窪田正孝「感無量です」『初恋』第72回カンヌ国際映画祭レポート!大森南朋、染谷将太、内野聖陽らが出演決定!

窪田正孝を主演に迎え、三池崇史監督が初のラブストーリーに挑んだ映画『初恋』が、2020年に公開される。このほど、追加キャストとして大森南朋、染谷将太、小西桜子、ベッキー、村上淳、塩見三省、内野聖陽が出演することが発表され、併せて、特報映像がお披露目となった。さらに、5月14日から開催中の第72回カンヌ国際映画祭「監督週間」に本作が正式出品されたことを受け、フランス現地時間5月15日に記者会見が行われ、キャストの窪田正孝、小西桜子、三池崇史監督、企画プロデューサーの紀伊宗之、プロデューサーの坂美佐子、プロデューサーのジェレミー・トーマスが登壇した。

朝の雨が嘘のように晴れ、爽やかな気候の元カンヌの地で行われた本発表会見。今回初めてのカンヌ参戦となった窪田は「カンヌという聖地に連れてきてもらい感無量です。作品はパワフルでスピード感がすごくて、観る者の目を惹きつける力があり、自分自身も熱くなるものがありました。世界の人に観てもらいたい」と熱く語り、「カンヌは空気が違って、映画ファンも世界各国のメディアもたくさんいて…とても気分がいいです!テンション上がってます!」と笑顔をみせた。同じく、初のカンヌ参戦である小西は「今ここにいることが夢みたい。こんな機会滅多にないと思うので一生残る経験になると思います!」と初のメディア取材の場に登場するとあって緊張の面持ちを見せながらも、「この作品が初のカンヌの地で感無量です。三池監督に連れてきてもらい、私も感無量です」と笑顔でコメント。今回、カンヌ映画祭は2年ぶりで7回目の参加となる三池監督は「みんなでつくり上げた作品が、自分たちを昨日と違う景色へ連れて行ってくれる。映画とは夢のあるもの。映画を観客と共に観るというのは格別な時間でありとても楽しみ。ジェレミー(プロデューサー)からも率直な感想をもらいながらつくっていた。今の時代にしかつくれないものが、素晴らしいキャスト共につくれた。自分たちのつくりたいものがこの時代につくれて光栄」と作品に対する自信をみせた。また、プロデューサー陣も「一生懸命つくった作品なので、このようにカンヌの地で披露されるのが嬉しい」(紀伊)、「全てが一年未満の間でつくった作品ですが、とてもパワフルな作品に仕上がった。是非多くの方に観ていただきたい」(坂)、「日本映画が大好きですし、また三池と映画をつくれることに喜んでいます」(トーマス)と語り、本作がカンヌの地に降り立ったことについて喜びを露わにした。

Q:再びカンヌの地に舞い戻ってきて。
三池監督:こういう人間たちを描いて、こういうストーリーを作っているときの自分はとてもテンションがあがる。Vシネマというのは、日本ではアウトローなジャンルとして認識されていたが、好きなものは好きとはっきりしている海外が、このVシネマで自分の作品を目にとめてくれた。そこから海外で好き放題やっていたこともあって、海外に来ると自分の居場所というような“興奮状態”になる。「監督週間」はいわば監督の“登竜門”なんだけど、何回か選んでくれてなんだかループしているみたい(笑)。でもそういう関係を長い時間かけて作れることに感謝しています。

Q:「ケータイ捜査官7」以来、10年ぶりの主演での窪田さんとの再タッグについて。
三池監督:国民的スター窪田が主演をやってくださって、いいやつだな、と(笑)。彼とは「ケータイ捜査官7」で出会った。ハードなスケジュールの中、カンヌに駆けつけてくれて非常に嬉しいし、やっぱり“映画の人間”なんだと思った。

窪田:三池監督とは右も左もかわらない時にお会いしたんですが、第一印象は、すごく怖い人(笑)。一年間もんでいただいて、指導というよりは現場で感じさせていただいた。『十三人の刺客』(2010)の時も、先輩方の背中を見ながら、葛藤しながら、もっと頑張りたいと思っていました。「ケータイ捜査官7」の時、“あいつを選んだ理由がわかる”と言ってくれたのがすごい印象に残っています。ずっとやりたかったボクサー役で、三池監督が言ってくださった10年後にまた、三池さんの世界に没頭できたことは幸せでした。映画やTVに出させていただいている中で演者としてフラストレーションが溜まることが、役者さんは誰しももっているかと思うのですが(笑)、今回そういった感情がみんなこの作品を通して爆発していて…観ていただいたらわかると思います。日本の映画はこうあるべきだと思うし、こういう生き方をしたいと思いました。感無量です。

