「やらないわけにはいかない」是枝裕和監督、藤本タツキ『ルックバック』実写化への覚悟を語る

映画監督・是枝裕和が、藤本タツキによる傑作漫画『ルックバック』を実写映画化。2026年の公開が決定し、ティザービジュアル2点とともに情報が解禁された。原作は、2021年に少年ジャンプ+で発表され、漫画家を志す2人の少女・藤野と京本の13年にわたる軌跡を描いた青春ドラマ。発行当時から絶賛の声が相次ぎ、「このマンガがすごい!2022」オトコ編1位を獲得、2024年には劇場アニメ化され国内外で高い評価を得た。

是枝監督は、偶然立ち寄った書店で本作と出会い、その切実さに心をつかまれたという。「京都からの新幹線の帰り、品川駅の書店で表紙の“背中”に惹かれて手に取ったのが『ルックバック』との出会いでした。その晩、一気に読みました」漫画と映画というジャンルの違いを超え、藤本タツキがこの作品に込めた覚悟が、同じ作り手として痛いほど伝わってきたと語る是枝監督。「きっと藤本さんは、この作品を描かないと先に進めなかったのだろうと感じました。自分にとっては『誰も知らない』がそんな作品でした」その後、プロデューサー・小出大樹から映画化のオファーを受け、藤本氏と対面した帰り道、「やらないわけにはいかない」と覚悟を決めたという。

実写映画版では、原作同様、小学生時代から始まる藤野と京本の13年の歳月を、日本の四季とともに丹念に描く。撮影は秋田県にかほ市を中心に、地元の協力を得ながら四季を通して実施され、すでにクランクアップ。現在は編集作業が進められている。

ティザービジュアルでは、雪道を歩く2人の背中、机に向かい合って漫画を描く姿など、物語の核心に触れる印象的なカットが公開された。スチール撮影は、国内外で活躍する写真家・濱田英明が担当。作品の世界観がそのまま写し取られた仕上がりとなっている。また、本作は日本のみならず韓国・台湾での公開も決定。世界中の観客に届く作品として準備が進められている。

藤本タツキは、初めて観た是枝作品として『海街diary』を挙げ、その細やかな演出を絶賛。「是枝監督がルックバックを撮ってくれるなら僕はもう何も言う事はないです。楽しみにしています!」原作者からのこの言葉も、夢のタッグ誕生を強く印象づける。

■作品情報
『ルックバック』
2026年公開
原作: 藤本タツキ「ルックバック」(集英社ジャンプコミックス刊)
監督・脚本・編集: 是枝裕和
企画・プロデューサー: 小出大樹
配給: K2 Pictures

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