椰月美智子による同名小説を、瀬々敬久監督が菅野美穂、高畑充希、尾野真千子共演で映画化するヒューマンドラマ『明日の食卓』が5月28日に公開。このほど、5月5日によみうりホールにて完成報告会が実施され、キャストの菅野美穂、高畑充希、尾野真千子、柴崎楓雅、外川燎、阿久津慶人、瀬々敬久監督が登壇した。

本作は、同じ石橋ユウという名をもつ息子の3人の母親たちの物語。子育ては大変なこともあるけれど、息子を心から愛している幸せな家庭のはずだった。だが、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。

10年ぶりの主演作となった菅野は「もうそんなになったんだな（笑）」と苦笑い。2人の息子を抱えてフリーライターの仕事に復帰する母親役を演じた菅野は「（自身にも）子供が生まれて、今回母親役をいただいて、これは世の中のお母さんみんなが自分を重ねてしまう役だと思った」という。コロナ渦で自宅待機が増えたことで「自分も子供と向き合う時間ができたので、運命的なタイミングでの映画」としみじみと語った。

「子供を怒らないといけないとき、背筋がゾクゾクするような怒りを、自分と切り離して考えられなくて…」と、普段の生活と撮影が混同してしまったという菅野。息子役の外川との共演時に「子供に怒りをぶつけるシーンで、（外川に）ゲンコツが本当に入っちゃって。たぶん痛かったと思うんですよ…。悪かったよ…」と反省している様子だったが、外川は「（撮影が終わると）優しかったので（笑）」ときっちり菅野をフォローして、会場を和ませていた。

本作の撮影を経て、気持ちの変化を聞かれた菅野は、「以前は親子連れを見るとほのぼのした気持ちで微笑ましいと思っていた」という。しかし、「いや違う。それは一日の中のほんのわずかな時間。こんなに命を育むことは大変なのに、それができて当たり前のように思われている。こんなに大変なことをしているのに、誰にも褒められないのは酷いし辛い！」と子を持つ母親ならではの本音を明かしていた。

『明日の食卓』
5月28日（金）より、角川シネマ有楽町ほか全国公開
監督：瀬々敬久
原作：椰月美智子「明日の食卓」
脚本：小川智子
出演：菅野美穂　高畑充希　尾野真千子　柴崎楓雅　外川燎　阿久津慶人　和田聰宏　大東駿介　山口紗弥加　山田真歩　水崎綾女　藤原季節　真行寺君枝　渡辺真起子　菅田俊　烏丸せつこ
配給：KADOKAWA　WOWOW

【ストーリー】　同じ「石橋ユウ」という名前の小学5年生の息子を育てる3人の母親たち。神奈川在住・フリーライターの石橋留美子（菅野美穂）43歳、夫・豊はフリーカメラマン、息子・悠宇10歳。大阪在住・シングルマザーの石橋加奈（高畑充希）30歳、離婚してアルバイトを掛け持ちする毎日、息子・勇10歳。静岡在住・専業主婦の石橋あすみ（尾野真千子）36歳、夫・太一は東京に通い勤務するサラリーマン、息子・優10歳。それぞれが息子の“ユウ”を育てながら忙しく幸せな日々を送っていた。しかし、些細なことがきっかけで徐々にその生活が崩れていく。無意識に子どもに向いてしまう苛立ちと怒り。住む場所も家庭環境も違う“3つの石橋家”の行き着く運命は…？

©︎2021「明日の食卓」製作委員会