【全文掲載】田中圭「母が亡くなって、初めて誰かを想いながら花を作った」今泉監督が書いた脚本との不思議な巡り合わせ

MC:ありがとうございます。続いて、田中さんが演じる夏目さんは、劇中でとてもモテる役ということなんですけれども、どうでしたか?

田中:これがですね、皆さんまだ観てないので僕なりの夏目の解釈は…もちろん監督とこういう話をするのも初で全然合ってないかもしれないのであんまり言えないんですけども…結果としては言わないんですけども!彩良ちゃんとエレナちゃんがとにかくキラキラ、若い女の子というわけで…(岡崎に対して)紗絵ちゃんもよ!?もちろん紗絵ちゃんもよ!?二人の…(進行状況を気にしてスタッフと会話しているMCを見て)全然聞いてへんやん…。

(会場爆笑)

田中:いいの、いいの!こっち(客席)に話せばいいんだよね!みんなに話せばいいんだよ、俺が!二人のキラキラとか好きっていう想いが宿った目を見てるだけで、お芝居中はいいんですよ、お芝居中はもちろんどうにかそこで踏ん張るんですけど、カットってかかった瞬間、すぐ目そらしてた、俺(笑)。もう見ないで!みたいな、そんなキラキラした目でおっちゃん見ないで!みたいな(笑)。そのぐらいすっごいキラキラしていて本当に素敵なので、これから皆さん観ていただくのでわかると思うんですけど、二人の…紗絵ちゃんもよ?

岡崎:ありがとうございます(笑)。

田中:何ていうのかな、「あぁ、この頃あったなぁ!」って絶対みんな思うので、そういうのも一つ、この映画の見どころかなと思います。

MC:そうですね。これは不器用な片思いの物語と監督は言われているわけですが、いろんな“好き”が描かれています。そんななかで志田さんと松木さんに伺いたいんですが、それぞれの役どころについての“好き”には共感するところはありましたか?

松木:私が演じさせていただいた陽子は、同性の先輩に恋をする役なんですけれども、私も実際に学校で憧れる同性の先輩がいたりしたことがありますし、大きい目標をもってキラキラ輝いている女性を素敵だなと思う気持ちはすごくわかるので、そこはすごく共感できました。

MC:志田さんはどうでしたか?

志田:まだ観ていただく前なのであまり言えないんですけど、とある方に恋をするんですけど、その方がかなり年上の方で、私も実際に現場とかでスタッフの方を見てかっこいいなと思ったり、一回り以上離れた大人の方を見てすごい素敵な方だなと思ったりするので、そういうところに関しては、恋愛的な好きとはちょっと違うので今回の宏美の好きとはちょっと違うかもしれないんですけど、そういう魅力的だなと思うところに関してだったり、あとは宏美は自分の好きな気持ちを前面に出さないんですけど、私も実際に恋をしたら顔には出さないように頑張って自分の中に閉じ込めるタイプなので(笑)、そこはすごく共感できました。

MC:これからご覧になる皆さんが必ず一つ二つは「あぁ、わかる!」というような部分がきっとあるような、素敵なキラキラした片思いのお話が綴られていくので、楽しんでいただければと思います。それでは最後になりますが、田中さん、そして監督から一言ずついただきたいと思います。まずは今泉監督、お願いします。

今泉:本日はご来場ありがとうございます。最初のお客さんになるので、皆さんの感想がすごく楽しみですし、皆さんに楽しんでいただければと思います。さっきの脚本を作る時の話でもあるんですけど、主人公が葛藤を抱えていて、それを乗り越えてというお話はもちろんいっぱいあるしいいと思うんですけど、最近の自分の興味が、特に葛藤とかがあることよりも、さっき岡崎さんも話していましたけど、その辺にいる人といったらあれなんですけど、日常の、映画を観終わった後の街にいるんじゃないかという人を真ん中において、その人の周りに集う小さな話、些細なこととか、さっき同性の子を好きなるという話がありましたけど、あと不登校、学校に行けない子が出てきたり、結婚してるけど誰かを好きという人とか、よくないわけではないけど、それについていろんな人が文句を言ったり言及しそうな人たちがたくさん出てくるけど、それを特別視することもなく、当たり前にいる人たちのように描いた映画になっています。片思いも実らなかったりもたくさん出てくるけど、全体の温度としてはすごく温かいmellowな映画になっていると思うので、最後まで楽しんでいってください。本日はありがとうございました。

MC:ありがとうございました。そして最後は田中さん、お願いいたします。

田中:改めまして本日は足をお運びいただきありがとうございます。すごく温かい映画ですし、奥が深いと言ったら言葉が安いんですけれども、何度も何度も噛み砕けたり噛みしめたりできる映画だったり、いろんなことが隠れているなぁって、僕が撮影中に気づかなかったことも完成して気づいたこともあるし、逆に今、取材をいろいろやってて、今日も紗絵ちゃんと朝から(「王様のブランチ」の)「買い物の達人」やってきたもんね。

岡崎:はい(笑)。

田中:そういうのもやっているので、作品が終わってからでも僕たちが気づくことっていっぱいあって、今日から『mellow』という映画がようやく完成するわけですけど、皆さんに何度も何度も観てもらいたいし、いっぱい愛してほしいなと思います。この映画を観て僕がやっぱり一番思ったことって、誰かに興味を持つことってすごく大事だなぁと思っていて、興味を持たない限り、その人って他人なんですよね。でも、他人っていうところを他人事とか言うんじゃなくて、その人のことを考えたり、その人のためにとか、好きという感情はもちろん素敵ですし、でもそのきっかけが一つ興味だと思うので、こういう映画がたくさんの人に愛されて、みんながみんな興味を持てる人が増えて、今より他人という感覚がなくなればいいなというのはこの映画を観てすごく思いました。とりあえず、mellowな気持ちになってきてください!今日はありがとうございました!

MC:ありがとうございました。以上で『mellow』完成披露舞台挨拶を終了とさせていただきます。皆さん、大きな拍手でゲストをお送りください。ありがとうございました!

『mellow』
2020年1月17日(金)より、新宿バルト9・イオンシネマ シアタス調布ほか全国公開
監督・脚本:今泉力哉
音楽:ゲイリー芦屋
主題歌:並木瑠璃「花になる」
出演:田中圭 岡崎紗絵 志田彩良 松木エレナ 白鳥玉季 SUMIRE 山下健二郎(三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE) ともさかりえ 小市慢太郎
配給:関西テレビ放送 ポニーキャニオン

【ストーリー】 オシャレな花屋「mellow」を営む夏目誠一(田中圭)。独身、彼女なし。好きな花の仕事をして、穏やかに暮らしている。姪っ子のさほ(白鳥玉季)は、転校後、小学校に行けない日がたまにある。そんな時、姉は夏目のところにさほを預けにやってくる。さほを連れていくこともある近所のラーメン屋。代替わりして若い女主・木帆(岡崎紗絵)が営んでいる。亡くなった木帆の父の仏壇に花を届けるのも夏目の仕事だ。常連客には近くの美容室の娘、中学生の宏美(志田彩良)もいる。彼女はひそかに夏目に憧れている。店には様々な客がいて、丁寧に花の仕事を続ける夏目だが、ある日、常連客の人妻・麻里子(ともさかりえ)に恋心を打ち明けられる。しかも、その場には彼女の夫も同席していた…。様々な人の恋模様に巻き込まれていく夏目だが、彼自身の想いは…。

©2020「mellow」製作委員会

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