2020年のサンダンス映画祭でワールドプレミアされ、各国の映画祭のあらゆる部門で39のノミネートと15の受賞を果たしたブランドン・クローネンバーグ監督作『ポゼッサー』が、3月4日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となった。
本作は、第3者の脳に入り込み所有者“ポゼッサー”として殺人を行う完全無欠の遠隔殺人システムと、人格を乗っ取られた男との生死を懸けた攻防を、冷徹で研ぎ澄まされた映像美で描く。
予告編は、「この映画の本質に気づかなかった人は幸福な人だ」「全世界が言葉を失った戦慄のSFノワール」というテロップから始まる。冒頭、暗殺者のタシャ(アンドレア・ライズボロー)が、ある黒人女性を乗っ取り男性の喉元をめった刺しにするという衝撃的なシーンの一部が映し出される。鮮血の描写は、イタリアン・ホラーの巨匠ダリオ・アルジェント監督作『オペラ座/血の喝采』の技術面を参考にしたという。タシャには、幼い息子と別れたパートナーの男性がおり、暗殺者である自分の正体を二人に隠している。そんなタシャに、上司ガーダー(ジェニファー・ジェイソン・リー)は、「次は大型契約よ」と告げる。次なる標的は巨大企業のCEOであり、その令嬢の婿コリン・テイトに入り込み、暗殺を行うという筋書きのようだ。続くシーンでは、他人の潜在意識と肉体を“POSSESS/所有”する過程を可視化したスタイリッシュかつ刺激的な描写が挟み込まれる。その後、テイトに乗り移って暗殺を遂行しようとするタシャだったが、他人の脳から脱出するためには、その脳を破壊しなければならない。口の中に銃を突っ込み、引き金を引こうとするタシャだったが、どうしても撃つことができない。テイトの脳から抜け出せなくなったタシャは、その異常事態に慄き「私に何をした 私じゃない」と呟く。同じ肉体の中で激しくぶつかり合うタシャとテイトの攻防が、眩い光の点滅、流動する人体の輪郭と、フィジカルな特殊効果により達成された独自の美しさによって描かれていく。誰が真の“POSSESSOR/所有者”なのか?自分は自分の“POSSESSOR/所有者”でいられるか?最後に映る、まるで人間の抜け殻になったかのような、マスクを被ったタシャの異様な姿が強烈なインパクトを残す。
『ポゼッサー』
2022年3月4日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷、アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・脚本:ブランドン・クローネンバーグ
音楽:ジム・ウィリアムズ
出演:アンドレア・ライズボロー クリストファー・アボット ジェニファー・ジェイソン・リー ショーン・ビーン ガブリエル・グラハム ロッシフ・サザーランド
配給:コピアポア・フィルム
【ストーリー】 タシャ(アンドレア・ライズボロー)は、殺人を請け負う企業に勤務するベテラン暗殺者。上司のミッションのもと、特殊なデバイスを使ってターゲットに近しい人間の意識に入り込む。そして徐々に人格を乗っ取っていきターゲットを仕留めたあとは、ホストを自殺に追い込んで“離脱”する。すべてが速やかに完遂されていたが、あるミッションを機にタシャのなかの何かが狂い始める…。
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