映画『ヌヌ子の聖★戦』やドラマ「レンタルなんもしない人」の進藤丈広監督が、三濃川陽介主演で贈る『クローゼット』が、10月30日より公開される。このほど、予告編がお披露目となり、併せて各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。
本作は、交通事故で男性機能が不能になった男を主人公として、心のSOSを周りに出せない孤独と、寄り添うことをテーマにした人間ドラマ。若い女性が歌舞伎町のビルで飛び降り自殺した実話をもとに、日本駆け込み寺や毎日新聞記者などに綿密な取材を重ね、我々にとって本当に必要なものは何か?を問いかける。
予告編には、男性機能不全となった主人公・佑(三濃川陽介)が、添い寝屋稼業で、仕事漬けの看護師、30歳の処女、恋人を亡くしたゲイ、一人暮らしの老婆など、それぞれ何らかの事情を抱えて心のSOSを出せない大人達と巡り合う姿が映し出される。そして、ホストクラブにはまった女子大生・七海が、ビルの屋上で「ねぇ、一緒に死んでくれる?」と佑に語りかけるシーンで幕を閉じる。
▼著名人 絶賛コメント
■佐々部清(映画監督)
苦手な映画だ。なのにラストまで集中して観ることが出来た。なぜだろう?俳優たち一人一人が、作品の中の自分の役割をしっかり理解して応えているから。そして、その一つ一つのピースを上手く組み立てた演出にも拍手。今の日本の人たちって、こんなに寂しいのかなぁ…切ない。
■佐藤東弥(日本テレビディレクター・映画監督)
スクリーンの中で静かで優しい時間が流れて行く、孤独を癒すゼロレンジ。紛い物だったものは真実に変わって行く。観終わって、リアルな世界にもまだ希望があるのではと思わせてくれた。社会的距離を取らなければならない今だからこそ心に響く映画でした。
■深川栄洋(映画監督)
どうしてこんなに苦しいのに、ここから離れられないのだろう。眠っている内に誰かに追い越されてしまいそうで、焦ってしまって眠れない。東京の早い流れに棹さすことも堰き止める事もできない内に、どんどん追い込まれて傷ついていく。こんな街から出て行けば良いのに…。僕がまだ敏感だった頃に感じていた背中を伝う汗を思い出した。誰かに甘えさせてもらいたいだけなのに、誰かに触れてもらいたいだけなのに。クローゼットの奥にしまい込んだ敏感なものを、目を瞑っている間だけでも誰かに知ってもらいたかった。そんな繊細なことを考えていたらスクリーンは暗くなっていた。
■江上敬子(ニッチェ/お笑いコンビ)
大人になると寝るのが下手くそになりますよね。私もその一人です。添い寝屋さんのお客さんが何人か出てきますが、きっと自分と重なる人が一人はいるはず。私は自分とあの子が重なった!(観たら分かると思います)みんな心のクローゼットに何かを仕舞い込んで、不安で眠れないのかも。観た後は、何故か許されたような気持ちになって、心地良くて眠たくなりました。今の時代に必要なのはこんな映画だ!!
■Kelly A. Harrison(シネクエスト映画祭審査員)
東京では孤独な客が“添い寝”に金を払う。それは、マッサージ、寄り添い、眠り…誰かに抱かれる快楽にすぎない。しがらみを断ち上京した佑は、添い寝屋で仕事を始める。緊張して寡黙だった佑だが、しだいに女性客と同じように男性客ともやっていけるようになる。彼にしかない立ち位置は、客たちがクローゼットに封じる真の姿に立ち入らないことだった。繊細な演技と瞑想的なセリフが、救いや優しさを求める人々の本来の姿をあぶりだし、その心を深く探っていく。
『クローゼット』
10月30日(金)より、テアトル新宿ほか全国順次公開
監督:進藤丈広
出演:三濃川陽介 栗林藍希 新井郁 尾関伸次 青柳尊哉 篠田諒 永嶋柊吾 草村礼子 渡辺いっけい
配給:アークフィルムズ
【ストーリー】 交通事故で“男性機能”が不能になった男。一生SEXも出来ず子供も作れない。そんな男がたどり着いた場所は「添い寝屋」。そこは10代〜70代までの男女のお客が来る“人間交差点”。傍目には幸せに見える生活の中で、本当に親しい周りの人に“心のSOS”を出せない大人たち。彼女、彼らと巡りあい、救いようの無い孤独感と絶望感を抱えた男は静かに自分を取り戻していく。そして孤独と絶望の中で生きる一人の女性に「一緒に死んで欲しい」と乞われる。彼の選択は…。
© 2020「クローゼット」製作委員会