イタリアの作家ディーノ・ブッツァーティが1945年に発表した児童文学を映画化した、フランス・イタリア合作アニメーション『LA FAMEUSE INVASION DES OURS EN SICILE(原題)』が、邦題『シチリアを征服したクマ王国の物語』として2022年1月14日より公開されることが決定した。併せて、ポスタービジュアルがお披露目となった。
高くそびえる山で静かに暮らしていたクマたち。ある日クマの王レオンスの息子・トニオがハンターに誘拐される。厳しい冬の飢えと寒さにたまりかねていた彼らは山を降りることにした。残忍な大公や化け猫、人食い⻤、幽霊、魔法使い…行く手を阻む難敵を乗り越え、人間の住む平地を目指すが…本作は、面白く、やがて悲しいクマ王国の物語。多様な文化の中で他者を受け入れることの大切さをテーマにした映画であり、アニメーションならではの魅力を存分に発揮し、原作の持つユーモアに溢れたファンタジックな世界観を完全再現することに成功した。
監督はロレンツォ・マトッティ。イタリア出身・フランス在住で、「ザ・ニューヨーカー」「COSMOPOLITAN」「ル・モンド」などの雑誌のイラストを手掛けるトップイラストレーターであり、映画との関わりとしてはカンヌ国際映画祭やベネチア国際映画祭のポスターイラストなどでも知られる。彼の持ち味である流麗な曲線で描かれる風景や色彩の美しさ、素晴らしい構図がアニメーションでも遺憾無く発揮される。
制作プロダクションは、故・高畑勲がアーティスティック・プロデューサーを務めたことで知られる『レッドタートル ある島の物語』を手掛けたプリマ・リネア・プロダクションズ。原作はイタリアの作家ディーノ・ブッツァーティが1945年に発表した児童文学「La fameuse invasion des ours en Sicile」で、日本では福音館書店より刊行中の「シチリアを征服したクマ王国の物語」として知られ、イタリアで⻑く読み継がれてきた名作だ。
本作は、2019年カンヌ国際映画祭ある視点部門、同年アヌシー国際アニメーション映画祭にて公式上映された。カンヌ出品時、主要媒体がすべて批評を掲載し、中でもフランスのル・フィガロ紙は「詩を込めた華やかな色のグラフィックジュエル」と称えた。米批評家サイトRottenTomatoでは9月17日現在、驚異の批評家評価100Tomatoと高い満足度を記録。また、厳選された国内外の素晴らしいアートアニメーション作品が揃うことで知られる、11月5日から8日にわたり開催される「新千歳空港国際アニメーション映画祭」のコンペティション⻑編部門のノミネート作品に選出されることも決定した。
ポスタービジュアルには、美しく高くそびえる山々に囲まれた崖の上から、ただひとり何かを叫ぶクマの姿が収められ、ビビッドな色彩、淡い色のグラデーションが夢幻の世界へと誘う。そして「クマはハダカのほうがいい」という謎めいたキャッチコピーが添えられる。果たしてクマたちに何が起こるのか?どんな夢を見せてくれるのか?子供のみならず大人にも楽しめるイマジネーションを刺激するデザインに仕上がった。
『シチリアを征服したクマ王国の物語』
2022年1月14日(金)より、新宿武蔵野館・アップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
監督・脚本・グラフィックデザイン:ロレンツォ・マトッティ
原作:ディーノ・ブッツァーティ「シチリアを征服したクマ王国の物語」
脚本:トマ・ビデガン ジャン=リュック・フロマンタル
配給:ミラクルヴォイス
【ストーリー】 とおいむかしのこと、いただきが氷でとざされた高い山に住むクマたちの王レオンスの息子トニオがハンター達によって捕らえられてしまう。王は我が子を救出するべく、厳しい冬の飢えと寒さからクマ達を引き連れ、人間が住む平地を目指し山を降りていく。行く手に待ち受けるのは残忍な大公や、化け猫、人食い⻤。ゆうれいもいれば魔法使いもいる。突き進むレオンス王は戦いの末、その国の王として、クマと人間が共存する太平の世を迎えた。クマと人間の共存はやがて…。
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