【全起こし】斎藤工、映画公開まで七転び八起き「阿佐田哲也さんが背中を押してくれた」映画『麻雀放浪記2020』初日舞台挨拶&囲み取材レポート 全文掲載

質問者:この映画の出演者でもあります、ピエール瀧被告は昨日保釈となりました。今の心境をそれぞれお聞かせください。

斎藤:そうですね、あの…。保釈されたからといって特に気持ちが変わるわけではないんですが、ご自身もこれだけ大きな波紋が広がるということをたぶん想像はできても、いざ、目の当たりにして初めて実感されているんじゃないかなと思いますし、僕は白石監督とたくさん取材を受けさせていただいた中で、(記者の)皆さんからのなかなか厳しい質問も、監督は真摯にピエールさんに対して、ご自身に対して受け止めている姿を見てきたので、この姿こそ僕はピエールさんに見ていただきたいなと思っていますし、今はほんとに猛省していただきたいと思ってます。同時に、僕らの職業も、信頼、モラルの部分をお互いに確かめた上でというよりは、大丈夫であろうという前提で、仕事が進んでいくということに対しても、もしかしたら信用されすぎているんじゃないかなと。もちろん、検査を常にするっていう…、僕はそれでも良いと思っているんですね。尿検査だろうがなんだろうが。こういう時代だからか分からないですけど、そのぐらい、キャストもスタッフも信頼っていう上で仕事が成り立って、放送や公開にたどり着くというプロセスの中で、僕はそこについて今回深く考えました。そうですね…。まだ気持ちは…ピエールさんに対してどうこうというよりは、今日、この日(『麻雀放浪記2020』の公開初日)を迎えられたことが、今後ピエールさんが関わっている作品の映画製作者、ドラマ製作者の方々、それ以外の人たちもなにかひとつの、もちろん作品ごとに議論が必要だと思いますけど、『麻雀放浪記2020』が出したひとつの特殊なケースかもしれないですけど、答えというものが、なにか同じ映画人や、映像に関わる人たちの希望になることを願っております。

白石:昨日、ピエール瀧さんが保釈されて、僕もニュースの映像を見たんですけど…。まあ、出てきて改めて、自分がしてしまったことの大きさにたぶん、驚いているでしょうし、そこはやってしまったことに向き合って、刑が確定するまで、自分と向き合い、いろいろな人と話をして、自分が何をしてしまったのか考えてほしいなと思います。僕個人としての映画監督として、ピエール瀧さんとの関係性はこの先は難しいかもしれません。でも、一友人として、必要であれば、瀧さんの治療とか、社会の中でどう貢献していけるかとかということを僕は協力できることはしたいと思います。映画にも少し薬物のシーンがあるんですけど、今後はただ撮るだけじゃなくて、考えていきたいなと思っております。ピエール瀧さんの件だけではなくて、今年の一年間いろんな事件がありましたけど、一本一本出演者、スタッフ含めて、どういう思いで映画を作っているかっていうことは、映画に関わっている者、皆が考えなければいけないことです。そもそも、なぜエンターテイメントとして観てくれるお客様に何を届けようとしているかということは、この世界に関わっている者が皆んな考えて、真摯にやっていくしかないと思っています。

質問者:以上でございます。それでは皆様、今日はご取材ありがとうございました。

『麻雀放浪記2020』
4月5日(金) 全国ロードショー
監督:白石和彌
原案:阿佐田哲也「麻雀放浪記」(文春文庫・刊)
出演:斎藤工 もも(チャラン・ポ・ランタン) ベッキー 的場浩司 岡崎体育 ピエール瀧 音尾琢真 堀内正美 小松政夫 竹中直人 ヴァニラ
配給:東映

【ストーリー】 主人公・坊や哲(斎藤工)がいるのは、2020年の“未来”。なぜ?人口は減少し、労働はAI(人口知能)に取って代わられ、街には失業者と老人があふれている…。そしてそこは“東京オリンピック”が中止となった未来だった…嘘か?真か!?1945年の“戦後”からやってきたという坊や哲が見る、驚愕の世界。その時、思わぬ状況で立ちはだかるゲーム“麻雀”での死闘とは!?

(C)2019「麻雀放浪記2020」製作委員会