今井翼「家のトイレにはダリの絵がバーっと飾ってあって、“ダリベン”と呼んでいる(笑)」

2019年に開館200周年を迎え、世界最高峰と言われるスペインのプラド美術館の全貌に迫るドキュメンタリー『プラド美術館 驚異のコレクション』が、7月24日より公開される。それに先立ち、7月15日に東京、インスティトゥト・セルバンテスにてトークイベントが行われ、日本語吹替版ナビゲーターを務める今井翼と、インスティトゥト・セルバンテス東京館長のビクトル・ウガルテ・ファレロンスが登壇した。

ビクトル・ウガルテ・ファレロンスによる挨拶の後、「スペイン語の最高の生徒さんです」との呼びかけにより登場した今井翼。2012年スペイン文化特使、そして2013年スペイン親善大使を務めた今井は、久しぶりに再会した旧知の仲である館長と「お久しぶりです。本日は館長や皆さまと一緒の時間を過ごせて嬉しいです」と流暢なスペイン語で挨拶。館長は「お会いする度にスペイン語がうまくなっている。ペラペラですね」と驚きを隠せない様子だった。

今井は、「僕にとっては新たなチャレンジであった『プラド美術館 驚異のコレクション』の吹替を務めさせていただけたことは、身に余る光栄でした。ようやく皆さまにご覧いただける日が来て良かったです」とコロナ禍で公開が延期となった本作が無事公開できることへの喜びを口にした。スペインを最初に訪れたのが約15年前だった今井は、「フラメンコがきっかけで初めは訪れたのですが、スペインの文化にすっかり魅了されました。僕にとって初めて訪れた美術館がプラド美術館なんです。僕の大好きなスペインの文化・伝統をようやく皆さまにお届けできてうれしい」と語った。

さらに、「僕は、感覚的に好きだと思ったものを掘り下げることが多いんです。プラド美術館で展示されている中ではシュルレアリスムの先駆けともいわれているゴヤや、ダリの作品が大好きなんです。実は自分の家のトイレにはダリの絵がバーっと飾って合って“ダリベン”と呼んでいるんです(笑)」と会場を沸かし、初めて挑戦した吹替の仕事に関しては、「作品名、作家の名前が日本語では馴染みのないものも多く難しかった」と語り、「仕事を通して学びになった」と話した。

プラド美術館の館長で、本作にも出演するミゲル・ファロミールからビデオメッセージが会場で流れると、今井は「また美術館で作品を鑑賞できる日が戻ってきて嬉しいです。自分もプラド美術館に展示してある作品からたくさんのエネルギーをもらいました。プラド美術館には想像を超えるものがあります。この映画はそれを最高峰の映像、音楽で、美術館での鑑賞とはまた一味違う臨場感を味わうことが出来ると思います。いつか世界が落ち着いたら、映画で得た知識をもとにもっと作品をじっくり見に、再びプラド美術館を訪れたい。スペインに行きたい」とコメントした。

プラド美術館の再オープンのタイトルである「Reunion」=再会、再結成にかけて、「1年間休養をとらせていただいたのですが、僕にとってはこの声のお仕事というのがリスタートではなく新たなスタートでした。お芝居やダンスはもちろん、声のお仕事はずっとやりたいと思っていたのですが、これだけ壮大な作品に携われるとは思ってもいませんでした」と自身のリスタートについて語り、「『プラド美術館 驚異のコレクション』は美術館の深い歴史と今修復作業などに携わられている方々の生きた証言など、濃いドキュメンタリーに仕上がっています。この映画をきっかけに芸術を楽しんでもらえたらと思います」と作品をアピールし、イベントは幕を閉じた。

『プラド美術館 驚異のコレクション』
7月24日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、Bunkamura ル・シネマ、新宿シネマカリテほか全国ロードショー
監督・脚本:ヴァレリア・パリシ
脚本:サビーナ・フェディーリ
ナビゲーター:ジェレミー・アイアンズ
日本語吹替版ナビゲーター:今井翼
配給:東京テアトル シンカ

【作品概要】 広大な敷地に膨大なコレクションが収められたプラド美術館を案内するのは、アカデミー賞主演男優賞に輝いた俳優のジェレミー・アイアンズ。歴史物からファンタジー、サスペンスと幅広い作品で活躍する名優であり、プライベートでは400年間放棄されていたアイルランドの城を修復して暮らすという、歴史とアートを愛する知識人の一面も持つ。毎年約300万人が訪れるプラド美術館は、スペイン黄金時代に生きた王と王女が、自らの意志と審美眼で収集した唯一無二の美の殿堂。他の美術館とは明らかに趣向の異なる美の世界がここにある。

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