伝説的なクライマー・山野井泰史に密着した渾身のドキュメンタリー『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』11月公開

今年3月、ヒューマントラストシネマ渋谷にて開催された「TBSドキュメンタリー映画祭2022」でクローズド作品として上映され注目を浴びたドキュメンタリー『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界』が、9分の新規カットを追加した『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』となって、11月25日より公開されることが決定した。併せて、山野井本人と武石浩明監督がらのコメントが寄せられた。

2021年、登山界のアカデミー賞、登山界最高の栄誉といわれる、「ピオレドール生涯功労賞」をアジア人として初受賞、ラインホルト・メスナーやダグ・スコット、ヴォイテク・クルティカなどと並んでクライミングの歴史にその名を刻むこととなった登山家・山野井泰史。山岳雑誌「山と溪谷」読者の「好きな登山家第1位」(2016年1月号)に選ばれ、先月には単行本「CHRONICLE クロニクル 山野井泰史 全記録」が出版。コミック誌「ビッグコミック」では伝記漫画「アルパインクライマー-単独登攀者・山野井泰史の軌跡-」も連載中の日本を代表する登山家である。本作は、世界の巨壁に“単独・無酸素・未踏ルート”で挑み続けた、極限のクライマー・山野井泰史の足跡を、貴重な未公開ソロ登攀映像や生涯のパートナーである妻・妙子への取材、関係者の証言などとともに振り返る“渾身”のドキュメンタリー。

起点は1996年、ヒマラヤ最後の課題といわれる「マカルー西壁」にアルパインスタイル・ソロで挑むという究極の挑戦への密着取材。その後、山野井をめぐっては、2002年に沢木耕太郎の著作「凍」でも描かれた「ギャチュンカン」登頂後の壮絶なサバイバルがあり、凍傷で手足の指10本を失うことになった。2008年には奥多摩山中で熊に襲われ重傷を負うアクシデントにも遭った。それでもなお“垂直の世界”に魅せられ、挑戦し続ける登山家の魂にカメラは迫る。マカルー西壁への究極の挑戦から25年、山野井はなぜ登るのか?生と死の狭間で、極限の挑戦の先で、彼が見たものとは?監督・武石浩明は、TBSテレビ報道局に所属し自らもヒマラヤ登山経験のあるジャーナリストで、山野井に魅せられたクライマーの一人。長期に渡る取材を通して“極限の人”の実像に迫る、唯一無二の作品を作り上げた。

本作は、映画祭で上映された映像に更に貴重な現在の山野井の姿などを加え、再編集し、完全版として世に送り出す1本。壮大かつ雄大な自然と向き合う山野井の姿に、胸の高鳴りと言葉にできない感動に包まれる作品となっている。

■山野井泰史 コメント
武石さんは、僕の山の記録についてかなり高いレベルで詳しい人です。そして、「僕の求めているもの」についてもよく理解してくれています。去年、マカルー西壁から25年が経って、武石さんから取材したいと連絡がありましたが、いつの間にか映画となってしまいました。私も映画を見ましたが、かなり見やすくなっていると思います。10代の頃、ヨセミテで全員がクライミングに没頭していたあの時代に一緒に登っていた仲間たちが「まだ山野井、あんな馬鹿なことやってんだ!」と呆れながら観てくれたら嬉しいです。

■武石浩明(監督)コメント
いまや登山界のレジェンドとなった山野井泰史さんですが、40年以上の登山人生の中で、実力が最高のときに挑んだのがマカルー西壁への「究極の挑戦」でした。それは山野井さんが最初で最後にソロクライマーとしての山登りを他人に見せた瞬間でもありました。あれから25年、山野井さんの軌跡と現在を織り交ぜることで、あの「究極の挑戦」がくっきりと浮かび上がりました。人生をかけた目標を持ち、命をかけて限界に挑み続ける山野井さんを見て、何かを感じていただければこれ以上の喜びはありません。

『人生クライマー 山野井泰史と垂直の世界 完全版』
2022年11月25日(金)より、角川シネマ有楽町ほか全国順次公開
監督:武石浩明  
撮影:沓澤安明 小嶌基史 土肥治朗
配給:KADOKAWA

【作品概要】「誰も成し遂げていないクライミングを成功させて、生きて還る」世界の巨壁に単独で挑み続けてきたクライマー・山野井泰史。彼は2021年、登山界最高の栄誉、ピオレドール生涯功労賞を受賞した。しかし、山野井の挑戦は終わらない。伊豆半島にある未踏の岩壁に新たなルートを引こうとしていた。そして再びヒマラヤにも…。“垂直の世界”に魅せられた男の激しい生き様とは?貴重な未公開ソロ登攀映像とともに振り返り、山野井の生涯のパートナーである妻・妙子への取材も通して問いかける。

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