【全文掲載】佐藤健「反応してくれ!」ファンに応えて渾身の「おろ?」披露も予想外の結果に赤っ恥!?

MC:そして有村さん。巴は剣心の過去に深く関わっていく重要なキャラクターなんですけれども、改めて巴役が決まった時の感想だったり、演じる上で難しかったところなどはありましたでしょうか?

有村:この役の存在の大きさというのは、私も重々承知してお受けさせていただきました。『るろうに剣心』シリーズは、私も拝見させていただいたこともありますし、皆さんが何年と思いをかけて、作り上げてきたこの世界や、皆さんの思いを決して踏みにじらないようにと思いながら毎日現場にいさせていただきました。

MC:監督、有村さんはいかがだったですか?

大友:僕も脚本を作る段階で結構迷ったんですけどね。剣心と出会ってどういうふうに彼女の心が変わっていくのかっていうことが、どのタイミングで変わるのかっていうこととかが、多分巴としては段々と積み重ねていくかもしれないし、それをあまり表に出しちゃうと、つまり巴という人は、剣心の懐に飛び込んだある種スパイのような見え方っていうのも物語の中でする、それが二人の関係性の中でお客さんの関心を引きつける求心力になっていく。これは愛なのかそれとも?っていう関係性ですよね。そこのさじ加減っていうのは、どこで剣心にっていう話で、心が変わったのかっていう話をちょっとしたの覚えていってるんですけど。あんまりそこの答えを僕は出さなかった気がするんですよね。あまりそこを意識して欲しくなかったっていうのもあったり、剣心と向き合っていく中で、撮影で本当に向き合っていく中でね、生まれてくるものっていうのを拾いたいと思っていて。撮っている最中でだんだん見えてきた感じがしましたね。有村さんがどこでどうスイッチを入れたのかっていうのは、分からないけど、知りたくもないけど、知らなくて良いと思ってるからね。出てきたもので僕らが感じながら、それを撮ることができた。それをやったらお客さんにも通じるんだろうなと思うんですよね。「一緒に暮らそう」って剣心に言われた時の表情とか、ところどころのポイントを見つける中で、僕もなんか有村さんがアウトプットしてくる芝居をヒントに、実存する巴像っていうのを現場で作り上げていったという感じなんです。だから一緒に作ったっていう感じがします、現場で。みんなでね。剣心と向き合いながらだし、いろんな事を一つ一つ有村さん演じる巴に反映されていて、それをちゃんと血肉にしてもらって、実写ならではの魅力的な巴になったんじゃないかなと思ってますね。おかげさまで。

MC:有村さんどうですか?

有村:正直、無我夢中だったので。ワンシーン・ワンカット、大友さんが何テイクも重ねてくださったので。私は大友さんがテイクを重ねてくれるたびに、とても役が自分に近づくような気がして、私はすごく心地よかったんですけど、そういった時間の積み重ねの中で自然と芽生えてきた、多分心の動きだったり気持ちっていうのはあったんじゃないかなと思います。

MC:続いて高橋さん。桂小五郎は幕末の志士であり緋村抜刀斎を生み出した役柄ですけど、演じられたうえで意識をされていたことって何かありました?

高橋:緋村に対する愛情と、非情さみたいなものを、そう反する感情を常にもっていなければいけないんじゃないかなということは、本を読ませていただいた段階から持っていました。ただ緋村を心から案じている部分っていうもののバランスというものは、やりようによってはオーバーになってしまうし、でもそれが分かりすぎてもいけないような気もしていたし、あれで本当に緋村にかけていく愛情みたいなもののようにバランスを取りながら毎現場お芝居をさせてもらっていたような気がしますね。

MC:ありがとうございました。江口さん、斎藤一というのは幕末と明治2つの時代を生きた男。そして剣心の好敵手としてpart 1から『The beginning』まで全ての作品に登場します。今作では暗殺者である抜刀斎と対峙するシーンがあって、健さんも押されるような気がしたと言っておりましたが、対峙するシーンなど撮られていかがでしたか?