Q:数多くのオーディションからこの役を勝ちとり、三池監督の作品に参加して。
小西:オーディションの時から私の想いを聞いてくださって、選んでいただけたのかなと感じています。三池さんは演技のテクニックより感情を引き出してくれました。私らしさを重視して演技指導してくださいました。

Q:その他のキャストの方々と共演した感想。
窪田:他の共演者の方とほとんど絡んでいないんですが(笑)。でも、皆さんそれぞれに誰も被らないカラーがあり、一緒に芝居をしている中で、本能的なものを非常に感じ、それがとても印象に残っています。

小西:他キャストの方と絡むシーンがあまりなかったのですが、映画やテレビで見ていた方々と共演させていただいたので、とても光栄で、夢みたいでした。ベテランの方々の演技をみて、自分も負けてられないな、と思いました。

Q:このキャスト陣と本作を作られた感想や手ごたえ。
三池監督:役者で生きていこうと思う人間の根っこには、アウトロー的な血が流れてると思う。今回出演した役者たちは、それぞれの役に共鳴していたと思うし、だからこそリアリティが生まれた。今回の作品を通して、役者というのは、人間が抱える“喜び”と“ストレス”を生かすという職業なのだと、改めて感じた。そういう要素は、アウトロー的な映画をつくる我々にとってはとてもいい状況。そんな環境を与えてくれたプロデューサー陣、東映には感謝。観た全員が、この映画好きだな、だけど自分の演技はもっとやれる、といったような新たな発見や高みを見出される作品に仕上がったと思う。内野は今作の役と比べるとすごいギャップだけど(笑)。

窪田:三池さんの人柄は昔から変わってないです。“遠くない親戚のおじさん”のような存在。三池さんがカンヌに行かれている記事を見る度に自分も行きたいな、三池さんと今度はいつできるんだろと思っていましたけど、やるべきことを自分はやるんだと思い続けていたんです。そしてまたこうやって再会できた。10年前が自分の原点です。三池さんは僕の恩師ですね。明日日本に帰ってしまうので、観客の方々のリアルな反応を見れないのがすごく残念です。だけど、錚々たる型にはまらない方々が揃っている映画です。そんな映画を三池さんがまとめている、それが『初恋』です。

三池監督:出来上がってしまえば、観る方の判断。今回の機会が、また違う作品をつくれるきっかけになればいいなと思っている。観客の反応は気になるけどそれはもうお客さん次第なので、ただ楽しんでほしい。どんなに暗い場所にいたとしても輝く可能性がある、それをアウトローが輝かせた。そんな作品になった。じっくりと楽しんでほしい。

Q:作品の仕上がりについて。
紀伊:映画をつくる上でも日本はなかなか生きにくい世の中になっている。なので、思いっきり暴れたものにしたいという想いで、三池監督と坂とこの映画をつくった。キャストに関しては、映画で主演をはれるような俳優を使いたいと思ったのと、主演が窪田というのは全員一致で決まった。モニカ役の桜子は、オーディション3000人の中から選びました。みんな思った通りの素晴らしい俳優陣で、集まっていただいて本当によかったです。

坂:キャスティングを決める際に、イメージキャストというのを考えるのですが、そのイメージが全て見事にハマっためずらしい作品でした。

トーマス:三池とまた作品つくりをできることは感無量です。長年タッグを組んでいてどんどん相性がよくなっているように思えます。今回カンヌに選ばれたことはとても意味のあること。とてもユニークで、今だからこそできる作品に仕上がったと思う。カンヌを含め、世界の方たちに受けいれていく様子がみられることが今からとても楽しみです。

追加キャスト コメント

■大森南朋(大伴役)
「殺し屋1」以来とにかく ガッツリ久しぶりの三池組に参加出来て、最高に楽しかったです。しかも撮影が新宿歌舞伎町。19年前の「殺し屋1」撮影の時の残像が何度も蘇りました。三池監督また、お願いします。映画『初恋』はカンヌ映画祭で世界の方々に衝撃を与えると信じております。

