窪田正孝を主演に迎え、三池崇史監督が初のラブストーリーに挑んだ映画『初恋』が、2月28日より公開される。それに先立ち、本作の撮影舞台である新宿・歌舞伎町へ恩返しするため、「歌舞伎町クリーンイベント」の実施が決定し、2月15日、窪田正孝と三池崇史監督が吉住健一新宿区長とともに清掃を行った。
当日は快晴にも恵まれ、静けさ残る朝の新宿でイベントが開催された。まず初めに新宿区役所前で出発式を行い、吉住区長の挨拶で幕を開け、主演・葛城レオ役を務めた窪田正孝、メガホンを取った三池崇史監督が『初恋』のタイトルロゴがあしらわれたウィンドブレーカーに身を包み登場すると、ボランティアの参加者からは大きな拍手が巻き起こった。窪田は「おはようございます!お世話になった歌舞伎町を精一杯きれいにしたいと思います!よろしくお願いします」、三池監督は「おはようございます。少しでもきれいに出来ればいいなと思います。よろしくお願いします」とそれぞれ挨拶。そして参加者全員で「新宿歌舞伎町クリーンイベント、しゅっぱーつ!!」と元気よく声を合わせて清掃活動はスタートした。
清掃が始まると早速、お菓子の包み紙を見つけた窪田は「昨日はバレンタインデーだったからかな…!」とつぶやき、三池監督と顔を見合わせ、思わず笑いあっていた。ボランティアの方々や吉住区長と談笑しながら丁寧にゴミを拾い集める道中、窪田演じるレオがベンガル演じる占い師と出会う歌舞伎町弁財天に到着すると、窪田は「この地域のみなさんは撮影をしていても、慣れているのかそっとしてくれて、すごく演じやすかったです」と撮影当時を懐かしんでいる様子だった。
歌舞伎町をクリーンアップ後、一行は新宿区役所に帰還。ここで、会見へと移り、清掃活動に参加した感想を聞かれると窪田は「大それたことは出来ないかもしれないけど、こういった活動に参加出来て嬉しく思いましたし、街がきれいになるって良いことだなと思いました!」と答えた。三池監督は「撮影の時は上ばかり見ていたように思います。仕事の面で言ってしまうと、落ちているゴミにも一つの大事な風景のように感じてしまうんですが、こうして改めて足元に目を向けてみると、きれいにしたいなという気持ちが湧き、また違った歌舞伎町を見れたような気がしました」と語った。話題は撮影当時のエピソードに及び、窪田が「この歌舞伎町で大森南朋さんを全力で殴ってしまったことが思い出ですかね…」と答えると、すかさず三池監督が「もっとクリーンなこと言ってよ!(笑)」とツッコミを入れ、会場からは笑いが起こった。一方の三池監督は「とても好きな空間で、撮影の時は歌舞伎町の住人として存在していたような気持ちでした」と回想していた。
歌舞伎町での思い出を聞かれた窪田は「19歳くらいのころ、新宿コマ劇場で三池監督の『座頭市』を観たことがとても印象に残っていますね」と答え、三池監督は「助監督のころに本当に大変で泣いたこともあるけれど、とても居心地の良い場所。そのままの自分でいられる気がします。多様性のある人たちがたくさんいて安心しますね」と当時を振り返った。今後キレイにしたいものは何かと質問された窪田は少し悩みながら「携帯の中身ですかね。電話帳とかは高校時代のままなので少し整理しようかなと…」と言うと、「あんまり友達いないでしょ!?」とまたも三池監督からツッコミが入り、「ほどほどにしたいと思います…!」と恐縮した様子で話し、10年ぶりのタッグでも変わらぬ息の良さを見せていた。
『初恋』
2月28日(金)全国公開
監督:三池崇史
出演:窪田正孝 大森南朋 染谷将太 小西桜子 ベッキー 三浦貴大 藤岡麻美 顏正國(YEN CHENG-KUO) 段鈞豪(TUAN CHUN-HAO) 矢島舞美 出合正幸 村上淳 滝藤賢一 ベンガル 塩見三省 内野聖陽
配給:東映
【ストーリー】 舞台は、さまざまな事情を抱えた人間たちが流れ込む欲望の街・新宿歌舞伎町。天涯孤独ながら希有な才能を持つプロボクサーの葛城レオ(窪田正孝)が、負けるはずのない相手との試合でKO負けを喫し、試合後の診察で余命いくばくも無い病に侵されていることを知る。自暴自棄になったレオが、気もそぞろに繁華街を歩いていると、男に追われる少女に出くわす。ただ事ではない様子を察したレオは条件反射的に男をKO。気を失った男のポケットにあった、警察手帳をとっさに懐へとしまうと、少女の後を追った。少女はモニカ(小西桜子)と名乗り、親の虐待から逃れるように街へ流れついて、ヤクザに囚われていたことを明かす。KOされた男は悪徳刑事・大伴(大森南朋)でヤクザの策士・加瀬(染谷将太)と裏で手を組み、ヤクザの資金源となる“ブツ”を横取りしようと画策、モニカを見張っていたのだ。ヤクザと大伴から追われる身となったレオだが、モニカと自らの境遇が重なる部分もあり、どうせ短い命ならと半ばやけくそで彼女を救おうと決意する。一方で、モニカと共に資金源となる“ブツ”が消えさらにヤクザの一員・ヤス(三浦貴大)が殺されたことを彼女のジュリ(ベッキー)から知らされる組員一同は、組長代行(塩見三省)のもとで今にも一触即発の様相を呈していた。一連の事件をチャイニーズマフィアの仕業だと踏んだ組随一の武闘派・権藤(内野聖陽)が組の核弾頭・市川(村上淳)と共に復讐を決意し、ジュリも後を追った。ヤクザとチャイニーズマフィアに悪徳刑事。ならず者たちの争いに巻き込まれた孤独なレオとモニカが行きつく先に待ち受けるものとは…。欲望渦巻く繁華街で出会った孤独な二人が過ごした、人生で最も濃密な一夜の結末や如何に。
(C)2020「初恋」製作委員会