「とんび」、「流星ワゴン」など、大切なものを失った家族が再生していく姿を描いてきた重松清による累計発行部数8.5万部を超える小説を、山田孝之を主演に迎えて映画化する『ステップ』が、4月3日より公開される。このほど、本作の予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。
本作は、結婚3年目で、30歳の若さで妻に先立たれた主人公・健一が悩みながらも、周囲の人々との関わりの中でかけがえのない日々を過ごし、娘の美紀とともに、そして常に亡き妻を心に感じながら、ゆっくりと成長していく10年間を描く。
予告編は、健一(山田孝之)が妻に先立たれてから1年の節目に、幼い美紀と再出発を図ろうと決意を新たにするところからスタート。料理や洗濯、娘をお風呂に入れたり寝かしつけたりと、日々家事に育児に奮闘する健一。朝は満員電車に揺られながら出勤し、同僚に残業を引き受けてもらいながら、急いで保育園に預けた娘を迎えに行く。めまぐるしい日々を送りながら仕事と子育ての両立に葛藤し、「もうダメかもしれないな…」と弱音をこぼす等身大の父親の姿を、山田はリアルかつ繊細に熱演する。
忙しい毎日を過ごしながらも、「ギブアップしたくないんですよ、男手一つの子育て」と語る健一を優しく見守るのは、豪華キャストが演じる周囲の人々。伊藤沙莉演じる保育士の“ケロ先生”は、美紀を抱き上げる健一を見て「お母さんもきっと、抱っこしたかったんだろうなって…」と目頭を熱くさせ、川栄李奈演じる亡き妻の面影を持つ行きつけのカフェ店員・舞は、「がんばってほしい」とまっすぐな笑顔を向ける。広末涼子演じる同僚の奈々恵は、「寂しさはゼロにできない、それを知っているから強がる」と優しく寄り添うも、一方で涙を流す様子も。また、健一と美紀の“家族”として誰よりも彼らに気をかけるのは、國村隼と余貴美子演じる義父母たち。彼らもまた娘を亡くした悲しみを抱えながらも、「血こそ繋がっていなくても、君は俺の息子だ」と力強くあたたかい視線を向け、健一が涙ぐむ姿も映し出される。
そんな名優たちの演技を彩るのは、いち早く本作を鑑賞した秦 基博が書き下ろした主題歌「在る」。秦が「誰か“が”いたこと。誰か“と”いたこと。その人が、自分が、存在するということ。その意味を考えながら作った曲です」と想いを形にした楽曲は、“大切なものを失った者たちが新たな一歩を踏み出すために、背中を押してくれる”珠玉のバラードだ。温かな歌詞とメロディ、そして伸びやかで優しい歌声が本作の映像と一体化し、深い感動を与える。
本作を鑑賞した原作者の重松清は、「観る人の年齢や家族環境、そのときの状況によって視点を変えながら、読者が長くつき合っていける小説を書きたいと思っているので、この映画はその理想と同じような愛され方ができる作品になったと思う!」と映画化を絶賛。そしてエンドロール後もキャラクターたちが生きていると感じられたと言い、物語の「その先をまた書きたいと思った」と執筆意欲を掻き立てられるほど感銘を受けたと口にする。
ポスタービジュアルは、笑顔の美紀を優しく見守る健一というほほえましい2ショットと、「僕と娘の10年間、天国の君との10年間。」という亡き妻への想いも込められたキャッチコピーが希望を感じさせる。
『ステップ』
4月3日(金)より全国ロードショー
監督・脚本・編集:飯塚健
原作:重松清「ステップ」
主題歌:秦 基博「在る」
出演:山田孝之 田中里念 白鳥玉季 中野翠咲 伊藤沙莉 川栄李奈 広末涼子 余貴美子 國村隼
配給:エイベックス・ピクチャーズ
【ストーリー】 健一(山田孝之)はカレンダーに“再出発”と書き込んだ。始まったのは、2歳半になる娘・美紀(中野翠咲、白鳥玉季、田中里念)の子育てと仕事の両立の生活だ。結婚3年目、30歳という若さで突然妻を亡くした健一はトップセールスマンのプライドも捨て、時短勤務が許される部署へ異動。何もかも予定外の、うまくいかないことだらけの毎日が始まった。そんな姿を見て、義理の父母(國村隼、余貴美子)が娘を引き取ろうかと提案してくれたが、男手一つで育てることを決める。妻と夢見た幸せな家庭を、きっと天国から見ていてくれる妻と一緒に作っていきたいと心に誓い、前に進み始めるのだ。美紀の保育園から小学校卒業までの10年間。様々な壁にぶつかりながらも、前を向いてゆっくりと“家族”への階段を上る。泣いて笑って、少しずつ前へ。
(C)2020映画『ステップ』製作委員会