立川談志や永六輔、井上ひさしらに愛された芸人・松元ヒロの生き方と笑いの哲学から現代社会を映し出したドキュメンタリー『テレビで会えない芸人』が、2022年1月14日より鹿児島ミッテ10、ガーデンズシネマにて先行公開、2022年1月29日より全国劇場公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となり、併せて、映画『i-新聞記者ドキュメント-』などで知られる映画監督・作家の森達也と、「東京新聞」記者の望月衣塑子よりコメントが寄せられた。
本作は、2020年5月に鹿児島でローカル放送後、全国で放送され、日本民間放送連盟賞最優秀賞やFNSドキュメンタリー大賞グランプリなど数々の放送賞を受賞した映像に、追加撮影と再編集をほどこし製作されたドキュメンタリー映画。
芸人、松元ヒロ。かつて社会風刺コント集団「ザ・ニュースペーパー」で数々の番組に出演し人気を博した。しかし90年代末、彼はテレビを棄て、主戦場を舞台に移す。政治や社会問題をネタに笑いで一言モノ申す。ライブ会場は連日満席、チケットは入手困難。松元が20年以上語り続ける「憲法くん」は、日本国憲法を人間に見立てた演目。井上ひさしが大絶賛し、永六輔は「ヒロくん、9条を頼む」と言い遺した。その芸は、あの立川談志をしてこう言わしめた。「最近のテレビはサラリーマン芸人ばかり。本当に言いたいことを言わない。松元ヒロは本当の芸人」。けれど、いや、だからこそ、いまテレビで彼の姿を見ることはない…。そんな今日のメディア状況に強い危機感を募らせていたのは、松元の故郷鹿児島のローカルテレビ局。2019年の春から松元ヒロの芸とその舞台裏にカメラが張りついた。なぜ松元ヒロはテレビから去ったのか?なぜテレビは松元ヒロを手放したのか?そして本作はその答えを見つけられたのか?“テレビで会えない芸人”の生き方と笑いの哲学から、いまの世の中を覗き、その先にモノ言えぬ社会の素顔が浮かび上がる。
予告編は、芸人・松元ヒロの笑いの真髄を垣間見ることができる公演シーンから始まる。立川談志が松元に贈った「テレビに出ている芸人を、俺はサラリーマン芸人って呼んでいるんだ。テレビからクビにならないようなことしか言ってない。他の人が言えないことを代わりに言ってやるのが芸人だ。お前を芸人と呼ぶ」という言葉や、テレビ制作者の葛藤やメディアの“忖度”を匂わせる場面が映し出される。鹿児島県出身でNHK大河ドラマや朝の連続テレビ小説など多くのドラマ、映画音楽を手掛ける吉俣良による音楽が、松元ヒロの人生ドラマを大いに盛り上げる。
■森達也(映画監督/作家) コメント
テレビでは会えない芸人をテレビが被写体にする。しかし放送には限界がある。ならば次は映画だ。テレビでは放送できない何をテレビマンたちは提示したのか。松元ヒロの過去と現在に、今のテレビの矛盾と自責と覚悟が身震いしながら瞬いている。
■望月衣塑子(「東京新聞」記者) コメント
芸人もメディアも、権力の飼い犬でなく、弱者の番犬となれ。ヒロさんの生き様と覚悟を、メディアに携わる私たちこそが学ばねばならない。
『テレビで会えない芸人』
2022年1月14日(金)より、鹿児島ミッテ10、ガーデンズシネマにて先行公開
2022年1月29日(土)より、ポレポレ東中野ほか全国劇場公開
監督:四元良隆 牧祐樹
プロデューサー:阿武野勝彦
出演:松元ヒロ
配給:東風
【作品概要】 立川談志や永六輔、井上ひさしらに愛された芸人・松元ヒロの生き方と笑いの哲学から現代社会を映し出すドキュメンタリー。
©2021 鹿児島テレビ放送