サントリー、資生堂、TOYOTAなど数多くの広告写真を手掛ける写真界の巨匠・上田義彦が、構想から10数年の歳月をかけて完成させた、富司純子とシム・ウンギョンがダブル主演を務める初監督作『椿の庭』が、7月に公開されることが決定した。
本作は、椿が咲き誇る一軒の家に住む祖母と孫娘、そしてそこを訪れる人々の物語。庭に咲く色とりどりの草花に季節を感じながら日々を慈しみ生きる家族の一年間を、所作、佇まいなど思わず溜息をもらすほどに美しく描き出す。
日々、庭の世話をしながら孫娘と暮らす絹子を演じるのは富司純子。近年では『海獣の子供』に声優として参加し、『散り椿』やNHKドラマ「みをつくし料理帖 スペシャル」などに出演していたが、主演として映画に出るのは『待合室』(2006)以来、実に16年ぶりとなる。2007年に紫綬褒章を受章、2016年の春の叙勲では旭日小綬章を受章するなど、日本映画界を代表する女優の一人である。さらに絹子の孫・渚を演じるのはシム・ウンギョン。昨年公開作『新聞記者』では主演を務め、第43回日本アカデミー賞優秀主演女優賞、第74回毎日映画コンクール女優主演賞を受賞。その他にも昨年には映画『ブルーアワーにぶっ飛ばす』、舞台「良い子はみんなご褒美がもらえる」にも出演するなど、韓国のみならず日本でも活躍の幅を大きく広げている。現在の日本映画界で高く評価を受ける女優二人の世代を超えた共演が実現した。
監督を務めるのは、写真界の巨匠・上田義彦。脚本、撮影も担当した。写真家として24歳から活動をはじめ、卓越した美学で撮影された作品は国内外で高い評価を得る。14年には、日本写真協会作家賞を受賞。本作は、上田自身の記憶、時代の移ろいの中節々の出来ごとで感じ取った感情を書き留め続けた言葉を土台に、構想から十数年をかけ脚本として練り上げ、2018年から一年をかけて撮影をした珠玉の映画監督デビュー作となる。
『椿の庭』
7月、シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
監督・脚本・撮影:上田義彦
出演:富司純子 シム・ウンギョン
配給:ビターズ・エンド
【ストーリー】 かつて夫と語り合い、子供たちを育てた家に、今は孫娘の渚(シム・ウンギョン)と住む絹子(富司純子)。夫の周忌を終えたばかりの春の朝、世話していた金魚が死に、椿の花でその体を包み込み土に還した。命あるものはやがて朽ちる。家や庭で起こる些細な出来事、過去の記憶に想いを馳せ慈しむ日々の中、ある日絹子へ一本の電話がかかってくる…。
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