■染谷将太(加瀬役)
危ない香りと火薬の香りが劇場に充満する、とても香ばしい極上ラブストーリーでございます。カンヌで世界の三池監督ファンが大興奮間違いなし、ということは、日本中のスクリーンで大爆発でございます。私も爆発しました。三池監督に感謝でいっぱいでございます。

■内野聖陽(権藤役)
私に課せられた任務はとにかく武闘派の権化!今の時代では生きにくい昔気質の任侠の男、権藤で出演出来たこと、とてもうれしく毎回撮影現場に行くのがとても幸せでした。なぜなら、三池さんは、映画を深く愛し、スタッフを愛し、出演者を愛しながら、様々な苦境と闘うユーモアたっぷりの監督だったからです。“初恋”という題名からこんな映画ができると誰が想像したでしょう。とにかくとても胸がすっきりするような映画です。三池ワールドで大暴れする喜びを感じられた日々でした。三池さんが描きだした、日常と非日常の対比が、日本以外の世界でどんな受け止められ方をするのかとても興味があり楽しみです。モラルとは全く関係ないところに気持ちよく存在する三池映画の魅力を諸外国の皆さんにも楽しんでいただけたらうれしいです。

■ベッキー(ジュリ役)
この『初恋』という映画の一員になれたこと、本当に嬉しく思っています。撮影はだいぶ前ですが、参加させていただけた喜びというのは今も続いています。『映画っていいなぁ』とずっと余韻にも浸っています。本当にありがとうございました。三池監督、カンヌ国際映画祭の監督週間選出おめでとうございます。この映画がカンヌで上映されるなんて本当に嬉しいです。映画をご覧になるカンヌの方々は、私がバラエティタレントであることをまだ知らないでしょうから、ヨーロッパ方面では女優という設定で生きてみたいです(笑)。以前、バラエティのロケで誰もいないカンヌの映画祭会場を歩き、「いつか私もここを歩く!」みたいなことを言いましたが、今回、こういう形でカンヌにお邪魔できるとは…。夢のような体験をありがとうございます。

■村上淳(市川役)
色濃く影響を受けた 90年初頭のVシネマ。その代名詞とも言える三池崇史監督との仕事は憧れでした。ありがたいことに初めて監督の作品に参加することができました。さらなる欲がでました。「また三池組をやりたい」と。それでいいんだと思います。役者は渇いていていいものだと思うからです。カンヌ国際映画祭へ。映画祭のチャンピオンであるカンヌへ窪田くんを筆頭に新人の小西さんもと聞きました。まさしく映画には夢があると再確認しました。そしておめでとうございます。

■塩見三省(組長代行役)
三池崇史と肩を組む映画は虚構である、それ故に私たちはそこに生きている人間の実を吹き込むことに全力をつくす。それが無ければ三池監督はOKを出さない。不具合な身体を持って、私は、この映画『初恋』に挑んだ。明日のことより、今このワンカットを全力で懸命に生きた。その様をその実を撮り肩を組んでくれた。有難う、三池監督。

■小西桜子(モニカ役)
オーディションの時は三池監督やスタッフの皆さんが、ひとりの人間として真っ直ぐに向き合って下さいました。たとえオーディションでもこういう出会いがあるから、この仕事を始めて良かったと思えたことを今でも覚えています。出演が決まったと聞いた時は、腰を抜かすくらい驚きました。すぐには実感が湧きませんでしたが、皆さんに選んでいただけたことが本当に本当に嬉しかったです。モニカは普通の女の子ではないので演じる上での不安もありましたが、「だからこそお芝居に正解はないし、失敗もないんだよ」という監督の言葉に支えられました。他のキャスト・スタッフの皆さんのおかげで楽しみながら、何とか最後までモニカでいられたと思います。今までの人生で一番刺激的で、幸せな時間でした。この作品に参加できたことは、一生の財産になりました。心から光栄です!

『初恋』
2020年、公開
監督:三池崇史
出演:窪田正孝 大森南朋 染谷将太 小西桜子 ベッキー 三浦貴大 藤岡麻美 顏正國(YEN CHENG-KUO) 段鈞豪(TUAN CHUN-HAO) 矢島舞美 出合正幸 村上淳  滝藤賢一 ベンガル 塩見三省 内野聖陽
配給:東映

(C)2020「初恋」製作委員会