江口:殺陣って受け身のほうが大変だと思うんですよ。剣心は大概の剣士に勝てるというキャラクターなので。その時に初めて剣を使わずに斎藤の剣を受けるというシーンだったんでね、多分それは疲れるというかまぁ、俺も体がでかいですから(笑)。ぐっと押し込んでいったシーンがあったと、いま思い出しましたけど。健くんもまだ二十歳ぐらいで若かったし、この映画がどうなるか分からずどこまでのアクションにしていくのか、でもアクション監督と大友さんという2つのツールで、すごい映画になるんだろうという予感の中で、でもって主役の佐藤健と向き合って。良かったなと思うのは、最後に初めて剣心と斎藤一が剣を合わせるか合わせないかっていうシーンがあったんですよ。それをギリギリまで監督も、ちょっと合わせた方がいいのか、合わせない方がいいのか、っていうような葛藤があったんです。大概のシーンは殺陣が決まってから向かい合うんですけど、殺陣が決まってないで、ガッと向かい合う瞬間があって、それは最高に気持ちが良かったのを覚えてますね。そのシーンが撮れた時に、やったなという感覚はありましたね。実際に観た時に、斎藤はある種、型があるキャラクターだったんで、ゼロではもう本当にその型がない、いろいろ調べるとものすごく危ない男だったんで、日本映画の中では本当に限られたあまり表沙汰では大きくは表現しないような役だと思うんですけども、でもすごく面白い役だと思って。でもそれが刃物を持った男の狂気みたいなものを表現できたんで、やりがいがありましたね。

MC:そして監督は1作目から続いてきたこのシリーズですけれども、最後に『The Beginning』で剣心として始まりを描く作品になったと。これはどういう思いだったんでしょう?

大友:僕らの中で、前作が公開されたタイミングから含めて、健くんともプロデューサーとも、『The Beginning』やんなきゃダメだよねっていう話を、とにかくしてたんですよね。だからなんとなく僕らの決着点はそこにある気がしたんですよ。あの十字傷のもう一つの、なぜそこに十字傷があるのか、剣心の心に何が残っているのか、そこを描かないとシリーズを描けないだろうってことだったんで、僕らにとってはそこをまずやるということを考えながら。当然そうなるとただもう一つの縁の物語、これはやっぱりコインの裏表なんでね絶対両方やりたいっていう気持ちになってきたんで、そこで巴のことを知った薫の心の揺れとかね、いろんな物語がまた新たに生まれるし、剣心にとってのそういう相手である縁と向き合う時に剣心の周りの人間たちがどういうふうに向き合っていくのかっていうことも当然描きたくなってくるし、その裏表のカードをやりながら、やっぱり公開順とかもかなり喧々諤々やったんですけど、『The Beginning』で終わるというのは、しびれるよねっていう感じと、そこに観ていただければ分かるある種の仕掛けもあったりするし、やっぱ剣心の原点に終わって、このシリーズが終わるのはすごく綺麗なシリーズかなと。作りながら固まっていったという感じですね。『The Beginning』で終わると。物語が終わることでまた始まる。物語が始まるところで終わるみたいなことですね。

MC:改めて佐藤さん。10年間演じてきた『るろうに剣心』シリーズがついに完結します。この10年はどんなものだったんでしょう?

佐藤:22歳の時にこの役とこの作品と出会わなかったら、今の僕はいませんし、あそこでこの役と出会って、大友組で思いっきりやらせてもらって、それ以降見る人も僕も、僕を通して剣心を見てたり、僕が剣心を背負って、他の仕事もしてきたんだろうなと思うんですよ。間違いなく代表作だし、それが今回最後ということで、肩の荷が下りたような気持ちもありますし、やっぱり寂しい気持ちもありますし、剣心を下したこの先の自分の仕事の仕方っていうのは、やっぱり今までと全然違ったものじゃないといけないんだろうなとも思っていて、この役以上のこの作品以上のものをこれから自分は作っていかないとやっていかないといけないんだなって、一種のライバルのように捉えたりもしてるんですけど、絶対もちろんそれを目指していくつもりだし、と言いながらそんな簡単なことじゃないんだろうなと思っていて、非常に出会えて光栄でありながらも複雑な作品と結果なっています。