猪瀬直樹「私は都庁で3.11を経験した時、エレベーターには乗らなかった」 映画『ナインイレヴン 運命を分けた日』公開記念トークイベントレポート

ニューヨーク出身のチャーリー・シーン(『プラトーン』)、ウーピー・ゴールドバーグ(『天使にラブ・ソングを…』)、そしてニューヨークを愛するスタッフ&キャストがマルティン・ギギ監督のもとに集結し、2001年9月11日、NYワールドトレードセンタービルで起きた米同時多発テロ事件をビル内部の視点から描いた『ナインイレヴン 運命を分けた日』。本作の公開記念トークイベントが9.11テロから16年が経った先日に行われ、日本の首都・東京の都知事を経験した作家・猪瀬直樹がゲストとして登壇した。

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猪瀬は「チャーリー・シーンが久々に主演をしていたし、面白かった。でも(一番思ったことは)高層ビルのエレベーターは怖いよ、ということ。豊洲や武蔵小杉あたりの高層ビルに住むのは大変だよ!」とコメント。また、9.11、そして日本人にとっては3.11(という数字)は忘れられない日付として述懐。3.11については、都知事を辞めた後に、水没した気仙沼公民館の屋上で446人が一晩どうやって生き延びたのか、取材を重ね証言をとり「救出」という本を出版しており、その時の様子なども合わせて語った。「わがままな奴もいるんだよ。446人の中にも変なのがいる。映画の5人の中にも変な人がいる。理にかなったことをお互い言っているつもりでも、密室の中のサバイバルは、言葉の一つ一つでも変わってくるから、どういう話し合いをして、どう助け合うかが大事」と作品とリンクさせながら振り返った。

9.11はテレビの報道、3.11はtwitterの波及が役に立った事にも触れ、もし今、有事が起きた場合についての話題になると昨今の北朝鮮のミサイル問題にも話が及び「結局、中国が原油を輸出しないとかで制裁措置をとるとか、トランプさんが言っている。安保理事会でロシアと中国に働きかけているが、闇ルートで経済制裁も入ってきちゃう。北朝鮮と韓国が分断している状況が、一番アメリカやロシア、中国にとってちょうどいい状況。もし、ここで金正恩さんが殺されて、朝鮮半島が統一されてしまうと、核兵器を持った大きな国ができてしまう。それの方がかえって危ないという考えもある。実際北朝鮮のミサイルはアメリカ上空まで飛ばすことはできる。ただどこで落ちるか精度の問題があるから上の方で爆破させると電波攻撃になる。そこまではやらないようにしないと」と見解を示した。

「(日本人は)9.11は皆他人事だと思っているが3.11は自分事だと思っている。(外国人は)3.11は他人事だと思っている。私は都庁で3.11を経験した時、エレベーターには乗らなかった。そういう自分なりの危機管理は絶対必要。こういうことが起きないと思っているかもしれないが、エレベーターに閉じ込められるような出来事は誰にでも起こりうると思った方がいい」と猪瀬節で警鐘を鳴らし、イベントを締めくくった。

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『ナインイレヴン 運命を分けた日』
新宿武蔵野館、丸の内TOEI他全国公開中
監督:マルティン・ギギ
出演:チャーリー・シーン ウーピー・ゴールドバーグ ジーナ・ガーション ルイス・ガスマン
配給:シンカ

STORY 2001年月11日、ニューヨーク。ワールドトレードセンタービルのエレベーターに偶然居合わせた、実業家のジェフリー(チャーリー・シーン)と離婚調停中の妻イヴ(ジーナ・ガーション)、バイクメッセンジャーのマイケル、恋人に別れを告げに来たティナ、ビルの保全技術者のエディの5人。突如、ビルに飛行機が激突し、彼らは北棟の38階辺りに6閉じ込められてしまう。外部との唯一の通信手段はオペレーターのメッツィー(ウーピー・ゴールドバーグ)だけ。恐怖と闘いながら外への逃げ道を探す5人が極限状態で下した決断とは・・・・。