番難しいと内心思ったものでした。
成島:モンゴル好きのマスターの役をお願いしたんですけど、偶然本当にらんぼうさんもモンゴルがすごく好きで、大草原をいっぱい旅したお話も聞かせてただいたり、ご縁だなと思って。すごくらんぼうさんの人柄が出ている、みんなが集まる場所が、らんぼうさんを中心に撮れたことはとても良かったなと思っています。