日本映画初のドルビーシネマ作品に決定!水谷豊 監督・脚本・出演『轢き逃げ -最高の最悪な日-』ポスタービジュアル

水谷豊が『TAP -THE LAST SHOW-』(2017)に続きメガホンをとり、脚本と出演を兼ねる監督2作目となる最新作『轢き逃げ -最高の最悪な日-』が、5月10日より公開される。このほど、本作が日本映画初の「Dolby Cinema TM(ドルビーシネマ)」作品に決定し、併せて、ポスタービジュアルがお披露目となった。

本作は、とある地方都市で起こった“轢き逃げ”事件を発端に、運命に巻き込まれ翻弄される7人の人物の心の軌跡を描く。脚本も務めた水谷は、「人間の奥底には自分でも分からない感情が潜んでいる」ということに着目し発想を膨らませ、物語を執筆した。

ドルビーシネマは、ドルビーラボラトリーズ社が開発した最新鋭のシネマフォーマット。最先端の映像技術「Dolby Vision TM (ドルビービジョン)」と立体音響技術の「Dolby Atmos ®(ドルビーアトモス)」を採用し、さらに究極のシネマ体験を実現するために最適化されたシアターデザイン(インテリアカラー、空間デザイン、座席アレンジメント)と一体となって、アクションやストーリーをより豊かに観客に届け、まるで作品の中にいるような没入感を実現。現在、11ヶ国(オーストリア、中国、フランス、ドイツ、クウェート、オランダ、スペイン、UAE、イギリス、アメリカ、日本)の20の興行社でドルビーシネマは導入されており、累計210作品がドルビーシネマ作品として上映され、ハリウッドの主要スタジオ15社を含む、映画業界から絶大な支持を受けている。日本においては、昨年11月にT・ジョイ博多に日本初のドルビーシネマがオープンし、続いて今年4月26日にMOVIXさいたまにオープンする。

この“ハリウッドクオリティ”のシネマフォーマットを本作が日本映画で初めて採用したのは、水谷監督の「自分が体験した映像への驚きを、多くの人に届けたい」という思いからだった。きっかけは3~4年前に本作でもタッグを組む会田撮影監督がテスト用に撮った、最新技術であるHDR映像を見たこと。HDRとは、High Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略称であり、従来の映像より明るさの幅を表現できる技術で、まるで肉眼で見たかのような映像が目の前に広がる。その映像を見た衝撃は水谷監督の心に深く残り、これを多くの人へ届けたいと思う中で、HDR技術を活かしたドルビーシネマに出会い、その思いが結実した。すでにハリウッド作品を中心とした海外作品ではドルビーシネマをT・ジョイ博多で体験できるが、ただ一点、本来の意味での「没入する」為に邪魔になっているものが字幕。「セリフ」を読まなくてはいけないということで、映画の中にいるかのような感覚を削いでしまう側面もあったが、日本映画のドルビーシネマ化ではその心配は無用。ドルビーシネマの凄みを本当の意味でわれわれ日本人に与えてくれるはずだ。そして、それはリアルな日常性や人間描写がある映画であればあるほど、絶大な効果をもたらすことになる。まさに本作は、日本映画としてのドルビーシネマに見事に合致した作品であり、“ハリウッドクオリティ”を余すことなく体感できる作品なのだ。

スタッフ コメント

■水谷豊(監督)
以前、会田撮影監督から見せてもらった最新鋭の映像のことが頭から離れず、「いつか日本でも」という思いを持っていました。その思いを叶えてくれるドルビーシネマに幸運にも出会い、この作品が日本映画初となることを嬉しく思います。日本映画でもドルビーアトモスが導入されはじめ、本作のドルビービジョン採用から、ドルビーシネマの可能性を取り入れることで、日本映画の映像表現や未来が変わっていくと思います。観客も、より集中できる環境で映画を楽しめるようになれば、感じ方がより複雑になり、生々しく心に響くのではないかと期待しています。

■会田正裕(撮影監督)
3、4年前にテスト用に撮ったHDR映像を、監督にお見せした時から“何かが違う気がする”と。当時からHDR映像技術に対して、すごく興味を持っていました。普段の生活の中で、人は目と脳のセットで、ものを見ているのだけれど、暗闇の中で映画を観る時には、視覚的にあまり脳を使わずに観ている。ドルビービジョンは、肉眼で見るイメージの明るさなので、観客も、本物を見ているような感覚で、映画を観ることになる。3Dとは違って、いままで描き切れなかった深い暗部の表現をはじめ、作品世界に潜在的な幅を持たせることができるので、日常的な出来事を描いた本作には、非常にマッチしていると思います。

■舛森強(録音)
音が“居る”という表現ができる。音を点で飛ばすことができるので、音が“居る”という表現ができる。例えば、これまでは擬似的にしか飛ばせなかったヘリコプターの音が、ドルビーアトモスの表現を用いることで、観客に時間経過をナチュラルに伝えられる。水谷監督の映画って、時間経過が難しいんですよね(苦笑)。上からも音が鳴るので、高さを含む三次元的な空間を、観客に意識させることができる。イタリアンレストランのシーンで、秀一の倒錯した世界を表現する上でも、アトモスは大変有効でした。ワイングラスで乾杯してから、無音になり、婚約者の声が遠のいていく中に、いやな音を入れて、グラスの割れる音で現実に引き戻されるまでを、ぐるぐると音を回しながらドラマチックに表現できました。

■大沢幸弘(ドルビージャパン株式会社 代表取締役社長)
ドルビーシネマを採用いただいたことにより、水谷監督が追求されている「まるで肉眼で見たかの様な映像表現」と「より映画に集中できる環境」の実現に貢献できたことを非常に嬉しく思います。今後もドルビーシネマの普及を通じて日本映画の発展に寄与してまいります。

『轢き逃げ -最高の最悪な日-』
5月10日(金) 全国ロードショー
監督・脚本:水谷豊
音楽:佐藤準
テーマソング:手嶌葵「こころをこめて」(ビクターエンタテインメント)
出演:中山麻聖 石田法嗣 小林涼子 毎熊克哉 水谷豊 檀ふみ 岸部一徳
配給:東映

【ストーリー】 ある地方都市で起きた交通事故。一人の女性が命を落とし、轢き逃げ事件へと変わる。車を運転していた青年・宗方秀一(中山麻聖)、助手席に乗っていた親友・森田輝(石田法嗣)。二人は秀一の結婚式の打ち合わせに急いでいた。婚約者は大手ゼネコン副社長の娘・白河早苗(小林涼子)。悲しみにくれる被害者の両親、時山光央(水谷豊)と千鶴子(檀ふみ)。その事件を担当するベテラン刑事・柳公三郎(岸部一徳)と新米刑事・前田俊(毎熊克哉)。平穏な日常から否応なく事件に巻き込まれ、それぞれの人生が複雑に絡み合い、抱える心情が浮き彫りになっていく。彼らの心の奥底に何があったのか?何が生まれたのか?その悲劇の先に、彼らは何を見つけられるのか?

Ⓒ2019映画「轢き逃げ」製作委員会