原発事故で誰ひとり住めない町に、10年暮らし続けた男のリアルドキュメント『劇場版 ナオト、いまもひとりっきり』2月公開

原発事故による全町避難で無人地帯となった福島県富岡町にたったひとりで住み続ける男と、残された多くの動物たちとの暮らしを温かな眼差しで見つめたドキュメンタリー『劇場版 ナオト、いまもひとりっきり』が2月25日より公開されることが決定した。併せて予告編とメインビジュアルがお披露目となり、谷川俊太郎、菅直人より推薦コメントが寄せられた。

世界を驚愕させた前作『ナオト、ひとりっきり』から8年。コロナの蔓延、東京オリンピックを経て、福島は、ナオトは、動物たちはどうしているのか?

■谷川俊太郎(詩人)コメント
感動しました、巨大な事実を小さな事実を通して長年個人的に追うことで、現実にひそむ真実が見えてきます。人間も他の生き物と同じ限られたいのちを生きていることを感じさせるドキュメントです。

■菅直人(元・内閣総理大臣)コメント
福島原発事故で、本当に日本の半分が、あるいは全部が壊滅してもおかしくない寸前だった。そのような非常に厳しい環境の中で動物の世話しながら暮らすナオトさんの勇気に感服し、動物たちや自然をけがしてしまった人間の罪深さを改めて感じた。

『劇場版 ナオト、いまもひとりっきり 』
2023年2月25日(土)より、シアターイメージフォーラムにて公開
監督:中村真夕
出演:松村直登 松村代祐 半谷信一 半谷トシ子 富岡町の動物たち
撮影:中村真夕 辻智彦
製作・配給:Omphalos Pictures, Siglo
配給・宣伝協力:ALFAZBET

【作品概要】 100年たてば元の町に戻るかもしれねえな。原発事故で全町避難になった町に、動物たちと住み続けた男はいま?生きること、生かし続けること “ひとりでここに残ること”を決めた男の10年。「オラ、何にも悪いことしてねぇ。悪いことしたのは国だべ」原発事故による全町避難で無人地帯となった福島県富岡町に、いまも一人で暮らすナオトは、高度経済成長の裏側でカネに翻弄され続ける人生を送ってきた。原発事故後、人 の人生を金で解決しようとする不条理、命を簡単に“処分”しようとする理不尽に納得できず、残った動物たちを世話しはじめた。生きること、生かし続けること。その日々の闘いが、ナオトの生きる道となっていた。世界を驚愕させた『ナオトひとりっきり』(2015)。カメラはその後もナオトを追い続けていた。コロナの蔓延、東京オリンピックを経て、まだ終わらない福島は忘れ去られてしまうのか?あれから8年。新たな命が生まれ消えていく中で、ナオトは変わらず動物たちに餌をやる日々を過ごしている。「将来の糧のため」ニワトリを飼い、蜜蜂を育て始めた。富岡は帰還できる町となったが、若い人たちは戻らない。コロナ禍で開催されたオリンピックでは「復興五輪」のPRとして、誰もいない福島の風景の中を聖火リレーが走り過ぎた。原発問題に終わりはない。汚染水はあふれかえり、ダダ漏れのように海上放出される。全国で原発再稼働の動きは、粛々と進められる。そんな私たちの矛盾の渦中で忘れ去られる福島で、ナオトは今、動物たちとどんな思いで暮らして いるのか。ナオトの生きかたを見つめながら、私たちの今を考える。

※福島県・富岡町 かつては出稼ぎに行かないと生活できない貧しい農村であったが、60年代末、福島第一・第二原発の建設により豊かな生活ができるようになる。2011年3月、原発事故により警戒区域となり、町民全員が家を追われ、家畜は全て殺処分が命じられた。現在は町の一部が帰還宣言をしたが、多くの住民は戻ってきていない。