「彼らこそ理念を裏切った」自らが属するマフィア組織の罪を政府に告白した理由とは?『シチリアーノ 裏切りの美学』予告編

2019年カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、2020年イタリアのアカデミー賞と呼ばれるダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で最多6部門を受賞した、巨匠マルコ・ベロッキオ監督の最新作にして最高傑作『シチリアーノ 裏切りの美学』が、8月28日より公開される。このほど、本作の予告編がお披露目となった。

国家を揺るがす大騒動となったイタリアマフィア史上最大のミステリーを、イタリア映画界最後の巨匠マルコ・ベロッキオが映画化した本作。マフィアの全面戦争が激化していた1980年代初頭のイタリア・シチリア。報復が無限につづく抗争が繰り広げられるなか、逃亡先のブラジルで逮捕されイタリアに引き渡されたパレルモ派の大物ブシェッタは、マフィア撲滅に闘志を燃やすファルコーネ判事と出会い、これまで固く口を閉ざしていた組織の罪を次々と告白する。犯罪組織「コーザ・ノストラ」に忠誠を誓った彼は、なぜ“血の掟”を破り、政府に寝返ったのか?

予告編は、ブシェッタがファルコーネ判事の「マフィアに入ったのは?」という質問に、「マフィアは存在しない。名誉ある男たちは“コーザ・ノストラ”と呼ぶ」と答えるシーンから始まる。ブシェッタの告白によって457人が起訴され、360人が有罪となったという歴史的裁判のシーンは大迫力で圧巻だ。巨匠ベロッキオならではの映像の美しさ、スタイリッシュさは言うまでもなく、かつての仲間たちに「裏切り者」と罵られながらも罪を告白したブシェッタが貫いた“美学”、そして“コーザ・ノストラとしての矜持”が垣間見える。

『シチリアーノ 裏切りの美学』
8月28日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、Bunkamura ル・シネマほか全国ロードショー
監督:マルコ・ベロッキオ
出演:ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ ルイジ・ロ・カーショ
音楽:ニコラ・ピオバーニ
配給:アルバトロス・フィルム クロックワークス

【ストーリー】 1980年代初頭、シチリアではマフィアの全面戦争が激化していた。パレルモ派の大物ブシェッタは抗争の仲裁に失敗しブラジルに逃れるが、残された家族や仲間達はコルレオーネ派の報復によって次々と抹殺されていった。ブラジルで逮捕されイタリアに引き渡されたブシェッタは、マフィア撲滅に執念を燃やすファルコーネ判事から捜査への協力を求められる。麻薬と殺人に明け暮れ堕落した犯罪組織コーザ・ノストラに失望していたブシェッタは、固い信頼関係で結ばれたファルコーネに組織の罪を告白する決意をするが、それはコーザ・ノストラの“血の掟”に背く行為だった…。仁義なき抗争の果てに、名誉ある男の美学を貫こうとブシェッタが下した決断とは…。

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