日本を代表する映画監督・小津安二郎の原点である初期サイレント映画群をドラマ化する「連続ドラマW OZU 〜小津安二郎が描いた物語〜」が、WOWOWにて放送される。このほど、第1話のタイトル、スタッフ、キャストが決定した。主演の田中圭と、城定秀夫監督よりコメントが寄せられた。
「小津調」と称される独特かつ唯一無二の 映像世界で没後60年となる今もなお国内外問わず高い評価を受け続ける映画監督・小津安 二郎。生誕から120年を迎えたことを記念し、 若かりし頃に監督した初期サイレント映画群 をオムニバスドラマ形式で現代リメイクする。
その第1話としてドラマリメイクする作品は、90年前に公開され、1933年のキネマ旬報ベスト・テン第1位を獲得した小津安二郎監督の人情喜劇『出来ごころ』。喜八という庶民の生活を描いた“喜八もの”シリーズの第一作で、下町の軽 妙なユーモアと人情を描いた傑作。喜八のキャラクターは、後の「寅さんシリーズ」をはじめとする松竹大船調の原点とも言われる。本作の脚本・監督は、デビューから100本以上の作品を手掛けた実力派監督・城定秀夫。昨年だけでも『愛なのに』、『女子高生に殺されたい』、『ビリーバーズ』、『夜、鳥たちが啼く』など話題作を立て続けに公開し、今最も勢いのある監督だ。
主人公・喜八役を演じるのは、城定監督と『女子高生に殺されたい』以来のタッグを組む、田中圭。妻と別れ息子の富夫と二人で暮らしながらも、酒や博打に夢中になってしまうダメ親父・喜八を演じる。喜八の相棒で同じ工場に勤める次郎役には、渡邊圭祐。富夫の面倒をみる優しさをもっているが、女性が大の苦手。その次郎に想いを寄せる春江役を白石聖が演じる。喜八たちが暮らす町に流れてきた春江は、喜八の通う食堂で働くことになる。喜八の息子・富夫役は、森優理斗。自 由奔放な父親とは対照的に学校の成績も良く利口な小学生。喜八たち工員が通う食堂の店主・おとめ役を渡辺真起子。職を探していた春江を雇うなど気立てがいい女性を演じる。その他、長田成哉 行平あい佳、駒木根隆介、北村優衣、笠兼三、カトウシンスケ、小野了が脇を固める。
▼キャスト コメント
■田中圭(喜八役)
90年前の小津さんの作品をリメイクするというので凄く楽しみでした。原作を見て、無声映画と いうのにも驚きましたし、自分とキャラが違うのでどうしようかと思いました。僕の演じる喜八 は、憎めないダメな奴。みたいなところが普遍的なんだよな。と、やり甲斐はありました!!城 定監督との再タッグは嬉しかったです。新しい小津作品を楽しんでいただけたらと思います!!
■城定秀夫(脚本・監督)
この企画に対し、どうアプローチしたらいいのか悩みましたが、えいやと脚本を書き始めてみる と、驚くほど自然に映画「出来ごころ」が自分の筆に馴染んでくる感触があり、核となる人物た ちの心模様は昔も今も変わらないという当たり前のような、そうでないような気付きに少し驚き ました。映画の表現も昔とだいぶ変わったけれども、変わらないことも多い。小津安二郎監督と 同じ映画史の上で自分が今こうして監督をしている畏れや不思議のなかで作った作品です。とて も楽しい仕事でした。
小津安二郎生誕120年記念「連続ドラマW OZU〜小津安二郎が描いた物語〜」
2023年11月よりWOWOWにて放送・配信
■第一話「出来ごころ」
原作:「出来ごころ」(原作:ジェームス・槇、脚色:池田忠雄、監督:小津安二郎)
脚本・監督:城定秀夫
音楽:遠藤浩二
出演:田中圭 渡邊圭祐 白石聖 森優理斗 渡辺真起子 ⻑田成哉 行平あい 佳 駒木根隆介 北村優衣 笠兼三 カトウシンスケ 小野了
【ストーリー】 工場に勤務する喜八(田中圭)は、相棒の次郎(渡邊圭祐)の助けを借りながら息子の富夫(森優理斗)と暮らしていたある日、偶然に出会った女性・春江(白石聖)に熱を上げて恋仲になろう と奮闘する。一方、春江は次郎に想いを寄せていて…。