くすぶり続ける映画監督が沖縄から北海道までミニシアター行脚!リム・カーワイ監督『あなたの微笑み』予告編

『COME & GOカム・アンド・ゴー』で注目される、リム・カーワイ監督の映画愛が詰め込まれた、おかしくも切なく愛おしいパラレルワールド『あなたの微笑み』が、11月12日よりシアター・イメージフォーラム、12月3日より全国順次公開される。このほど、予告編がお披露目となり、併せて著名人と本作のロケ地となった全国のミニシアターの館主たちから絶賛コメントが寄せられた。

実力はあるはずなのに、なんだかうまくいかない…。本作は、ちょっとザンネンな映画監督“世界の渡辺”が、インディーズ映画界の底辺で自分と向きあっていく、ちょっと遅れてきた青春ロードムービー。東京国際映画祭での栄光にしがみつきながら、地元・栃木でくすぶり続ける映画監督・渡辺紘文。久々の映画の仕事も、映画を全く理解しないスポンサーの“社長”に振り回され、うまくいかない。数々の映画祭で栄光に輝いた自分の作品を引っ提げて、沖縄から北海道まで、ミニシアター行脚にでるも、誰も“世界の渡辺”を知らない…。コロナ禍でも映画を上映し続け、映画館を守ろうとする館長たちや、父が経営する劇場を手伝いつつダンサーを目指すユキとの出会いを通して、“世界の渡辺”は成長することができるのか?

大阪を拠点に、香港、中国、バルカン半島などで映画を製作し、どこにも属さず彷徨う“シネマドリフター(映画流れ者)”を自称する映画監督リム・カーワイ。常に未知の場所をひとりで訪ね、その場所の人々と出会い、その土地の、その瞬間を切り取っていく前代未聞の制作スタイルは、リム監督作品の大きな魅力となっている。本作では、コロナ禍のミニシアターを舞台に、自身初となる日本国内だけを舞台としたロードムービーに挑んだ。

主演は映画監督、俳優としても精力的な活動を展開する、渡辺紘文。不器用で憎めない“世界の渡辺”役を本人が好演し、現実と映画を交差させてゆく。“社長”役には『義足のボクサー GENSAN PUNCH』で注目される尚玄、“世界の渡辺”の前にふと現れる謎の“砂の女”役、豊岡劇場館長の娘・ユキ役に映画初出演となる新鋭・平山ひかる、そして“世界の渡辺”を見出した元東京国際映画祭プログラミングディレクターの矢田部吉彦や、ミニシアターの名物館長たちも本人役で出演。ほかにも所々に見逃せない意外なキャストが登場するのも見逃せない。

▼著名人 絶賛コメント

■別所哲也(俳優、国際短編映画祭代表)
インディーズど真ん中!シネマフリークの、シネマ愛溢れるミニシアターを巡る愚直なロードムービーだ!監督のファム・ファタール、運命のヒト、砂の女を演じる平山ひかるが、ミステリアスでフラジャイルにキラキラとスクリーン上で、微笑み、輝きを放つ!目が離せない。こんな出会いがあるから、インディーズはたまらない!!

■濱口竜介(映画監督)
リム・カーワイの映画を見れば、人は「こんなふうに映画を作れたら」と思わずにいられない。日本の南北を大胆に縦断しつつ、その土地その場所でここ!というポイントにカメラを置き続ける天性の空間感覚は「シネマドリフター」の面目躍如。『あなたの微笑み』は格別に芸術的とか、オシャレとか、社会派の映画ではない。だが何だかスッと見ていられるし、ずっと見ていたくなる。動き続けているからだろう。この感覚はリュミエール兄弟の映画を見ているときに一番似ていると思った。ちなみに映画に知人が出てくればホッコリするが、自分の名前が出てくるとギョッとする、ということを知った(渡辺紘文監督とは面識ありません笑)。

■吉田靖直(トリプルファイヤー)
過去の栄光を心の頼りにくすぶり続ける主人公の姿を他人事とは思えず胸が苦しくなりました。僕も旅に出たいです。

■清野とおる(漫画家「東京都北区赤羽」作者)
今まで観たどのホラー映画より、群を抜いて怖かったです。え…これ、ホラー映画じゃないんですか!?

■城定秀夫(映画監督)
こんな風に映画が撮れたらどんなに幸せだろうと思いながら観ていました。リム・カーワイ、渡辺紘文、両監督への嫉妬が止まりません。

■國實瑞惠(鈍牛倶楽部代表、映画プロデューサー)
リム・カーワイの映画愛が爆発!今、行動しなければ後が無い!

