ロービジョンフットサル日本代表主将 岩田朋之が、視力5%の主人公に共感!映画『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』試写会レポート

奇跡の実話を映画化し、ドイツ全土を笑いと爽やかな感動の渦に巻き込み大ヒットを記録した映画『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』が、2018年1月13日より全国ロードショー。12月21日、TSUTAYA桜新町店が運営する『TSUTAYA Conditioning(ツタヤコンディショニング)』にて第2回目の開催となる“こころ整えシネマ試写会”が行われ、映画『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』が上映された。本イベントは「こころとからだを整える」をコンセプトにした書店が提案するコンディショニングスタジオで、ヨガマットに寝転がりリラックスした体勢で映画を観賞するというイベント。試写会後のトークイベントには、ロービジョンフットサル日本代表主将である、岩田朋之選手が登壇した。

TSUTAYA_イベントオフィシャル

全盲ではなく、矯正が効かない弱視の方によって行う「ロービジョンフットサル」の日本代表主将として活躍している岩田。ロービジョンフットサルとは、5人制で行われ、ブラインドサッカーのようにアイマスクや音の出るボールは使用せず、晴眼者か弱視のキーパーが声を出して選手に指示をし、戦略的に試合を動かすハイレベルなスポーツ。映画の主人公であるサリーと同じような境遇を持ち、なおかつアスリートとして活躍する選手の生トークを聞けるとあって、観客も真剣に話に聞き入っていた。

ロービジョンフットサルとの出会いについて、「元々サッカーが趣味だった。ブラインドサッカーの落合啓士選手に会いに行った時に、たまたま弱視の方が競技しているのを知り、これだったら病気になる前にフットサルをやっていた友達とも一緒に出来るなと思った」と、きっかけを明かした。「僕の場合、視界が全体的に白いもやがかかっている状態で、中心はよりそのもやが濃い感じ。例えば、相手の表情だったり、ガラスのくもりや床の汚れだったり、サリーと共通して“分かりたいものが識別できない”」という。“弱視”と一口に言っても、「右目は全く見えなくて左目はぼやけて見える」、「真中は見えていて周りの視野が欠けている」、「ドーナツ状に真ん中と外側だけ見える」などチーム内でもその症状はさまざまであるため、攻守の切り替わりが早い難しさの中、コミュニケーションをとるため、指をさしたり、質の高い具体的な声かけをしたりして、残された視力を生かしながら競技を楽しむ醍醐味を語った。

映画について岩田は、「とにかく主人公のサリーに強く共感した。僕も彼の親友のマックスのように支えてくれる友人や恋人、家族が周囲にいるので、その人たちひとりひとりのことを想いながら観た」と感動の深さを爆発させた。一方、「5年前、症状が現れ始めたときはソムリエになるために赤坂のレストランで働いていたので、グラスの汚れが分からずサリーが苦悩するシーンも胸に刺さるものがあった。当時はストレスで見えにくくなっていると思っていて、診断も出ないから原因もわからず苦しんでいたことを思い出した」と吐露し、自信の実経験を振り返った。

さらに今回、音声ガイドを利用して本作を鑑賞したことに触れ、「まずは“映画を観る”という行為を久しぶりに楽しめた。まだまだ視覚障害のある方が映画を観られる環境は限られているけれど、仲間にも見てほしいし本当に薦めたいからガイド付きの上映が増えてほしいと思う」とコメント。

「目が見えないことを隠し、ホテルの研修に臨む」という本作の設定に関して問われると、「初めて会う人に“(弱視のことを)言わなくてもいいのかな”と思うこともあるけれど、付き合っていく中でつまずいてしまうこともある。僕も26歳まではいわゆる“健常者”だったから、それまでの人間関係が変わってしまったらと思ったこともあった。見えないことを人に話すのは確かに勇気がいることかもしれないがそんな時にこういう講演会やインタビューの言葉を通して、少しでもそんな人たちの背中を押すことができたらいいな」と思いを込めた。

現在はアスリートとして活動する傍ら、筑波大学で大学院生として勉学に励む岩田。「論文などを読む時は、あらかじめ音声で繰り返し聞いて、ある程度話が飲みこめた段階で拡大したりしながら自分の目で見て確認する。普段の授業でもスライドをもらって事前に頭に入れてから出席したり配慮してもらう」と日常生活でも相違工夫しているのだという。

最後に、「僕も目が見えなくなったときには、「あれもできない、これもできない」と一つの視点からしか物事を考えられなくなっていたが、5年経った今では反対からもその出来事を捉えられるようになった。残されたことから自分のできることを探したり、その地点から可能性を広げていくこともできる。生きていると、障害だったり他にもいろいろな困難があると思うが、どんな立場でも可能性を持ってチャレンジすることが必要」とメッセージ。そして、「これからどういう風に生きていこうかと考えていた時にこの作品に出会い、すごく勇気をもらった。一生涯、この映画の宣伝をしつづけるつもり」と熱いメッセージを寄せイベントを締めくくった。

TSUTAYA_イベントオフィシャル②

『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』
2018年1月13日(土)新宿ピカデリー、角川シネマ有楽町ほかにて全国ロードショー
監督:マルク・ローテムント
出演:コスティア・ウルマン ヤコブ・マッチェンツ アンナ・マリア・ミューエ
配給:キノフィルムズ/木下グループ

【ストーリー】 「5つホテルで働きたい!」先天性の病気で95%の視覚を失った青年が夢を叶えるために一世一代の“大芝居”を打つ!なんと目が見えないことを隠して、一流ホテルで見習いを始める。持ち前の明るさと機転を利かせ、周囲の助けも借りながら、ホテルの研修課題を次々とクリアしていく。ところが、ある女性との出会いにより、完璧だった偽装計画に徐々にほころびが。果たして、無謀とも呼べる夢は叶うのか、そして恋の行方は――?

© ZIEGLER FILM GMBH & CO. KG, SEVENPICTURES FILM GMBH, STUDIOCANAL FILM GMBH