「時代の真ん中にいる一人の映画人として」中島健人、“ウーマン・イン・モーション”で語る未来への決意

第38回東京国際映画祭の公式プログラムとして開催された、ケリング「ウーマン・イン・モーション」トークが11月2日、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われた。キャスティング・ディレクターの歴史と創造的影響に焦点を当てたドキュメンタリー『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』の特別上映後に実施された本イベントには、高畑充希、中島健人、デブラ・ゼイン、福間美由紀、そしてオープニングスピーチに是枝裕和監督が登壇。映画制作の裏側と、女性たちの新たな活躍の形について活発な議論が交わされた。

イベント冒頭、是枝裕和監督は「映画監督という仕事はどうしても外の世界に触れる機会が少なく、世界が狭まっていく危機感を感じています。こういう形で外の世界の方と連携しながら、何が課題なのかを見つめていく機会がとても重要」と語り、会場を温かい拍手が包んだ。

俳優・アーティストとして活動の幅を広げる中島健人は、真剣な眼差しで「今の世代の感覚でたくさんディスカッションしていきたいですし、女性がどう映画作りに尽力していくのか、しっかり学んでいきたい」と語る。「まずは食事の時間をしっかり作るとか、ファミリーデーを設けてみるとか、少しの変化が現場を充実させていくきっかけになると思います。時代の真ん中にいる一人の映画人として、推奨していけたら良いなと思います」と未来への意欲を見せ、会場の共感を呼んだ。

トークの中では、キャスティング・ディレクターのデブラ・ゼイン氏に「もし自分がゼインさんの作品に出るならどんな役が合うと思いますか?」と問いかけ、「大学生の役かしら?若く見えます(笑)」と返されると、中島も笑顔を見せ、会場は和やかな雰囲気に包まれた。

高畑充希は「役に選ばれることで自分の課題が見えてくる」と語り、俳優としての真摯な姿勢を明かした。プロデューサーの福間美由紀は「海外では撮影時間が8時間まで、土日は休みというルールがある。日本でも少しずつ意識をアクションに変えていく最中です」と、映画現場の構造的な変化に触れた。ゼイン氏も「女性がリーダーを果たす役柄が増えてきましたし、これからもっと増していくと思います」とコメント。女性の立場の変化と新たな挑戦に期待を寄せた。

イベントの終盤では、登壇者たちがそれぞれの立場から、映画業界における変革への想いを語った。高畑は「明るい未来が見える気がして嬉しいです」と微笑み、ゼイン氏は「期待以上に多くのことを学べたイベントでした」と締めくくる。中島は「時代を変えることに少しずつ尽力していきたいです。改めて、第98回アカデミー賞®でのキャスティング賞創設を祝福します」と力強く語り、会場から大きな拍手が送られた。

■イベント情報
イベント名: 東京国際映画祭公式プログラム TIFFスペシャルトークセッション
ケリング「ウーマン・イン・モーション」トーク
日時: 2025年11月2日(日)15:15〜16:45
会場: TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン2
登壇者: 高畑充希(俳優)、中島健人(俳優・アーティスト)、デブラ・ゼイン(キャスティング・ディレクター)、福間美由紀(プロデューサー)
オープニングスピーチ: 是枝裕和(映画監督)
ファシリテーター: 立田敦子(映画ジャーナリスト)

© Tokyo International Film Festival
© Kering / Women In Motion