■矢田部吉彦(前東京国際映画祭ディレクター)
リム・カーワイ監督は、現場で起きるハプニングを即座に映画に取り入れながら撮影を進める。そこに身をゆだねた孤高のアーティスト、渡辺紘文監督の生き様は、真実ともフェイクとも見分けがつかない。これはドキュメンタリーでなく、フィクションでもない。あまりに個性的なふたりの映画作家の邂逅により、新しい何かが生まれているのだ。

▼ミニシアター館主 絶賛コメント

■別府ブルーバード劇場(大分県) 岡村照
別府ブルーバード劇場と共に生きて91歳になった私は、最近たくさんの映画人と出会うことができてとっても嬉しい!マレーシアからやってきたリム・カーワイ監督が撮った別府がどんな風にスクリーンで映るのか楽しみにしております。

■大黒座(北海道) 三上雅弘
・・少しくも映画館を知り
少しくも「あなたの微笑み」を知るものか…

■小倉昭和館(福岡県) 樋口智巳
2022年8月10日夜、北九州旦過地区の大火災で小倉昭和館は焼失してしまいました。創業83周年を直前に控えイベント上映も多数準備していましたが..無念です。『あなたの微笑み』の映像の中で、昭和館は生きています。リム監督との御縁に感謝です。火の中で焼け落ちる昭和館ではなく、元気で輝いていた昭和館をどうぞ記憶に留めておいて下さい。また皆さまを昭和館にお迎え出来る日まで。

■ジグシアター(鳥取県) 柴田修兵
ある日、突然リムさんはやってきた。1度目はふらりと。2度目は足を折って。3度目は映画監督の渡辺紘文と撮影クルーを引き連れて。まさに風のように現れ、風の様に去っていった。映画を撮っていたらしいが本当に映画になったのだろうか?

■元豊岡劇場・代表(兵庫県) 石橋秀彦
リム監督とは、この数年の付き合いとなる。毎回監督に会うたびに、自分の気持ちがポジティブになる傾向がある。監督の人間としての温かみだろうか、それとも彼の才能に惹かれているのだろうか。「あなたの微笑み」は、売れない映画監督が、コロナ禍の中、地方の映画館を廻る作品だ。私が運営していた豊岡劇場は、正に売れない映画館だった。正直辛い過去を再体験しているようだが、この映画を観ながら、なぜか微笑んでしまう。良き芸術作品は、作者の身体能力や癖が出ていることが多いい。この作品の優れているのは、監督の人柄がそのまま映像に出ていることだと思う。監督に我が時代を映してもらったことを誇らしく思う。

『あなたの微笑み』
2022年11月12日(土)よりイメージフォーラム、12月3日(土)よりシネ・ヌーヴォ他全国順次公開
監督・プロデューサー・脚本・編集:リム・カーワイ
出演:渡辺紘文 平山ひかる 尚玄 田中泰延
配給:Cinema Drifters

【ストーリー】 何もない栃木の田舎町で、くすぶり続ける映画監督の渡辺紘文。地元・栃木を拠点に映画製作団体「大田原愚豚舎」を旗揚げし、東京国際映画祭で数々の受賞歴を持つ渡辺は、自他ともに認める“世界の渡辺”である。しかし“世界の渡辺”もいまは脚本も書けず、大手映画会社から依頼がくることもなく、地元の仲間たちと悪態をつきながら日々を過ごしている。ある日、旧知のプロデューサーから、世界的映画監督“KOREEDA”の代打で沖縄での映画制作の話が舞い込む。久々の映画制作に浮足立つ渡辺が沖縄に向かうと、「いますぐ俺を主人公にして映画を作れ」と“社長”(尚玄)に高級ホテルに缶詰めにされる。「世界的映画監督ならできるだろう」と無茶苦茶な要求をされ、1週間で書き上げるはずの脚本は1ページも書き進まないまま時が過ぎていく。結局、“社長”にも見限られ、ホテルを追い出された渡辺はひとり映画館へ足を運ぶ。「すみません。映画監督の渡辺紘文という者なんですが、自分の映画を上映してもらえる劇場を探しています」。沖縄・首里劇場、大分・ブルーバード、福岡・小倉昭和館、鳥取・ジグシアター…。コロナ禍にひとりミニシアターを訪ね歩く渡辺は、その道中でいつも正体の異なる不思議な少女に出会い、導かれていく。ようやく兵庫・豊岡劇場で上映が決まるも、誰も“世界の渡辺”を知らず、チケットはまったく売れない。雪が舞い落ちる北海道・サツゲキを経て、遂に日本最北端の映画館・大黒座に行きついた渡辺。再び自分の映画を上映することができるのか、“世界の渡辺”として返り咲くことができるのか!?そして“世界の渡辺”は、映画を愛する人たちと出会い、何を見つけるのか。

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