サントリー、資生堂、TOYOTAなど数多くの広告写真を手掛ける写真界の巨匠・上田義彦が、構想から10数年の歳月をかけて完成させた初監督作で、富司純子とシム・ウンギョンがダブル主演を務める『椿の庭』が、7月に公開される。このほど、追加キャストとして、鈴木京香、チャン・チェン、田辺誠一、清水紘治が出演することが発表された。
本作は、椿が咲き誇る一軒の家に住む絹子と、絹子の娘の忘れ形見である渚、そしてそこを訪れる人々の一年間を描いた物語。庭に咲く色とりどりの草花に季節を感じながら日々を慈しみ生きる家族。それぞれに想いを秘め絹子の家を訪れる訪問者たち。登場人物たちの所作、佇まいなど、毎日を丁寧に生きる人々の姿を通して、観る者の心を潤す。
新たなキャストとして、絹子(富司純子)の娘で、渚(シム・ウンギョン)にとっては叔母の陶子役に、「グランメゾン東京」や「行列の女神~らーめん才遊記~」(4月放送)への主演など、話題のドラマに続々と出演する中、映画への出演は『食べる女』以来2年ぶりとなる鈴木京香。招かれざる訪問者・黄(読み:ファン)役に、エドワード・ヤン、ホウ・シャオシェン、ウォン・カーウァイなどの巨匠に愛され国際派俳優として活躍の幅を広げ、さらには2018年カンヌ国際映画祭ではコンペティション部門の審査員を務めたチャン・チェン。そして、黄とともに絹子の家を訪れる戸倉役に田辺誠一、絹子の亡き夫の旧友・幸三役に清水紘治が扮する。
■富司純子(絹子役) コメント
私の演じた絹子は夫との幸福な日々を過ごした幸せな女性で、純粋な可愛い人でした。その彼女をイメージし、上田監督の希望で衣装には私の着物を使いたいとのことで、撮影前に何十枚もの着物と帯を合わせ、その中から選んで頂きました。撮影をした場所の、庭の藤棚の美しさ、家の歴史ある風格、庭から見える海、時間によって変わる景色など…すべてが今も印象に残っています。共演のシムさんは可愛いし、鈴木さんは本当の娘のように思えました。そして、上田監督は演技しやすいように雰囲気作りをして下さり、カットごとにとても良い気分にさせて下さいました。自然光の照明、カメラアングルの美しさなど映像の素晴らしさを楽しんで頂きたいです。
■シム・ウンギョン(渚役) コメント
先ず、富司さん、鈴木さん、チャンさんはじめ尊敬する役者の方々と共演が出来たこと、上田監督の初映画に参加できたことを本当に光栄に思っております。脚本を読ませて頂いた時は、水彩画のようなイメージが浮かび、心が落ち着くのを感じました。とても淡白ながらも余白の中に深いイメージがたっぷり入っていると思いました。私の演じた渚は優しい人で、でもどこかでずっと自分探しをしているようでした。撮影しながら彼女が成長していくことを感じ、一緒に喜んだり悲しんだりしていました。そして、富司さんとは一番長くご一緒して、私がまだ日本に慣れていないことを気にかけて頂いたりとても心強かったです。美しい時間を皆さんにも是非観ていただきたいです。
■鈴木京香(陶子役) コメント
これまで何度もご一緒させていただきました上田さんの、美しい絵、涼やかな映像が映画になるという事で、完成をとても楽しみにしていました。そして、家族と家を案じる心優しい女性の役で出演する事が出来たことをとても嬉しく思っています。私にとって、海を眺める日本家屋で富司さんと母と娘として接した時間は、何にも代えがたい貴重で幸せなことでした。美しい佇まい、優しい声、丁寧な所作…日本女性として、女優として、憧れの方です。また、亡き母の姿を求めて日本にやってきた切なく可憐な渚は、ウンギョンさんの姿にぴったりと重なって、渚のことが大好きな叔母の気持ちに自然になれました。多くの方に暮らしを愛しむ素敵な時間を過ごして頂ければと思います。
■チャン・チェン(黄役) コメント
上田監督の脚本は詩的な美しさを潜め、読んでいるうちに自然と脳裏に優美な映像や光景が浮かびました。今回は日本語の脚本とセリフということもあり、特に言葉への理解と練習に努めました。撮影前には監督と役柄について意見を交わし、撮影中も監督のスタイルを観察することで、この映画で構想されている世界観への理解を深めることができました。共演した富司さんについては、撮影前に多くの出演作を鑑賞しました。現場では、富司さんが座っているだけで役に注ぐありったけの感情やエネルギーが伝わってきました。ウンギョンさんは、非常に聡明かつ明敏な役者で、監督が投げかける課題を的確に解釈しています。彼女の芝居には驚かされました。
『椿の庭』
7月 シネスイッチ銀座ほか全国順次公開
監督・脚本・撮影:上田義彦
出演:富司純子 シム・ウンギョン 田辺誠一 清水紘治 チャン・チェン 鈴木京香
配給:ビターズ・エンド
【ストーリー】 かつて夫と語り合い、子供たちを育てた家に、今は孫娘の渚(シム・ウンギョン)と住む絹子(富司純子)。夫の四十九日を終えたばかりの春の朝、世話していた金魚が死に、椿の花でその体を包み込み土に還した。命あるものはやがて朽ちる。家や庭で起こる些細な出来事、過去の記憶に想いを馳せ慈しむ日々の中、ある日絹子へ一本の電話がかかってくる…。
©2020 “The garden of Camellia” Film Partners