雪中梨世「不思議と涙が止まらなくなった」、永倉大輔「奥歯を噛み締める思いで挑んだ」『漂流ポスト』特報映像&場面写真

震災で大切な人を亡くした人の“心の復興”を描き、各国の映画祭で高評判を受けた清水健斗監督作『漂流ポスト』が、3月5日より公開される。このほど、本作の特報映像と場面写真がお披露目となり、併せて、キャストの雪中梨世と永倉大輔よりコメントが寄せられた。

“漂流ポスト”とは、「手紙を書くことで心に閉じ込められた悲しみが少しでも和らぎ、新たな一歩を踏み出す助けになるなら」という想いから、被災地である岩手県陸前高田市の山奥に建てられた郵便ポスト。当初は東日本大震災で亡くなった人への想いを受け止める為のポストだったが、今では病気や事故など、震災に限らず亡くなってしまった最愛の人に向けた想いを手紙に綴り、届ける場所になっている。震災から9年以上経った現在も多くの手紙が届き、その数は500通を超える。手紙は同じ境遇の人々にシェアされ、心の復興を助ける。

■雪中梨世(園美役) コメント
3年前に海を渡ったこの作品が震災から10年という節目の年に帰ってきてくれた事、そして皆さんに見ていただける機会が再び出来たこと、嬉しく思います。撮影当時、私自身も大切な家族を亡くしたばかりで演じさせて頂いた園子と重なる部分があり、このやり場のない想いはどう表現すればいいのかと、不安な中で撮影に入りました。撮影は、実際に漂流ポストのある「ガーデンカフェ森の小舎」で行ったのですが、そこで流れる穏やかな時間と、赤川さんの包み込むような優しい笑顔に不思議と涙が止まらなくなったのを覚えています。「向き合う事は、大切な人へ想いを馳せる事」一人でも多くの方々にこのバトンが繋がっていく事を願っています。

■永倉大輔(赤川役) コメント
私が漂流ポストの存在を知ったのは、撮影に入る数日前のある記事でした。ポストを設置した赤川さんの想いは「最愛の人を亡くした方の心を少しでも癒し、一歩前に踏み出して貰いたい」と願うものでした。私が赤川役を演じるうえで先ず大切にしたいと考えた事は、赤川さんと同じ想いで役を演じる事でした。そして、苦しさを背負って訪れる人達を赤川という役はどう受け止め接するのかと考えました。実際、赤川さんとお会いしたらとても穏やかで、自然体な方だったので、ありのままで役を作ろうと決めました。クランクインの当日、撮影前に赤川さんが「読んでみませんか」と手紙が保管されている小屋に案内してくれました。私は数通の手紙を手に取り読ませていただき、奥歯を噛み締める思いで後の撮影に挑んだ事を覚えています。漂流ポストという映画は企画した監督、スタッフ、俳優達が赤川さんと同じ想いでいたいと、心に誓って作られた作品だと思っております。

『漂流ポスト』
3月5日(金)より、アップリンク渋谷ほか全国順次公開
監督・脚本・編集・プロデュース:清水健斗
出演:雪中梨世 神岡実希 中尾百合音 藤公太 永倉大輔
配給:アルミード

【ストーリー】 東日本大震災で親友の恭子(神岡実希)を亡くした園美(雪中梨世)は、心のどこかで死を受け入れられず日々を過ごしていた。ある日、学生時代に恭子と埋めたタイムカプセルが見つかる。中には“将来のお互い”に宛てた手紙が入っていた…。蘇る美しい思い出と罪悪感。過去と向き合う中、震災で亡くなった大切な人へ届けたい言葉、伝えることができなかった想いを綴った手紙が届く“漂流ポスト”の存在を知った園美は、心の復興を遂げることができるのか…。

©Kento Shimizu